「習近平を好く者はいない」 米亡命の元中共高官が顔出しで暴露

米国に亡命した中国共産党の省級統一戦線工作部の元高官がこのほど、米メディアの取材に顔出しで応じ、統一戦線の内幕や新疆ウイグル自治区の強制収容所の存在を明らかにした。さらに、党内では多くの人々が習近平を好んでいないものの、表向きは同調する姿勢を装っていると語った。

取材に応じたのは、現在50歳の馬瑞林氏で、甘粛省統一戦線工作部の機関党委員会副書記を務めていた。2024年2月に妻子を連れ、米国に亡命し、一時は身元を隠してニューヨークの料理店で働いていたが、今回体制の内部を暴露する元関係者として名乗り出た。

米CNNによると、馬氏が提示した関連文書や写真、通話記録などを精査した結果、同氏が実際に元高官であったことを確認している。馬氏は甘粛省甘南チベット族自治州で生まれ、蘭州市の大学を卒業後、地方当局で勤務し、統一戦線工作部の機関党委副書記にまで昇進した。

馬氏によると、中国での生活は比較的裕福で、出世も順調だったが、体制内で年月を重ねるうちに「罪悪感」が募り、「檻のような体制から逃れたい」と思うようになったことが、亡命の背景だと語った。

統一戦線工作部は毛沢東の時代に設立された機関であるが、馬氏は、習近平政権下で規模が倍増し、政治協商を担う従来の役割から国家安全部や公安部と密接に連携する巨大な監視・宣伝装置へと変貌したと指摘した。

統一戦線工作部が担当する業務は広範に及び、台湾や香港・マカオの住民に対する「認知戦」を仕掛け、中国国内では反体制派や少数民族、インフルエンサーも監視しているほか、影響力が海外にも拡大しており、留学生団体などを通じて情報提供者を勧誘したり、海外警察を設立して、反体制派への脅迫あるいは暴行したりしているという。

馬氏は現在米国にいるものの、中共当局の監視は依然続いていると確信していると述べ、馬氏が以前に目にした内部文書では、米国内にいるある協力者が逮捕された事例が記されていたと語った。

また、多くの中国人が海外で働き、生活していても、中共の監視網から逃れられていないとし、ウィーチャットや小紅書、TikTokなど、中国当局の統制下にあるSNSを利用しているため、受け取る情報は検閲された内容に限られると指摘している。

さらに、新疆ウイグル自治区にある強制収容所の存在も認め、「拘束されている人数は不明だが、今もなお人々が収容され続けており、あらゆる行動を『ビッグブラザー』が監視している」と語った。

馬瑞林氏自身は回族のイスラム教徒だが、勤務していた頃は、同じ信仰を持つ宗教団体を監視しており、この経験が強い罪悪感を生む一因になったと明かした。

共産党内部についても触れ、馬氏は「私の知る限り、私的には誰も習近平を好いていない。表向きは同調の姿勢を示しているだけだ」と語った。

最後に馬氏は、今回の暴露によって中国国内に残る家族が当局から圧力を受ける可能性を理解しているとしながらも、「こうしたかたちで、過去の自身の行為について被害者に謝罪したい」と述べた。

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