交通警察による「当たり屋」まがいの罰金徴収手口、中国雲南省

2024/05/13
更新: 2024/05/13

近年、中国各地で自分から車にぶつかり、金銭をゆする悪質な「当たり屋」が出没している。これを中国語で「碰瓷(ポンツー)」という。

このほど、中国の交通警察が行なった、まさに目を疑うような一部始終を記録した動画がネットに流出し物議を醸している。「罰金を稼ぐために、ここまでやるのか」と驚きを禁じ得ない。

今月10日午後2時前、雲南省の街中で、交通警察自身が走る車を止めるために、「当り屋まがい」なことをしたのだ。

ドライブレコーダーに映った「下手な演技」の哀れな様子には、何やらもの悲しさを感じるほどだった。交通罰金を取るためとはいえ、そのような「当り屋まがい」の手口を使うことに対し、SNS上では批判が殺到している。

その背景には、交通警察が自分の給料を稼ぐため、そして財政難にあえぐ地方政府から課される罰金ノルマを達成しようと、必死にならざるを得ない中国独自の事情があるものとみられる。

 

下手な芝居

この時、交通警察に「当てられた」車のドライブレコーダーは、次のような場面を捉えていた。

走り去ろうとする車を止めるべく、交通警察の1人が走り出したと思ったら、自ら車に向かって飛び込んだのだ。その後、市民の車のボンネットに乗っかったまま、いかにもわざとらしい声で「あー、あー、痛いよ」と被害者づらをしていた。

車は「当てられた」瞬間に停止しているため、交通警察はもちろん無事だった。

そんな「当り屋役」の交通警察が演技を披露している間、その警察仲間たちは彼の様子を撮影している。

(「当り屋まがい」な手口を使って車両を止める雲南省の交通警察、2024年5月10日)

「交通警察による当り屋まがいな手口」の一部始終を捉えた動画がSNSに拡散されると、「あれは絶対常習犯だよ」「臭い演技だ、恥を知らないのか」「プロとは言えないね、当り屋としては二流だ」といった皮肉が殺到。

なかには、「そんなに罰金がほしいのか」「交通罰金に加え、運転手から『当てられた』慰謝料をも巻き上げようという魂胆なのだろうか」といった声のほか、「自分は、正常に車を運転していたところ、交通警察のバイクが突然目の前で止まった、200元(約4300円)の賠償金を払わされた」などの被害に遭った市民によるコメントまで寄せられている。

この事件の影響かどうかは不明だが、ネット上では流行語大賞にノミネートされそうな「碰瓷式執法(当り屋式法執行)」という「新語」まで出現している。

しかし、交通警察による同様の「当り屋式の法執行」は過去にも起きている。

例えば2018年6月の湖南省衡陽市、交通警察による車両取り締まりに出くわした白い自家用車が、停車した瞬間、勤務中の交通警察官が突然、「当てられた」ふりをして、すでに停止していた車の前方の地面に座り込んだ。 

 

背景に「地方政府の深刻な財政難」

中国の地方政府は今、深刻な財政難のなかにある。その地方政府の傘下にある公安・警察部門も、例外なく「金がない」状態だ。

そこで収入を増やすため、交通取締まり部門が全力で進めているのが、必死になってなんとか交通違反の理由をでっち上げ、ささいな事にも罰金を科す「公務執行」である。

ところが、この「罰金とり」に躍起になるあまり、なんと警察車両が交通事故を起こす例が、中国の各地で多く見られている。そうした事例もふくめて、ネット上では「交通警察による、やりたい放題の違反切符切り」の話題は尽きない。

今回のような「危険過ぎて、もはや故意殺人レベル」と言っても過言ではない、悪質過ぎる事例から、街中で白昼堂々フォークリフトなどの重機を使い、きちんと駐車可能な区画内に駐車していた車を駐車禁止の場所へ移動させ、あえて駐車違反を「作り出して」罰金切符を切るケースもあるという。

さらには警官が「走るバイクを突き飛ばす」「走るバイクの前に障害物を投げ込む」といった人命を全く無視した「荒ぶる公務執行」も、たびたびニュースになっている。

昨年7月、福建省厦門(アモイ)市の橋の上で交通取締まりにあたっていた地元の交通警察の車両が、車道を逆走したため、複数の貨物車両の追突事故につながった。その際、交通警察官1名が、通行してきた車両に轢かれる事故も起きている。

2023年7月3日、福建省厦門市の橋の上で交通取締まりにあたっていた交通警察の車両が車道を逆走し、複数の貨物車両の追突事故につながった。また交通警察1名が通行してきた車両に轢かれる事故が起きた(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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