多くの人は、食べて塩辛いものが高ナトリウム食品だと考えています。しかし実際には、日常的な食事の中にも高ナトリウムの落とし穴が数多く潜んでいます。ナトリウムを長期間過剰に摂取すると、腎臓や心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。腎臓専門医と栄養士が、日常生活でできる減塩方法を紹介するとともに、塩を加えなくてもおいしい料理を作る方法を教えます。
台湾・林口長庚紀念病院腎臓科の教授級主治医、顔宗海氏は大紀元の取材に対し、臨床では腎機能が低下している患者の中に、日常的に包装食品や外食を利用し、さまざまな市販飲料を長期間飲む習慣がある人が少なくないと述べています。
同氏は、食べても塩辛く感じない食品の中にも、実は多くのナトリウムが隠れており、一般の人が最も見落としやすい食事の落とし穴になっていると注意を促しています。
隠れナトリウム食品
多くの人は、食べてとても塩辛いものだけが高ナトリウム食品だと思っています。しかし実際には、食べても塩辛く感じない食品にも多くのナトリウムが隠れている場合があり、見落とされやすい高ナトリウム食品となっています。
食パンは、身近な「隠れ高ナトリウム食品」です。食べても塩辛く感じませんが、製造時には通常、塩が加えられ、生地の伸びや弾力を高め、食感を改善するため、少なくない量のナトリウムを摂取する可能性があります。
加工チーズ:味付けや保存期間を延ばすため、通常は比較的多くの塩分が加えられています。
トマトケチャップ:甘酸っぱい味が塩味を隠してしまうため、気付かないうちに塩分を摂り過ぎやすくなります。
野菜ジュース:一部の商品では、風味を高めるために塩が加えられています。
調味料:醤油、チリソース、味噌、カレールーなどは、一般的にナトリウム含有量が高めです。
また、アメリカ心臓協会のリストによると、チーズピザ1切れには600mgのナトリウムが含まれています。1日のナトリウム摂取上限を2,300mgとした場合、チーズピザを4切れ食べるだけで、ナトリウム量は1日の推奨上限を超えてしまいます。
顔宗海氏は、ナトリウムを長期間過剰に摂取すると、高血圧のリスクが高まるだけでなく、心血管疾患や慢性腎臓病の発症・悪化のリスクも高まる可能性があると注意を促しています。
2023年に「JAMA Network Open」に掲載された研究では、46万人以上の成人を追跡調査した結果、食品に追加で塩を加える頻度が高いほど、その後に慢性腎臓病を発症するリスクの上昇と関連していることが分かりました。また、21件のメタ解析を対象としたアンブレラレビューでは、ナトリウム摂取量が少ないことは、心血管疾患による死亡、脳卒中による死亡、全死因死亡のリスク低下と関連するとともに、血圧を下げ、血管の弾力性を改善するのに役立つことが示されています。
ナトリウムの7割以上は加工・調理済み食品から
日常の食事に隠れているナトリウムは、積み重なると摂取過剰になる可能性があります。アメリカ食品医薬品局(FDA)のデータによると、アメリカ人の1日の平均ナトリウム摂取量は約3,400mgで、推奨上限の2,300mgを約50%上回っています。
しかも、ナトリウムの70%以上は、加工食品、包装食品、調理済み食品から摂取されています。これには外食やレストランで提供される料理も含まれ、家庭で調理したり食事の際に加えたりする食塩からではありません。
台湾・可苡栄養相談センターの創設者である栄養士の黄苡菱氏も大紀元の取材に対し、ショッピングモールなどで電子レンジで温めるだけの即食食品を購入する人が多く、こうした食品は食品の安全性や味付けのため、ナトリウム含有量が比較的高くなっていると述べています。
同氏は、日常の食事ではできるだけ新鮮な食材を選んで自分で調理し、蒸す、ゆでる、煮込む、焼くなどの調理法を用い、ソースやナトリウムの多い調味料の使用を減らすことで、ナトリウムの摂取量を減らすことができると勧めています。
専門家が教える日常の減塩方法
顔宗海氏は、自身が日常生活でナトリウムの摂り過ぎを避けるために実践している方法も紹介しています。同氏は、「私はパンや食パン、その他の加工食品をまったく食べないわけではなく、適量を摂取しています」と話しています。
買い物をする際には食品表示を確認し、加工食品を食べる時にはナトリウム含有量に注意します。また、レストランで食事をする場合は、できるだけ薄味の料理を選び、追加のソースや過剰な調味料を控えることも、ナトリウムの摂取量を減らすのに役立ちます。
そのほか、日常の食事では油、塩、糖分を控え、プリン体の少ない食品を選び、新鮮な野菜や果物を多く摂取するとともに、喫煙や飲酒を避けることも大切です。
低ナトリウム塩は誰にでも適しているわけではない
顔宗海氏は、多くの人が低ナトリウム塩や市販の「薄塩」調味料なら必ず健康に良いと考えていますが、実際には誰にでも適しているわけではないと述べています。
同氏によると、一般的な食塩の主成分は塩化ナトリウムですが、低ナトリウム塩は塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えているため、ナトリウムの摂取量を減らすことができます。腎機能が正常な人であれば、低ナトリウム塩を適量使用しても問題ありません。
しかし、カリウムは腎臓から排出される必要があります。腎機能が低下している人はカリウムをスムーズに排出できないため、体内に蓄積しやすく、高カリウム血症を引き起こし、重症の場合には深刻な不整脈を招き、突然死のリスクを高める可能性があります。
そのため、腎臓病の患者は自己判断で低ナトリウム塩やその他の高カリウム調味料を使用するのは避け、必要な場合はまず医師や栄養士に相談してください。
飲料にもナトリウムや添加物が隠れている可能性
食品だけでなく、一部の飲料にもナトリウムが添加されている可能性があります。顔宗海氏は、無糖茶、無糖飲料、炭酸飲料には糖分が含まれていないため、健康的だと考える人が少なくないものの、市販飲料の中にはナトリウムやその他の添加物が含まれているものもあると述べています。
栄養成分表示を見ると、一部の商品には一定量のナトリウムが含まれていることが分かります。長期間、大量に飲み続けると、気付かないうちに1日のナトリウム摂取量が増える可能性もあります。
黄苡菱氏も取材に対し、過去に飲料業者と接した経験から、一部の茶飲料では風味を高めたり、「後味の甘さ」を演出したりするために、甘草などの香料を加える場合があると述べています。
研究によると、甘草を含む製品を長期間、過剰に摂取すると、ナトリウムや水分の貯留、高血圧、低カリウム血症などの問題を引き起こす可能性があり、重症の場合には不整脈を招くことさえあります。
黄苡菱氏は、腎機能に異常がある人は、上記のような飲料を長期間飲むことは特に避けるべきだと注意を促しています。飲料を選ぶ際には、ナトリウム含有量だけでなく、含まれている添加物にも注意してください。
同氏は、お茶を飲みたい時は自分で淹れるほうが、市販の茶飲料よりも望ましいと勧めています。水だけでは物足りないと感じる場合は、レモンのスライス、ミニトマト、少量の果物などを加えて、自然な風味の水にするとよいでしょう。
顔宗海氏は、日常の水分補給には白湯を中心にすることが、より健康的な選択だと指摘しています。水道水は塩素消毒の後、トリハロメタンなどの消毒副生成物が発生することがあります。そのため、いったん沸騰させたあと火を弱め、やかんのふたを開けたまま3分ほどさらに沸騰させ続け、揮発しやすいトリハロメタンを飛ばすことを勧めています。
塩辛いものを食べ過ぎたらどうすればよい?
黄氏によると、一時的に塩分を摂り過ぎた場合、腎機能が正常な人であれば、カリウムを豊富に含む天然食品を適量摂取することで、体内のナトリウムとカリウムの電解質バランスを維持し、ナトリウムの排出を助けることができます。例えば、濃い緑色の葉野菜、ゴボウ、ウリ類、ジャガイモ、キノコ類などにはカリウムが含まれています。
ただし、腎機能が低下している人やカリウムの摂取制限が必要な人は、自己判断でカリウムを多く含む食品を大量に摂取することは避けてください。
黄氏は、ハトムギ水、アズキ水、ゴボウ水などの自然な飲料を飲むことも勧めています。
調味料なしでもおいしい料理が作れます
黄氏は、調味料を一切加えなくてもおいしい料理を作る方法を紹介しています。同氏によると、ナトリウムの摂取量を減らすことは、食べ物の風味を犠牲にしなければならないという意味ではありません。天然食材そのものが持つ自然な甘みやうま味を上手に生かせば、塩や調味料への依存を減らすことができます。
ゴボウとエリンギの鶏スープ
材料(約3~4人分):
- 鶏もも肉2枚(食べやすい大きさに切っても可)
- ゴボウ1本
- エリンギ3~5本
作り方:
- 鶏もも肉を洗って食べやすい大きさに切ります。切らずにそのまま使っても構いません。ゴボウは皮をこそげてから乱切りまたは斜め切りにします。エリンギは幅の広い短冊状に手で裂きます。
- 鶏もも肉、ゴボウ、エリンギを鍋に入れ、すべての材料が浸るまで水を加えます。
- 強火で沸騰させた後、弱火にして30~40分ほど煮込みます。
ゴボウとエリンギは煮込む過程で天然のうま味と甘みを引き出すため、調味料を一切加える必要はありません。
大根とスペアリブの煮込み
材料(約3~4人分):
- スペアリブ約500g
- 大根1本
- パクチー1束
- 白こしょう少々
作り方:
- スペアリブを洗った後、熱湯で下ゆでし、取り出してきれいに洗います。大根は皮をむき、大きめに切ります。
- スペアリブと大根を鍋に入れ、材料が浸るまで水を加えます。
- 強火で沸騰させた後、弱火にして40~50分ほど煮込み、大根が柔らかくなり、スペアリブに十分火が通ったら、パクチーを加えて食べます。パクチーは好みに応じて量を調整してください。パクチーが苦手な場合は、少量の白こしょうを振って風味を加えてもよいでしょう。
さらに同氏は、大根そのものに自然な甘みがあり、煮込むことでその甘みがスープに溶け出すため、パクチーや白こしょうなどの天然の香辛料で風味を加えれば、塩を加えなくても十分おいしく仕上がると説明しています。
(翻訳編集 解問)
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