東芝系半導体子会社が上海で登記抹消 約25年の中国事業に幕か

2026/09/16
更新: 2026/09/16

日本の東芝グループが上海に設立した半導体技術子会社が、約25年にわたる事業を終え、法人登記を抹消した。同社は長年、中国の家電・製造業向けに半導体の組み込みシステム向けソリューションを提供してきた。現時点で、東芝本社や東芝中国、中国の商務・市場監督当局はいずれも、登記抹消の理由について正式な説明を発表していない。

企業登記情報によると、中芝ソフトウェアシステム(上海)有限公司は2001年7月17日に設立された。資本金は1億1千万円で、外国法人が100%出資する企業。法定代表者は嘉部雅義氏で、登記住所は上海市徐匯区漕宝路。登記抹消前の従業員数は約26人だった。

中国進出から約25年 東芝系企業が登記抹消

復旦大学の経済学者、呉奎陽さん(仮名)は、中芝ソフトウェアシステムの登記抹消について、中国の経済環境が悪化を続けていることと関係しているとの見方を示した。

「25年間事業を続けてきた日系技術企業が法人としての活動を終えたことを、単なる企業再編と見るべきではない。少なくとも、外資企業が中国市場の収益性、経営コスト、政治的リスクを見直していることを示している。半導体や技術サービスを手掛ける企業は、データセキュリティーや政策変更、米中の技術対立に特に敏感だ」

東芝の公式サイトによると、中芝ソフトウェアシステムは東芝デバイス&ストレージ株式会社が全額出資して設立した。主に東芝製半導体を使った組み込みシステムの参考設計や技術サポート、半導体製品の企画などを提供してきた。関連技術はインバーターエアコンや洗濯機、冷蔵庫などの家電製品のほか、中国の製造業でも使われている。

同社は2001年8月に上海で正式に営業を開始し、2003年には南京に支社を設立。その後、上海本社を徐匯区へ移転した。2017年にはソフトウェア開発能力を評価するCMMIの最高レベル評価を取得し、2023年9月には再び移転した。

登記抹消のわずか数か月前まで、東芝が今年4月に公表したグループ資料では、中芝ソフトウェアシステムは主要な連結子会社として掲載されていた。東芝半導体の中国公式サイトにも現在、同社の事業内容や沿革、オフィス所在地が掲載されている。

呉氏は、近年の米中関係の緊張に伴い、世界のサプライチェーンで「デリスキング」の動きがさらに強まっていると指摘した。アメリカが中国向け半導体の輸出規制を強化するなか、中国に進出する日系企業は、中国と海外の双方で規制やコンプライアンスへの対応を迫られているという。

「一部の企業は中国で大規模な合弁プロジェクトや事業を抱えており、海外で企業買収や事業再編を進める際、既存の中国投資が規制上の障害になる可能性がある。例えば、日本製鉄は米鉄鋼大手USスチールの買収を進める中、中国宝鋼との20年間にわたる合弁関係を解消した。日本製鉄は両者の直接的な関連を否定しているが、こうした動きは、日本企業が中国、アメリカ、インドなどで事業資産の配置を見直していることを示している」

日系企業、中国事業の縮小相次ぐ

2025年以降、複数の日本企業が相次いで中国事業を見直している。住友ファーマは中国市場を含むアジア事業を売却。ソニーはXperiaスマートフォンの中国市場での展開を段階的に縮小し、キヤノンは中山のプリンター生産工場を閉鎖した。日産自動車も常州工場の生産停止後、武漢工場の生産能力をさらに縮小した。

こうした見直しは、医薬品、家電・電子機器、事務機器、自動車など幅広い業界に及び、資産売却や工場閉鎖、製品ラインからの撤退といった形で進んでいる。

すべてを中国からの全面撤退とみなすことはできないが、一部の日系企業は採算性の低い事業を縮小し、固定資産への投資を抑えることで、中国事業の長期的なリスクを抑えようとしている。

中国事業の拡大意欲、過去最低に

ジェトロの2025年度調査によると、中国で事業を展開する日系企業784社のうち、今後1~2年で中国事業を拡大すると回答した企業は21.3%にとどまり、2007年の調査開始以来、最低となった。

一方、縮小、第三国への移転、中国からの撤退を計画する企業は14.4%に上り、過去最高を記録した。残る64.3%は現状維持と回答した。

帝国データバンクの資料によると、2024年に中国で事業を展開していた日本企業は約1万3千社で、2012年のピーク時から1割近く減少した。

在日経済学者の田朗氏は、中国経済の成長鈍化や消費低迷、中国企業による激しい価格競争に加え、中共が国家安全や反スパイ関連の法執行範囲を広げていることが、日系企業に中国事業の再評価を促していると述べた。

「今年に入ってから、一部の日系企業は撤退を公表していなくても、工場閉鎖や子会社売却、人員削減、追加投資の停止などを通じて、中国事業の比重を徐々に引き下げている。大連でも多くの日系企業が撤退している。同時に、日本政府は近年、サプライチェーンの多角化を進めており、企業の新規投資も徐々にインドやベトナムなどへ向かっている。こうした動きはすでに一つの傾向となっている」

中共の公式統計によると、2025年の中国の外資受け入れ額(実行ベース)は7476億9千万元で、前年比9.5%減少した。

専門家は、中共が外資誘致を強調する一方、日系企業の中国事業拡大への意欲が過去最低となったことについて、当局の宣伝と外資企業の実際の判断には大きな隔たりがあるとの見方を示した。

葉子龍