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絵文字と心の距離

絵文字は感情知能と愛着スタイルを映す?研究が示す深層心理

アメリカ・インディアナ大学のキンゼイ研究所による最新の報告によると、感情豊かで知性が高く、良好な人間関係を持っている人ほど、特に親しい関係において絵文字を頻繁に使用する傾向があるといいます。

昨年『PLOS ONE』誌で発表された研究により、絵文字は単なる装飾ではなく、感情表現のためのツールであり、私たちの感情認識や人間関係の形成・維持の方法によって左右されることが分かっています。

本研究の他にも、ミシガン州立大学のコミュニケーション学准教授デイビッド・マルコウィッツ氏も、「エポックタイムズ」へのメールで「絵文字は人間関係の距離を縮めることができます」と述べています。

「言葉ではなく、ジェスチャーで相手に思いを伝えるとまではいかないものの、絵文字を思慮深く使用することで、自分のトーンを伝えたり、信頼関係を築いたり、オンライン上での個人的なつながりを深めたりすることができます」と述べています。

同僚への「いいね」や恋人への「ハート」など、絵文字はデジタルコミュニケーションにおいて不可欠な存在となっています。対面で相手が見えない状況でも、絵文字は私たちの性格の微妙な側面を明らかにします。
 

絵文字は私たちに何を示すか

この研究で、人々の絵文字の使用頻度と愛着スタイルとの相関関係が明らかになりました。特に、友人や恋人との関係において顕著でした。研究には、320人の成人(女性191人、男性123人、トランスジェンダーの方4人)が参加し、愛着スタイル、感情知能、さまざまな状況における絵文字の使用についてアンケートに回答してもらいました。参加者の平均年齢は約35歳で、ほとんどが教育水準が高い白人でした。

感情知能とは、自分の感情をコントロールする能力、そして他者の感情を認識し反応する能力のことです。愛着スタイルとは、親密な関係において人々がどのように結びつき、形成するかを表すもので、幼少時の養育環境によって形作られます。この研究では、これらの要因が家族、友人、同僚、そして恋人との関係における絵文字の使用にどのように影響するかを調査しました。

調査結果によりますと、感情知能が高い人ほど、自分の気持ちを表現するために絵文字をよく使い、非言語的な手がかりが欠けているデジタル会話においてコミュニケーションを円滑にする傾向があります。

対照的に、感情的な親密さを避ける傾向のある回避型愛着スタイルの人は、特に親密な関係においても絵文字をあまり使用しません。

「こうした発見は、日常生活の中でバーチャルコミュニケーションが広く普及している現代において、非常に重要です」と研究の著者らは述べています。
 

感情知能と性別の違い

過去の研究では、感情知能が高い人はデジタルコミュニケーションにおける感情的な手がかりを解釈することがより得意であることが示されています。また、彼らのオンラインでのやり取りは相手に対してより肯定的で好意的な傾向があり、強い絆を育みます。これにより、絵文字は口調や感情を伝えるための重要なツールとなっています。

感情知能が高い人は感情的なシグナルを認識し処理することがより得意であるため、彼らのオンラインでのやり取りはより肯定的で好意的な傾向があり、より強いつながりを育みます。

本研究で、絵文字の使用における性別の違いが明らかになりました。女性は男性よりも絵文字を使用する頻度、特に友人や家族との非公式なやり取りにおいてその傾向が見られました。一方、男性は絵文字をより課題志向の場面や専門的な状況のために使用する傾向がありました。

男性は全体的に絵文字の使用頻度は少なかったのですが、女性と同じくらい絵文字を受け取る能力はありました。研究者によると、これらの性別パターンは感情表現に関する社会的規範を反映しています。
 

愛着スタイルが絵文字の使用に与える影響

愛着スタイルも絵文字の使用において重要な役割を果たします。愛着スタイルの研究によると、主に3つのアタッチメントスタイルがあります:不安型、回避型、安定型です。

不安型の愛着は、子どもが一貫性のない養育を受けた場合に形成されやすく、愛されていると感じる時もあれば、無視される時もあるため、親密さを強く求めながらも見捨てられることへの不安を抱くようになります。

一方、回避型の愛着は、養育者が感情的に距離を置いていたり、拒絶的だったりした場合に形成されやすく、その結果、後の人生で親密な関係を築くことが難しくなります。

それに対して、安定型の愛着は、親しい関係において安心感と信頼を持って接することが特徴です。

研究では、安定型の愛着スタイルを持つ人は、特に親密な関係において絵文字をより頻繁に使用することが明らかになりました。研究者によりますと、安定型の人々は感情のコントロールが上手で、信頼関係を築くのも得意であるとされています。

一方で、感情的な親密さに不安を感じる回避型の愛着スタイルを持つ人は、特に親しい友人や恋人との関係において絵文字の使用が少ない傾向が見られました。これは、回避型の人々が感情的な距離を埋めるために絵文字を使うことに消極的である事を示しています。
 

感情の変化:バーチャルコミュニケーションにおける絵文字

この研究は、デジタル時代における人々の感情的なコミュニケーションの変化を浮き彫りにしています。対面でのやり取りがデジタルでのやり取りに取って代わる中、絵文字は「感情表現を強化し、トーンを伝える方法を提供するものです」と社会的・心理的プロセスを理解するための研究を行っているマルコウィッツ氏は述べています。

絵文字は、表情や身体言語などの非言語的なサインの完璧な代替にはなりませんが、オンラインコミュニケーションを豊かにする役割を果たしています。しかし、マルコウィッツ氏は、絵文字は役立つものの、誤解される可能性があることも付け加えました。

「絵文字はデジタルメッセージの感情的な内容を補完することができますが、もっと自分のことを知ってもらはないと誤解されることもあります」と彼は述べています。

「したがって、他者に対する印象を形成するためには、絵文字をより広範なデジタル上の行動記録の中に位置づけて考えることが重要です」つまり、絵文字の意味は、それが使われる文脈やコミュニケーションを取る人々の関係によって異なるということです。

研究の著者らは、本研究の結果が、心理学・デジタルコミュニケーション・愛着および感情知能の研究が交差する新たな研究の可能性を切り開くものであると考えています。

(翻訳編集 陳武)

フリーランスのライターであり、ホリスティック健康教育者。ニューヨークのパシフィック・カレッジ・オブ・ヘルス・アンド・サイエンスで12年間教鞭をとり、クーパー・ユニオンでは工学部の学生を対象にコミュニケーション・セミナーを担当。現在は、統合医療やホリスティックなアプローチに焦点を当てた記事を執筆している。