中国共産党(中共)の出入国管理に関する新規定が正式に施行され、複数の国が自国民に中国への渡航をめぐり注意を呼びかけている。約50万人の登録者を持つユーチューバー「阿淇(アチ)博士」は、長年海外で暮らす中国人の友人たちが「帰国して親族を訪ねるのが怖い」と話していることを明かした。中国に入国した後、アメリカに戻れなくなることを懸念しているという。
中共が公表した国務院の出入国管理に関する規定は9月15日に施行された。新規定は、出入国者への審査や中国人の海外渡航に関する当局の権限を定めている。
規定では、移民管理機関やビザ発給機関が出入国者の身元を確認する際、事情を尋ね、関係書類や資料、電子データなどの提示・提供を求めることができるとしている。原文記事によると、携帯電話やiPad、ノートPCなども対象となり、その場で端末の提出やロック解除を求められる可能性があるという。
こうした規定を受け、中国人の出国をめぐる審査や制限が強まるとの懸念が出ている。また、外国籍や永住権を持つ人、長年海外で暮らしている人も、中国に入国した後、「入国できても出国できない」状況に直面する可能性がある。
アチ博士は9月16日、フェイスブックへの投稿で、米国で長年暮らしている中国人の友人たちが最近、「中国に帰って親族を訪ねるのが怖い」と話していると明かした。新規定の施行後、中国に入国すれば、何らかの理由で出国を制限されるのではないかと心配しているという。
「彼らはアメリカから中国に戻ったら、もう米国へ戻れないのではないかと恐れている」
アチ博士はこう述べた。
「民主国家の国民である私には、友人の両親の気持ちを想像するのは難しい。私が両親に会おうと思えば、航空券1枚で済む。どこで暮らし、働くかも自分で決められる。しかし、友人の両親はそうではない。子どもが海外でより良い生活を送っていることを喜ぶ一方、新規定が発表された初日には、急いで子どもに『絶対に帰ってこないで』と連絡した」
一方、子どもが海外で暮らすようになったことで、家族が会うこと自体も難しくなっているという。
アチ博士は、中国人がビザを申請する手続きは台湾人より複雑で、ビザなしで渡航できる国や地域も少ないと説明した。ビザを取得できなければ、家族で集まることもできない。
また、パスポートとビザを持っていても、空港で中共当局から「海外に行くのは安全ではない」などと告げられ、パスポートを取り上げられることもあると述べた。中国では公用と私用のパスポートがあり、公務員は公務で海外へ行くことができても、私的な旅行では多くの制約に直面するという。
アチ博士は最後に、友人に東南アジアのいくつかのリゾート地を紹介し、両親と第三国で合流して数日間を一緒に過ごすことを勧めた。
また、コロナ禍で中共当局の厳しい対応に不安を感じた人も多く、海外で生活できるのであれば中国国内にとどまらない人が増えたとも指摘した。コロナ禍後は中国経済が低迷し、若者の就職も厳しいことから、国外へ出ようとする人が増える一方、帰国を望む人はさらに少なくなっているという。
中共の新規定が施行される前の9月4日、米国務省も中国への渡航情報を更新し、特に4つの対象について注意を呼びかけた。
対象は、米中の二重国籍者、過去に中国国籍を持っていた人、台湾の渡航文書を所持する人、中国系アメリカ人である。こうした人々は、中共当局から追加の審査や不当な扱いを受ける可能性があるとしている。
米国務省は、中共が二重国籍を認めていないと警告している。アメリカ市民であっても、中国の身分証や戸籍簿、台胞証などを所持している場合、中共から中国人として扱われる可能性がある。
出国制限を受けたり、行方不明になったり、逮捕されたりした場合、中共がアメリカによる領事支援を認めない可能性もあるという。
米国務省は、中国本土では、恣意的な法執行、公平で透明な法的手続きを経ない出国制限、不当な逮捕や拘束に遭うリスクがあるとして、注意を呼びかけている。
また、中共の対象となる可能性がある人として、中国系アメリカ人のほか、中国での商取引上の紛争に関係する人や、関係するアメリカ企業とつながりのある人、米法執行機関、軍、情報機関に現在または過去に関係した人、米政府が資金を提供する事業への参加者や米政府と関係のある人などを挙げている。
さらに、両岸情勢に詳しい台湾当局者は、台湾の政治家、公務員、退役軍人、司法官、教師、社会的な発信力を持つ人物、「青鳥運動」の参加者などは、中国を訪れた際に詳しい確認や尋問の対象となりやすいとして、身の安全に注意するよう呼びかけている。
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