米議会の米中経済・安全保障調査委員会(USCC)の超党派代表団が、7年ぶりの中国訪問を終えた。代表団は移動中に「ゴーストタウン」を目にするなど、中国経済が下押し圧力に直面している兆候を確認したほか、経済成長の先行きを懸念する企業関係者の声も聞いたという。
ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は9月15日、USCCのランドール・シュライバー委員長(共和党)とクリス・スレイビン委員(民主党)へのインタビューを掲載した。2人は7月に北京、上海、杭州などを訪れた際の様子について語った。
シュライバー氏は、委員会が2019年以来、正式な代表団として中国を訪問できていなかったと説明した。今回の訪問により、委員らは現地で直接交流し、中国の経済や政治の現状を改めて把握する機会を得たという。
7年ぶりに中国を訪問
USCCは、中国がWTOに加盟した後で、米議会が設置した独立した超党派の諮問機関。米中の経済・貿易関係がアメリカの国家安全保障に与える影響を評価し、毎年、議会に報告書と政策提言を提出している。
委員会は議会が任命する12人で構成し、共和、民主両党から6人ずつ選ばれた。提言に法的拘束力はないが、議会の立法や監督活動の参考となる。近年は、米中の先端技術競争、サプライチェーンと新興技術、宇宙分野の競争、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の協力などを取り上げている。
シュライバー氏によると、会談した中国共産党(中共)当局者の多くは、米中関係や9月の首脳会談について前向きな姿勢を示した。
一方、こうした表向きな自信とは裏腹に、代表団は経済面で別の兆候も目にしたという。
シュライバー氏はVOAに対し、「こうした表面的な自信の一方で、経済的な課題や困難を示す兆候も確かに見えた」と語った。「列車で移動中、いくつかのゴーストタウンを通った。企業関係者とも話したが、経済成長の見通しや、一部の国の経済状況を懸念していた」と述べた。
スレイビン氏は、USCCの年次報告書に対する中共当局者の反応にも言及した。特に、中国が直面する経済上の課題を報告書で指摘した部分について、中共当局者から異論が出たという。
スレイビン氏は、中国を実際に訪れて調査することには大きな意義があるとして、「私たちとスタッフは、年次報告書や議会への提言に多くの時間をかけ、考え、掘り下げて調査している。中共側がそれにどう反応するのかを知りたかった」と語った。
首脳会談 関係安定 貿易 国際危機が焦点
9月下旬に予定されている米中首脳会談について、シュライバー氏は、首脳会談には両国関係の「最低ライン」を確保し、安定を保つ役割があるとの見方を示した。
首脳会談が必ずしも政策上の突破口につながるとは限らないものの、競争や関税、技術規制、安全保障上の摩擦によって両国関係が制御不能になるのを防ぐうえで役立つという。双方が直接対話を維持できれば、今後、意見の相違に対応するための最低限の対話の枠組みにもなる。
シュライバー氏は、トランプ大統領にとって2つ目の優先課題は、米中の経済・貿易関係になる可能性が高いとみている。
アメリカ側は、より持続可能な貿易の枠組みを模索するとみられる。シュライバー氏によると、トランプ政権は二国間貿易を「より均衡し、より公平にし、その結果として、より持続可能なものにする」と説明し、米中の競争が続くなかでも協力できる余地を探ることになるという。
3つ目は、イラン戦争やウクライナ戦争などの国際危機になるという。シュライバー氏は、こうした問題への対応で中国の協力を得られればアメリカにとって有益だとする一方、中共が協力するかは分からないとした。
スレイビン氏は、米中双方が、最先端AIの発展に伴うリスクや安全保障上の問題を話し合うため、AIをめぐる継続的な対話に関心を示していると付け加えた。
今後の焦点は、対話の範囲や、双方が具体的な仕組みを設けるか、さらに具体的な取り決めにつながるかどうかだという。
シュライバー氏は、習近平が輸出規制の緩和を求め、アメリカの技術へのアクセス拡大や技術協力の推進を図るとみている。
同時に中共は、台湾、南シナ海、チベットなど、「核心的利益」と位置づける問題について、アメリカ側が少なくとも段階的に姿勢を調整することを望んでいるという。
対中政策の超党派合意と人権問題
スレイビン氏は、対中政策や経済安全保障、国家安全保障をめぐるアメリカの超党派協力の基盤は、依然として「かなり強固だ」と述べた。
共和、民主両党は、戦術や具体的な政策手段をめぐって意見が分かれることがあり、議員が政権ごとの政策運営を批判する場合もある。
ただ、根本的には、中共がもたらす経済、技術、安全保障上の課題について、両党の間には依然として強い共通認識があると指摘した。
シュライバー氏も、こうした共通認識はUSCCの報告書だけでなく、近年のアメリカの対中政策の継続性にも表れていると説明した。
政権が交代しても、サプライチェーンの強靱性、半導体政策、先端技術への規制、輸出管理などでは、おおむね従来の方向性が引き継がれ、さらに強化してきたという。
人権問題について、スレイビン氏は、米議会では共和、民主両党が長年、人権を米中関係の重要な議題に位置づけるよう政府に求めてきたと説明した。米議会・行政府中国委員会(CECC)も、中国の人権問題を継続的に取り上げている。
シュライバー氏は、トランプ氏は通常、公の場で人権や民主主義を正面から語ることは少ないものの、それは個別の案件を取り上げないという意味ではないと説明した。「彼にとって重要なこともある」と語った。
その例として、自身が参加した最初の米韓首脳会談後、アメリカ側の働きかけで北朝鮮の政治犯数人を釈放したことや、トランプ氏が北京を訪問して数日後に、金明日牧師を釈放したことを挙げた。
シュライバー氏はさらに、中国で現在も拘束されているアメリカ人、ミン・ジン(Min Zin)氏に言及した。
ミン・ジン氏はミャンマー問題を研究する学者で、今年6月3日、中国雲南省で中共政府の招待を受けて学術会議に出席していた際に拘束された。アメリカ国務省はこれを正式に「不当な拘束」と認定している。
シュライバー氏は「ミン・ジン氏のように、今も拘束されているアメリカ人がいる。大統領がこうした問題を取り上げ、進展につなげる方法を見つけることを強く望んでいる」と語った。
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