人類初の「太陽の南極画像」 ESAが鮮明なデータを公開
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は6月11日、太陽探査機「ソーラー・オービター(Solar Orbiter)」が撮影した太陽の南極の画像を公開しました。これは人類が初めて目にした太陽の南極の姿であり、太陽研究の分野における新たな時代の幕開けを意味しています。
ESAの発表によると、ソーラー・オービターはこれまで軌道の変更を繰り返し試みてきましたが、今回は太陽の極域を観察できる傾斜軌道に移行することに成功し、初めて黄道面(ecliptic plane)の外側から太陽の両極を撮影できるようになりました。この成果は、太陽の磁場や活動周期、宇宙天気の仕組みに対する人類の理解を変えると期待されています。
これまで人々が目にしてきた太陽の画像はすべて、太陽の赤道付近から撮影されたものでした。これは、地球をはじめとする惑星や宇宙船が、太陽の公転軌道面である黄道面上を周回しているためです。しかし、今回ソーラー・オービターがその軌道を傾けたことで、これまでとは異なる角度から太陽を観測できるようになりました。
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