中共一帯一路インフラに欠陥 エクアドルで590億円賠償へ
南米のエクアドル政府は、中国企業が建設した大型水力発電所に深刻な欠陥が見つかった問題で、中国共産党(中共)国有企業から4億ドル(約590億円)の賠償を受けることで合意した。専門家は、これをきっかけに他の「一帯一路」参加国も損害賠償を求める動きが広がる可能性があると指摘している。
問題となっているのは、2009年に着工したコカ・コド・シンクレ水力発電所。総工費は約30億ドルで、当時のラファエル・コレア大統領の政権下で推進された。施工は中国電建の子会社である中国水電(Sinohydro)が担当した。発電所は2016年11月18日に完成し、習近平も竣工式に出席した。しかし、2017年5月にコレア大統領が退任すると汚職疑惑が浮上し、ベルギーに亡命。2020年には最高裁が汚職罪で欠席裁判を行い、禁錮8年の判決を下した。この発電所も事件に巻き込まれている。
シンクレ水力発電所は2016年に稼働を開始したが、ひび割れや漏水などの不具合が続発し、発電効率や安全性に深刻な懸念が生じていた。調査により、施工会社が欠陥を認識しながら引き渡していたことが明らかになった。
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