奇妙な話

夫婦の縁は天が決める

夫婦は天が決めることで、変えることはできない。縁のある者が出会い、喜怒哀楽を共にする」

これは、母が話してくれた実話です。祖母は妊娠中、ある不思議なを見ました。夢のなかで、彼女は大河を眺めているうちに、空から二枚の紙人形が舞い降りてくるのを見ました。青い服を着た紙人形は大河の北側に落ち、もうひとつは紫色の上着に藍色のズボンを履いており、南側に落ちました。その後、ある日の早朝に祖母は私の叔母を産んだそうです。

時が経ち、叔母は美しい娘に成長しました。年頃になると、仲人が多くの縁談をもちかけてきましたが、その度に叔母は病気にかかってしまいました。医者にかかっても効き目がなかったのですが、仲人が縁談をもちかけなくなると、何事もなかったかのように治りました。

娘の将来を案じた祖母は、祈祷師に尋ねました。すると、この娘は神の使者であり、この災いをなくすためには、折り紙で紙人形を作り、彼女の服を着せて名前を書き、燃やせばよいと告げられました。祖母はそのとおりに行いましたが、仲人が縁談をもちかけてくると、またもや叔母は病気にかかってしまいました。祖母は途方にくれて、叔母を連れて私の母のところへやってきました。

祖母は、叔母を出家させたいと私の母に相談しました。母は、「そんなに早まらないで、私がもう一回祈祷師を探してみるから」といって止めました。

ある日、父と仲の良い隣村の農家のおじさんが遊びに来ていました。彼は、いつもの調子で祖母のことや娘の結婚のことなどを尋ねてきました。母が、まだ結婚相手がみつからないと話すと、「背はそんなに高くはないが、とても真面目で体も丈夫な男を知っている。家は黄河の北側にあるから、俺が話してくるよ」と嬉しそうに話しました。

その後、二人を引き合わせたところ、叔母は病気にかからず、かえって元気な様子でした。叔母はすでに19歳になっていたので、祖母はすぐにその相手との縁談をまとめようとしました。しかし、母はもう少し待つことを提案し、約3カ月が過ぎました。その後も叔母は病気にかからなかったので、仲人と相談し、二人は結婚することになりました。母は、妹にきれいな服を着せて嫁がせてあげたいと思ったそうです。

結婚式の当日、叔母は母が作った紫色の上着に藍色のズボンを着用し、両家の親のところへ挨拶に行きました。祖母は娘の晴れ姿を見たとたん、20年前に見た夢を思い出しました。

「やっと娘にふりかかった災いの原因が分かったよ。夫婦の縁は天が決めることだから、縁がない人との結婚話が持ちあがると、そのたびに娘は今にも死にそうな病気にかかったんだ」

20年前に見た夢に出てきた2枚の紙人形は、叔父と叔母だったのです。叔母の夫の実家は黄河の北側に、叔母の家は南側にあります。祖母は、すでに夢で叔母の将来を予見していたのです。

(明慧ネット/翻訳編集・淳萌)