高齢者の方、筋肉と骨の減少防止に、タンパク質を多く摂りませんか

慢性疾患の予防や肥満防止のために、中高年は意識的に肉食を減らし、中には魚をやめて軽食にする人もいます。 しかし、タンパク質を十分に摂らないと、加齢とともに栄養の吸収が悪くなることと相まって、栄養失調になり、体力の低下、筋肉量の減少、骨粗しょう症、さらにはサルコペニアや骨折を起こしやすくなるのだそうです。

台湾の天晟病院の栄養士である蔡宗銘氏によると、タンパク質は体の細胞の主成分で、体の機能を継続するためのエネルギーを与え、回復を助ける重要なアミノ酸を供給します。タンパク質を構成する長鎖アミノ酸は、筋肉組織の維持に不可欠なものです。 「台湾老年医学雑誌」のレビューでも、タンパク質の摂取量を増やすと骨密度が上がり、骨の健康が守られることが指摘されています。

それだけでなく、栄養失調が続くと体内の血液中のアルブミンなどのタンパク質が減少し、免疫機能が低下して風邪をひきやすくなったり、認知機能が低下したり、傷の治りが遅くなったりすることもあり、複合的に考えると寝たきりのリスクが高くなります。

栄養不足のため、高齢者の中にはどんどん痩せていく人がいます。 この過度な「痩せ」はもっと警戒すべきです。日本の国立がん研究センターの研究によると、BMI(体重と身長から算出される肥満度)が両極端の人は、標準体重の人に比べて死亡率が約2倍であることがわかりました。 つまり、太り過ぎも痩せ過ぎも死亡リスクを高めるということであり、痩せ過ぎの男性は肥満の人よりも10年内に死亡するリスクが高いということです。

高齢者の栄養失調はどのように見分けるのか?

高齢者が栄養失調かどうかを判断するには2つのポイントがあります。

1. 過度な体重減少

台北栄民総医院家庭医学科の王怡人医師と劉瑞瑶医師の論文によると、中年以降は摂食障害がない限り、実は体重は比較的安定しており、多少の減少はあっても大きな変化はないそうです。 
例えば1カ月で元の体重の3%、3カ月で10%など、大幅に体重が減少した場合は警戒が必要です。

2. アルブミン値の低下

アルブミン、プレアルブミン、コレステロール値などの指標は、いずれも栄養状態を評価するために使われます。このうち、アルブミンとプレアルブミンがより一般的に使用されています。

高齢者は健康診断でアルブミン値が3.5mg/dl以下なら要注意とされており、栄養失調の危険性が高いと言われています。 栄養失調のほか、肝機能の低下やその他の病気でもアルブミン値が低下することがあるので、医師に相談して総合的に判断することが大切です。

高齢者は体力向上のために十分なタンパク質とカロリーを摂取する必要があります。
高齢者が十分な体力を維持し、筋肉や骨を丈夫に保つためには、食事でタンパク質やカロリーの摂取に特に気を配る必要があります。 一般的な人の1日の推奨摂取量は、おおよそ次のとおりです。

高齢者のタンパク質とカロリーの推奨摂取量 (大紀元作表)

 

もちろん、脂質や糖質、ビタミン、ミネラルなど他の栄養素も欠かせませんので、バランスよく摂取する必要があります。

具体的には、高齢者は毎日何を食べればいいのでしょうか? 日本の栄養学の権威であり、女子栄養大学の創設者、香川綾博士は、生涯にわたって栄養バランスの重要性を訴え続け、人間の身体に必要な食物を栄養と機能によって4つに分類する「四群点数法」を提唱し、栄養学の分野で注目されています。 また、高齢者は体の状態に合わせて、1日に必要な栄養素を摂取する必要があります。

高齢者が毎日摂取すべき栄養食品群:

高齢者が毎日摂取すべき栄養食品群(大紀元作表)

 

噛んで吸収しやすいタンパク質の食べ方4選

高齢者は加齢により咀しゃくや胃腸の吸収機能が低下するため、肉類などのタンパク質食品を食べにくくなることがあり、食事の準備に注意が必要です。 タンパク質食品を食事に取り入れ、咀しゃく・消化しやすくする4つの方法をご紹介します。

1. お粥に豆や刻んだ野菜や肉などを好みで加え、一緒に炊き、適量の油と塩を加える。
2. 麺を茹でるときに、卵や薄切りの肉、野菜などを加えてスープ麺にする。
3. 牛乳に卵を加えて、歯がないお年寄りに適した茶碗蒸しを作る。
4. 肉と調味料をよくかき混ぜてミートボールを作り、野菜と一緒に煮込んでミートボールスープにする。

高齢者の体力補填に役立つ簡単レシピ3選

●ふわふわフレンチトースト

材料:食パン 1枚、牛乳 100cc、卵 1個、砂糖 大さじ1、バニラ 少々、はちみつ 小さじ2

作り方
1)食パンを4×4等分に均等に切り分け、計16枚を容器に並べる。
2)牛乳、卵、砂糖、バニラを混ぜ合わせ、パンに振りかけて浸し、600wの電子レンジで1.5分加熱する。
3) お皿に取り出し、はちみつをかけて出来上がり。

●蒸し魚

材料:鯛の切り身 150g、シソの葉 10g、トウチ 10g、刻みネギ 6g、おろし生姜 5g
調味料:酒 15cc、醤油 10cc、ごま油 10g、砂糖 5g

作り方
1)トウチ(豆鼓)を細かく切り、刻みネギ、おろし生姜、酒、醤油、ごま油、砂糖、水30ccを加えてよく混ぜ合わせる。
2)皿の底にシソの葉を敷き、短冊切りにした魚をシソの上に並べ、調味料を振りかけて強火で10分ほど蒸して、出来上がり。

魚はタンパク質が豊富で、食感も柔らかいので、高齢者にも向いています。写真はイメージです。 (Shutterstock) 

●牛肉団子

材料:牛ひき肉 120g、シログワイ100g、チンゲン菜 200g、刻みネギ 15g、生姜みじん切り 5g
調味料:酒 20cc、醤油 20cc、でんぷん 15g、こしょう 5g、塩 3g

作り方
1)チンゲン菜を茹で、取り出して冷水に浸す。
2) シログワイを砕き、ひき肉、刻みネギ、生姜みじん切り、酒、醤油、でんぷん、こしょう、塩とよく練り合わせる。
3)牛肉をボール状にし、フライパンで15分ほど蒸し焼きにする。 お皿にチンゲン菜を敷き、その上に蒸し牛肉団子を盛りつけて出来上がり。

高齢者は十分な栄養摂取のほかに、適度な日光浴、水分補給、適度な運動をして、新陳代謝を高め、体力をつけることが大切です。 しかし、やはり高齢者の方は若い人とは吸収力が違いますし、病気の方は特に食事に気をつける必要があります。 医師による定期健診を受け、足りない栄養素を補うことが一番でしょう。

李梅