インタビュー

ゼロから億万長者へ、贅沢には無頓着 「カレーハウスCoCo壱番屋」創業者・宗次德二氏(2)

2017/04/16 06:00

スピーチタイトルは「第二の人生は社会貢献」

 第二の人生は社会貢献―。今年 1 月、都内で開かれた経済界大賞・社会貢献賞を受賞した飲食店大手「ココ壱番屋」創業者・宗次德二氏の受賞スピーチのタイトルだ。

 「お金はめぐるもの、授かりもの」と形容し、財産保持と名誉には興味はなかった。経営者から退いた後、社会貢献をする目的で NPO 法人イエローエンジェルを立ち上げた。音楽普及・振興、スポーツ選手育生、里親支援、学習支援、盲導犬基金など、幅広い分野で寄付や助成を行っている。法人名は「いろいろ援助する」をもじったもの。「目標をもって頑張る人にチャンスを与えてあげたい」と語った。

 壱番屋は 2015 年からハウス食品(株 51%保有)連結子会社となっているが、宗次氏と夫人が売却株で得た資金の多くは、これまで同様、社会貢献活動に当てている。

ココイチ創業者・宗次德二氏は、運営する音楽ホール「宗次ホール」内に、チャリティーコーナーを設置して慈善団体などを支援(野上浩史/大紀元)

時代を生き抜くリーダーとしての素質

 宗次氏は自身の語録を書籍化している。そのなかで頻出するのは「率先直範」という言葉。経営者だからこそ「現役」であり率先して実践する。「自分がふらふらしていたら誰もついてこない」。周辺の清掃や美化活動でさえ、自ら行っている。

 「遊びはしなかった、経営者時代は友人も一人も作らなかった」という実直さを貫く宗次氏。毎日、早朝4時台に出社して18~23時に帰宅。バブル時の80年代、不動産などの投資もしなかったため、バブル崩壊による影響もほとんどなかったという。

 見た目を飾ることにも関心はない。インタビュー当日の服装はスーツや靴含めて 3万円。胸元のピンブローチは現社長からプレゼントだという。「経営者は表現活動なんていらない、普通でいい」。

 現在、イエローエンジェルの事務所は、自身の趣味であるクラシック音楽の普及のために建設された、約230人収容の小規模音楽ホール「宗次ホール」1 階にある。宗次氏は、4 時前に起床して業務前の早朝の 1 時間半、周辺を清掃している。

 「宗次ホール」は交通量の多い片側4車線の久屋大通りから一本入った広小路通にあるため、開設当初、その存在に気付く人は実は多くはなかった。すでに億単位の資産を持つ宗次氏だったが、ホールの PR 看板を掲げて「千円でクラシックを楽しめるコンサートがありますよ!」と声を張り上げて路上で宣伝したという。肩書や体面など、少しも気にかけない宗次氏らしいエピソードだと、同秘書は語る。

 宗次氏の成功は、絶え間ない無数の努力の積み重ねであることがうかがえた。「長い人生、すべて自己責任。頑張れば豊かになる。努力は即効性あることではない、結果がすぐ得られないことに価値があることが多い。着実に目標をクリアしていけば、細かな問題は解決していけるもの。人生ゆっくり右肩あがり、あせらず、腐ってはならず、不満不平はないことが大切」。

(おわり)

(文・佐渡 道世)

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