【千古英雄伝】チンギス・カンーーモンゴル草原の凱歌(二)王者への路

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最初の試練

ユーラシア大陸の新たな局面を切り開くという大きな使命を果たすには、それなりの苦しみと厳しい道のりを乗り越えなければなりません。テムジンは9歳の頃、嫁探しのため、父親のイェスゲイとともに旅に出ました。

親子2人はコンギラト部族にやってきました。その首領のデイ・セチェン(セチェンは賢者の意)に会うのです。デイ・セチェンは独特の鋭い洞察力を持った首領で、目に光を宿したテムジンを見ると、私は以前「白海の青い鳥が光を帯びながら天から舞い降り、我の手の上に停まったのを夢に見た」とイェスゲイに伝えました。

夢で見た吉兆が福音をもたらすであろうと信じたデイ・セチェンは、娘のボルテをテムジンと婚約させました。そうしてテムジンは少しの間、デイ・セチェンの家に滞在することになりました。

嫁探しも上手くいき、一人でイェスゲイが家路を急いでいる途中、彼はのどの乾きを感じ、のどを潤すためにタタル族の宴会に立ち寄りました。

豪快で警戒心を持たないイェスゲイは、出された飲み物に毒が入っていることを知らず一気に飲み干してしまいました。帰る途中、イェスゲイは具合が悪くなり、家に着いた後、容態は悪化していき、ほどなくして彼は亡くなってしまいました。このイェスゲイの死はまだ幼い少年のテムジンに大きな衝撃を与え、忘れることのできない思い出の悲しい1ページとして、その心に深く刻み込まれたのです。

イェスゲイの死を知った同族のタイチウト氏の首長は、自身の覇権を取り戻そうと、信義に背き、イェスゲイ一家の全家財を奪いました。イェスゲイの忠実な下僕だったチャラカ翁は、次から次へと去っていく配下の遊牧民や将官たちを留まらせようと必死に説得しましたが、皆からは「池は乾き、石も砕けた。これ以上ここにいてどうするというのだ?」と言われ、その上、侮辱されました。

この時、タイチウト氏の者が突如槍でチャラカ翁の背中を突き刺し、老人はその場に倒れました。チャラカ翁が刺されたという知らせを聞き、テムジンは急いで駆けつけ、倒れている瀕死のチャラカ翁の様子を見ると、悲痛な呻き声をあげ泣き叫びました。

生死の別れを立て続けに2回も経験し、かつての仲間にも裏切られ、残酷な現実に直面して、テムジンの幼い心はすでに傷だらけです。家財をも奪われ、部族から追い出されたテムジンは、母と兄弟たちをどのようにして守っていくのでしょうか?先の見えない棘だらけの道で、すべてを失ったテムジンは、果たしてどのように王者への道を切り開いてゆくのでしょうか?
 

(つづく)
(翻訳編集 天野秀)