ディープな台湾探見

阿里山の隙頂で茶園、雲海、夕映えに日の出ウォッチングを一気に満喫

台湾の嘉義県の山間に広がる阿里山山脈は、世界屈指の登山鉄道が走り、巨木が有名で、他にも雲海、日の出、夕霞が美しく、古くから景勝地として人々に知られてきました。現在は阿里山国家風景区に指定され、豊かな自然と美しい景色を目当てに、今もたくさんの観光客、写真愛好家などがこの地を訪れます。

いつもと違う阿里山の風景を体験するため、私達は観光客ならほとんどが訪れる国家風景区内にあるご来光スポットには行きません。今回は山腹に入り、隙頂二延平歩道のおすすめスポットをご紹介します。

隙頂は「茶畑」「雲海」「二延平歩道の夕映え」と、「3つの宝」と呼ばれる絶景スポットがあります。特に毎年11月~翌年4月、北東方向から吹く猛烈な季節風、「東北モンスーン」の影響で雲海が見えやすくなります。

前線の接近などで気流が不安定な時は、雲がまるで滝のように流れ落ちる「雲の滝」が見られると言われています。タイミングがよければ、1泊2日の旅でも隙頂の名物「茶畑」「雲海」「二延平歩道の夕映え」や「雲の滝」「日の出」を堪能できますよ。

二延平歩道の出発点は阿里山行きの自動車道、台18線(約52.8km)に位置しています。その付近は駐車場、売店が揃っていて、木桟式の階段も整備されています。歩道に沿って行くと、展望台に着きます。展望台からは美しい雲海、夕焼けを眺めることができます。

私達は民宿の女将さんから、二延平の歩道の階段を上るのはお年寄りには不便なので、この新しい登山道、「らくらくルート」を作ったと聞きました。このルートだと民宿から展望台まで約1時間40分で行けると聞いたら、こうしてはいられません。

このルートで行けば、山腹あたりにある民宿で「日の出」の見える部屋を予約できれば、翌日の朝、部屋に居ながらにして日の出を迎えるだけではなく、隙頂の美しい景色も1日で一気に見られるのです。

女将さん自らが案内してくれるチャンスを逃さないように。民宿のワンちゃんも私達の同伴旅行を楽しみにしている様子です。さぁー、出発ですよ!

(動画はこちらから↓)

 

象の形をした山

民宿を出て、コンクリート道に沿って進むと、まもなく雄大な山々が見えます。聳え立っている山々の中に、象の形をした「象山」が遠望できます。私たちのいる場所が高ければ高いほど、「象山」も立体的に見えるような気がします。

ワンちゃんが山道を先導し、時々私たちが遅れていないか振り返って確認しています。こうしてワンちゃんについていけば安心感があって、気持ちのよい旅ですね!途中、嘉南平原、仁義潭なども見渡せますよ。

聳え立っている山々の中に、象の形をした「象山」が遠望できます(動画のスクリーンショット/1000步的繽紛台灣)

  

秘境の茶畑へ

小さいロータリー広場に来たら、右側のほうへ行けば二延平歩道と合流しますが、今回、私たちは左側の山道、秘境の茶園のほうへ進みます。

わぁー美しい茶畑が姿を現しました。こちら側は山の斜面に広がる茶畑の畝が見え、向こう側には阿里山の峰々が見えます。まるで自分が絵画の中に置かれているような感じがします。こんな壮大な景色に囲まれるなんて最高な気分です。空気も新鮮で、ずっとここにいたい……と思ってしまいます。

山の斜面に広がる茶畑の畝が見え、向こう側には阿里山の峰々が見えます。まるで自分が絵画の中に置かれているような感じがします(動画のスクリーンショット/1000步的繽紛台灣)

 

涼亭で幻の景色を眺める

両側を茶畑に挟まれている小道を歩いていったら、分かれ道に来ます。右上に上る道へ行くと、壮大な景色を眺められる涼亭につきます。

涼亭は二延平歩道と合流する道で初めて出会うあずまやです。山々に囲まれ、曲がりくねった道沿いに巨石が敷き詰められた茶畑は美しく、お茶の葉っぱから太陽の光が透け、黄緑色にきらめいています。

一面の雲と、もやが谷間を覆っている光景はなんとも言えない美しさです。歩いていると時折、ほのかにお茶の香りが漂うこともあります。遮るもののない雄大な景色を眺めながら、歩くと開放感に包まれ、まさに至福のひと時です。

遮るもののない雄大な景色を眺めながら、歩くと開放感に包まれ、まさに至福のひと時です(動画のスクリーンショット/1000步的繽紛台灣)

 

二延平歩道の頂点で雲海、夕焼けを見る

階段に沿って上っていくと、「二延平歩道 第二休憩亭」という標示が見えます。ここから、「第二休憩亭」へは、長さ約150メートルの急なスロープを上れば行くことができます。途中、竹林などを通り、さらに登っていくと、電気タワーが見えます。今、二延平歩道で最も高い「第一休憩亭」と展望テラスに接近するところです。

この展望テラスでは、平日でも午後からは多くのカメラマンが撮影に来て、コンデジや一眼レフカメラなどズラっと横一列に並べ、皆、雲海や夕映えを待っています。

もやに覆われていたと言いましたが、一瞬で、天候は回復しました。霞と雲はすぐ現れたり消えたりして変わりやすいです。もう少し待てば夕日が見えるかもしれません……。しかし待っているうちに、山の天気は想像を超える速さで劇的に変化していきました。美しい夕日を見渡すのを期待していたのに、最後まで雲の滝しか見えませんでした。

山では1日の中にも四季があると感じました。本当にいい気分でした。女将さんにとっておきの散歩道を案内してもらい、大変ありがたかったです。夕日は見ることができませんでしたが、二延平歩道の旅を終えるということで鍋料理を事前に予約しておきました。では、自動車道路(台18線)に戻り、交番近くにあるお店へ食べに行きましょう。

 

冬限定の特別鍋料理

暗くなるにしたがって、だんだん寒くなってきました。私が注文したものは冬限定の「薑母鴨鍋」です。「薑母鴨鍋」は鴨肉をベースに、ごま油、古生姜、米酒、数種類の漢方食材をブレンドして作られた台湾の鍋料理です。

この鍋の注目すべきところは、野菜の量がたくさんで、海鮮やお肉が10種類以上もあります。メインディッシュさながらのサイドディッシュです。みずみずしい野菜などは大きい花束みたいに盛り付けられています。具材も新鮮で、香りもよく大満足です。ここの野菜全ては店主のお母さんが栽培している高山食材です。とれ立て野菜のため、予約しなければなりません。他にもいろいろな種類の鍋があります。私は人気のかぼちゃ鍋をおススメします。

具材も新鮮で、香りもよく大満足です。ここの野菜全ては店主のお母さんが栽培している高山食材です。とれ立て野菜のため、予約しなければなりません(動画のスクリーンショット/1000步的繽紛台灣)

 

いよいよ、日の出を迎える

次の日の朝、ここの日の出時間は約6時12分で、私達は5時40分頃から部屋で日の出を待ち始めました。向こうの山の稜線(尾根)はもう少し紅く黄色く染まっており、日の出が待ち遠しいです。ここは山の中腹に位置するため、やっと朝日が稜線から顔を出しました。冬の太陽の光が私たちに降り注ぎ、それを浴びまくると、幸せな感じがします。この部屋からは何も邪魔するものがなく、まっすぐに見えて日の出を望むのには素晴らしい場所です。

民宿の朝食も豊富で、朝からパワーを充電できました。

機会があったら、ぜひ隙頂の二延平歩道で散策を楽しんでくださいね!

 

1000歩的繽紛台湾から転載

(翻訳編集・蘇燕)