台湾総統選挙の開票の夜、民進党の支持者たち。台北市北平東路にて。2024年1月13日撮影。(宋碧龍/大紀元)

「頼清徳に当選してほしくなかった」が中共の本音 中国SNSでは選挙ワードが禁句に

1月13日に投票が行われた中華民国(台湾)総統選挙では、与党・民進党の頼清徳氏が550万票を超える票を獲得して次期総統に当選した。現総統・蔡英文氏の任期は、今年5月24日(予定)に頼氏が新総統に就任するまでとなる。

同日に行われた台湾の議会・立法院の選挙では、民進党は過半数を維持できなかったが、3期連続で、中共に厳しい姿勢を示す民進党(民主進歩党)から総統が生まれたことになる。

2022年11月26日に行われた台湾の統一地方選挙では、各地で優勢であった国民党の候補に対して、一部地域を除いて民進党は終始劣勢にまわった。当時、中共はこれを「台湾の民意が示されたものだ」と称していた。

しかし、今回の頼氏の当選により、中国共産党の台湾選挙への介入計画は失敗。台湾世論を操作しようとする北京の野望が挫折したことになる。

この日、台湾海峡をはさむ対岸の中国では、官製メディアは揃って沈黙しており、世界が注目した台湾総統選挙について、ほとんど報道していない。

それどころか、中国SNSウェイボー(微博)では「当選」を意味する台湾語の「凍蒜」をはじめ、「台湾選挙」「台湾大選(選挙)」「2024台湾大選」など選挙に関連する言葉を敏感ワードに指定し、中共当局によって関連話題が全て封殺に遭っていたことがわかった。

台湾総統選の日、投票開始後にハッシュタグ「台湾選挙(中国語:「台湾大選#」)」がホットリサーチ入りし、1.6億回以上の表示数を記録した。しかし、同ハッシュタグは、投票開始から2時間以内に削除されている。

エポックタイムズの取材に応じた、SNSなどで人気の財経評論家・蔡慎坤氏は「今回の台湾総統選の結果は、中共が最も望んでいないものだった」と指摘する。

「今回の台湾選挙に対し、中共による介入の手法は一新された。台湾に対する『文攻武嚇(言葉で攻撃し、武力で威嚇する)』はいつも通りだが、これに加えて世論を操作するためのニセ情報の散布、軍用機による嫌がらせ、政治家の買収。さらには、選挙を目前に控える時期に、初めて台湾周辺や上空に気球を飛行させた」と蔡氏は述べた。

中共にしてみれば、こうした恫喝や世論操作、フェイクニュースの流布までが「全て裏目に出た」というのが、今回の総統選の結果であっただろう。

関連記事
[東京 23日 ロイター] – 米インド太平洋軍のアキリーノ司令官は23日、中国経済が「失敗」しつ […]
笹川平和財団は台湾有事を想定した机上演習を実施し、その報告書を3月末に公表した。報告書によると、もし米中が台湾をめぐり軍事衝突した場合、日米台すべてに甚大な被害が及ぶことが明らかになった。
台湾国防部は3日、中国軍機30機と海軍の艦船9隻が2日朝から3日朝にかけて、台湾周辺の空海域で確認されたと発表した。一部の軍用機は台湾海峡の中間線を越え、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した。
ロシアによるウクライナ戦争が続く一方、中国共産党による台湾有事のリスクが高まっている。世界最大の軍事力を備える米国は、力の配分という難題に直面する。専門家の2人は「米国はウクライナより台湾を優先すべき」を論題にした安全保障政策をめぐる議論を通じて、米国の課題をあぶり出した。
台湾国家安全局の蔡明彥・局長は11日、中国が平均して7─10日おきに台湾付近で「共同戦闘準備哨戒」を行っていると指摘、中国軍が台湾付近での演習を「常態化」しようとしていると述べた。