山東省棲霞市の鉱山爆発現場で、救助活動に向かう隊員。この時22人の鉱山労働者が、地下に閉じ込められていた。2021年1月13日撮影。(STR/AFP via Getty Images)

相次ぐ鉱山事故 「安全性よりも、利益追求を優先した結果」か=中国

中国は、世界のなかで「最も鉱山事故が多い国」である。

今月12日、河南省平頂山市の炭鉱でガス爆発事故が起きた。爆発当時、坑内には425人が入って作業していた。14日の時点で、当局は「この事故の死者数は、少なくとも13人に上る」と発表している。

いっぽう、ネット上では「(頂山市の炭鉱事故による)本当の死者数は30人以上だ。どうやって知ったかは(私に)聞くな」と明かす現地のユーザーもいる。

このほか「公式に発表される死者数は、最終的には20人を超えることはないだろう。なぜなら、20人を超えると、事故レベルが変わるからだ」といった、当局の隠蔽体制を指摘する声もある。当局の意図的な操作によって、犠牲者の数が「19人以下に抑えられる」というのだ。

さらには「なぜ毎年、こうも鉱山事故が起きるのか。多くの人が亡くなっているのに、政府は何している」など、中共政府への非難の声も広がっている。

事故のあと、生存者の1人は中国メディア対して「あの時、仲間の『逃げろ!』の一声がなければ、私も死んでいたと思う。あと3分遅かったら(死んでいた)」と、事故当時の恐ろしさを振り返った。

今後の職業について尋ねられたとき、この生存者は「もう鉱山の仕事はしない。家族も皆、反対している」と話した。

中国の炭鉱労働者について、その安全は昔から効果的に守られてこなかった。

炭鉱労働者の安全を守るための法令や規則はあるが、現場では、全くの「お飾り」である。作業員の安全性もふくめて、非常に劣悪な環境下で行われる坑内作業により、重大な死亡事故は相次いでいる。

今月7日と8日にも、山西省の鉱山で事故が相次いで発生した。それぞれの事故で、1人ずつの死者が出ている。

不完全な統計によると、2022年には中国で少なくとも168件の炭鉱事故が発生し、245人が死亡した。

2023年には、9月24日時点で確認できた炭鉱事故は57件、死者数は160人を超える。このなかでも、突出して事故が多いのは山西省である。以下、2023年に起きた事例を、列挙する。

2023年2月22日、内モンゴル自治区アルシャー左旗の炭鉱で崩落事故が発生し、53人が死亡した。

2023年9月、貴州省で起きた炭鉱火災で、少なくとも16人が死亡した。

2023年11月には、同じく貴州省の別の炭鉱で事故が発生し、11人が死亡した。

2023年11月16日、山西省呂梁市の炭鉱で、26人が死亡する火災事故が発生した。

2023年11月28日、黒竜江省双鴨山市の炭鉱で、11人が死亡する事故が発生した。

2023年12月、黒竜江省鶏西市の郊外で起きた鉱山事故では12人が死亡した。

上に挙げたデータは、いずれも中共当局が公表した数字である。隠蔽体質の当局が公表していない事故について、外部が知ることは難しい。

ドイツ国営の国際放送局 「ドイチェ・ヴェレ」 2023年2月24日付は、中国で炭鉱事故が頻発する原因は「安全性よりも、利益を重視した結果だ」と指摘している。

さらに「ドイチェ・ヴェレ」 は、中国鉱山安全監査局の統計データを引用して「2022年の鉱山事故は、2021年に比べて倍増しており、死者数は245人に上る」と報じた。

関連記事

なぜ賠償金目当ての殺人事件が多発するのか「もはや一つの産業形態」=中国鉱山(こちらをクリック

関連記事
このほど、雲南省の街中で、交通警察が走る車を止めるために、「当り屋まがい」なことをしたことがわかった。
元第8空軍司令官のE・G・バック・シューラー氏は、「Defense post」に掲載された最近の記事で、米国の自動車メーカーにガソリン車の販売を中止させ、電気自動車(EV)への切り替えを強制することを目的としたEPAの新しい排ガス規制は、米国を中国の言いなりにするだろう」と警告した。
2024年5月1日~3日、中国湖北省随州市の数千人の住民は政府による「葬儀改革政策」の廃止を求めて街に出た。
2024年5月8日夕方、中国河南省信陽市で小学生41人が学校で夕食を摂った後に嘔吐と下痢などの食中毒を疑う症状が現れたことがわかった。
2024年5月9日、「小学校2年の息子が学校の昼休み時間に異常な死に方を遂げた、学校に説明を求めるも現地公安によって殴打された」と訴える母親の動画や画像が中国のネット上で検閲に遭っている。(母親が発信した動画より)