「何を恐れているのか」
「誰と飯を食い、酒を飲むのも自由だろ。それまでお偉いさんの許可が要るのか」
中国では、個人の生活までもが監視対象になりつつあり、共産党当局は「みんなに議論されるのが怖い」と言わんばかりに、あらゆる集まりに目を光らせ、統制を強めている。
湖南省長沙市では、10卓以上・約100人規模の会食を受けた飲食店は、関連部署への報告が義務付けられた。500人超では担当者による事前指導、1000人超となれば市場管理部門など複数の当局が現場に赴き、共同で監督・指導を行う決まりだ。
一方、「公務員会食禁止令」も各地で相次ぎ、家族以外の3人以上の会食が処罰対象となる。名目は「派閥形成の防止」や「規律の徹底」だが、実態は、政権内の不安や情報漏洩への過剰な警戒と見られた。
その矛先は、ついに弁護士業界にまで及んだ。7月2日、貴州省畢節市の弁護士協会が通達したのは「弁護士会食・飲酒禁止令」で、共産党員弁護士は会食時に司法局への報告が義務付けられ、非党員でも所属事務所への届け出が必要とされたうえに、いかなる場合でも飲酒は禁止された。6月には安徽省でも同様の措置が取られた。

大紀元の姉妹メディア・NTD新唐人テレビの取材に対し、中国のネット作家・呉氏は「私人の生活にまで干渉するのは異常だ」と憤る。自身も江蘇省揚州市で友人と食事をしていた際、警官30人に踏み込まれ、全員が連行された経験を語った。「まだ料理も出ていないのに連れて行かれるなんて、あまりに馬鹿げている」と振り返った。
現場では「酔ってつい『本音』を話されるのが一番都合が悪いのだろう」との皮肉も聞かれるが、決して的外れとは言えない。中国共産党(中共)政権が本当に恐れているのは、外からの批判ではなく、内側から漏れ出す「真実」だ。
大紀元がこれまでに収集・分析した情報によれば、習近平はすでに実権を徐々に失い、「名ばかりの指導者」として表に立たされているに過ぎないとの見方もある。現場レベルにまで及ぶ過剰な締め付けは、権力構造の動揺を映し出したようだ。
言葉を封じ、つながりを断ち、団結を恐れる国家に、果たして持続可能な未来はあるのか? 静かに、しかし確実に、崩壊の足音が近づいた。

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