生姜の健康パワー 消化を助け、体を温める万能香辛料

ほとんどのスーパーに置かれている、ねじれた球状の根である生姜は消化を促す鍵になるかもしれません。

生姜は手に入れやすい香辛料(生薬でもある)の一つで、身体を温める効果があり、寒い季節や冷え症の人にぴったりです。香辛料の専門家であり、ABECA Naturalsのオーナーであるアシュリー・マーフィー氏は、エポックタイムズに対して、消化器系に関する問題、例えば吐き気、便秘、膨満感、痛み、ガスに対し生姜は非常に効果的だと述べています。

「生姜が大好きです。素晴らしい生薬です」「食事を薬として考えるのが好きなら、もっと生姜を食事に取り入れてください」と彼女は言います。

辛み、そして少しの(塩味、甘み)など生姜の複雑な風味は、キッチンでの定番となっています。生姜を使用してきた歴史をみると、健康を促進する成分から、生姜は胃腸に不調が現れた時によく食べられてきました。

吐き気の軽減

 吐き気の原因に関係なく、生姜はさまざまな症状に使える手軽な対策で、リスクもほとんどありません。特に、妊娠中の女性のつわりや、治療の副作用として吐き気に悩む、がん患者にとって有益です。

使用方法としては、フレッシュな生姜のスライスをかんだり、舐めたり、生姜のエッセンシャルオイルの香りを嗅いだり、液体エキスを摂取する方法があります。液体エキスには、アルコールを使った液体溶剤や、植物性グリセリン抽出物などがあります。また、「生姜は、はちみつ漬けにしてを食べることもできますよ」とマーフィー氏は述べています。

吐き気のポイントは、味覚でフレッシュな生姜を感じることです。エキスをカプセルにすると吐き気に対する効果は同じようには得られません。「その風味を味わって唾液と触れると、それが消化システムにメッセージを送るようになり、吐き気の感覚がほぼ瞬時に和らぐのです」とマーフィー氏は言いました。

2024年に医学誌『Advances in Nutrition』が掲載したレビューでは、生姜は妊娠中の吐き気に対して、従来の治療法と同等以上の効果があることを示す証拠が多くあります。特に重大な副作用も報告されていません。

栄養学の専門誌『Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics』が発表した103人の被験者を対象にした実験によると、生姜は吐き気、嘔吐、疲労、栄養失調を和らげるための、より快適で安全な選択肢であるとしています。

 

物事を進める

生姜はガスの発生を防いだり、和らげたりします。また、消化酵素の生成を助けることで腸内で食物がスムーズに消化されるのをサポートし、便秘、消化不良、膨満感の改善に役立つことがあります。

「生姜の最も良く知られている利点の一つは、消化器系の健康をサポートする能力です」と、『International Journal of Progressive Research in Engineering Management and Science』のレビューには記されています。

「生姜の主要な生理活性成分であるジンゲロールは、消化酵素を刺激し、胃が活性化するので、お通じも良くなると考えられています」

生姜は伝統的な中国医学(TCM)やインド医学でも欠かせないもので、消化を促進し、多くの消化器系の不快感を和らげることで尊ばれています。

具体的には、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、胃潰瘍、そして胸焼け、膨満感、過剰なガス、満腹感の不快感を引き起こす消化不良に対して抗炎症作用などがあります。

科学雑誌Pharmacological Research—Modern Chinese Medicine のレビューには「生姜は何世紀にもわたり、さまざまな消化器系の疾患に対する自然療法として使用されてきました。そして使用を支持する科学的証拠もあります」と、記しています。

レビュー全体では、生姜が慢性的な消化症状の治療法や補助療法として効果的であるとしています。しかし、治療の長期的な安全性や有効性、適切な投与量を明確にするためには、さらなる研究が必要だと述べています。

 

生姜は体温を上げる

中国伝統医学(TCM)の観点から、生姜は血液循環を促進することで体温を上げる効果を発揮します。これは血液循環が停滞している人には良いことですが、Laurel Tree Wellnessのオーナーで薬草医のナオミ・キルブレス氏によれば、一部の人には問題を引き起こす可能性があります。

「生姜は新鮮な状態では体を温め、乾燥させると熱くさせます。既に体が熱を持っている人には、刺激が大きすぎることがあります」と言い、また重度の胸焼けや慢性的な頭痛に悩む人は症状を悪化させることもあると付け加えました。

乾燥した生姜を食事に使う際の注意点

キルブレス氏によれば、治療効果を実感するために、乾燥生姜は料理のレシピで指定された量よりも多く使う必要があることが多く、ティスプーン1杯で12人分を作るレシピなどでは十分ではないことがあります ですから、食事に少量の生姜を追加して料理に混ぜることも勧めています。

生姜の体温上昇効果を和らげるためにレモンを加えることは効果的です。レモンはその熱の中和に役立つとキルブレス氏は述べています。
 

専門的な調整

キルブレス氏は、生姜は根茎であるため、生姜茶を作る場合は他のハーブティーよりも長時間浸す必要があると述べています。通常、10~12分が目安です。
しかし、最も強力なジンジャーティーは煮出して抽出します。これは20分ほどじっくりと煮込むことで、植物の成分を最大限に引き出す方法です。

消化効率を高めるために、キルブレス氏は食事の前に約半カップのジンジャーティーを飲むことを勧めています。

消化の問題に対しては、生姜は必ずしも味わう必要はないとマーフィー氏は述べています。この場合は、カプセルで摂取することも可能です。

しかし、脱水症状や便秘を抱えている人は生姜をお茶の形で摂取することを勧めます。そうすれば、水分も摂取することができるからです。

キルブレス氏は、もし一日に何度もお茶を作るのが面倒であれば、たくさん作って冷蔵庫に数日間保存することを勧めています。その場合、冷たくして飲んでも、再加熱して飲んでも楽しめます。

重めの食事による短期的な消化不良は、生姜を1~2日摂取することで解消できると彼女は述べています。しかし、慢性的な消化不良症状がある場合は、症状が解消するまで1~2か月間生姜を摂取することを勧めています。

マーフィー氏によれば、生姜の摂取量や使用する形態は人それぞれ異なります。

 「乾燥した生姜は新鮮な生姜よりも体に対して局所的な温め効果が強いことがあります。新鮮な生姜はもっと広範囲に分散し、より穏やかな効果です」と言います。

生姜の液体抽出物は自宅で作ることもできますが、ほとんどの人は薬草医から購入します。また薬草と抽出する水分の比率によって摂取量が異なり、この比率は調剤師によっても異なる場合があるので注意が必要だと述べています。

しかし、自宅で生姜のはちみつ漬けを作るのは簡単です。新鮮な生姜の皮をむき、小さなキューブに切ります。そのキューブをはちみつと混ぜ合わせ、数時間冷蔵庫で冷やします。その後、ワックスペーパー(パラフィン紙)の上にキューブを並べ、冷蔵庫で保存できる容器に入れます。

 

注意点

専門家の二人は、妊婦が生姜を使用する際には慎重を期すよう警告しています。摂取量が多くなると早産の引き金になる可能性があるためです。ただし、Advances in Nutrition のレビューでは、妊婦を対象にした研究で有害な出来事は報告されていません。

「どんな優れた専門家も、何を摂取しているかを医師に伝えるようにアドバイスするでしょう。なぜなら、医師はそれを摂取しない方が良いかどうか、その理由を伝えてくれるからです」とマーフィー氏は言いました。

生姜は血液をサラサラにする作用もあります。血液凝固剤を服用している場合は、生姜を摂取する前に医師に相談してください。また、マーフィー氏は、生姜は手術予定の2週間前には避けるべきだとも言っています。

生姜は、医学的および料理的な観点から広く魅力があり、使用は安全とされています。

「生姜は楽しい香辛料(生薬)です。なぜなら、多くの人がすでに料理に取り入れることに馴染みがあるからです」とキルブレス氏は言いました。「それが定期的に摂取すれば、自然と消化システムの機能が改善されるでしょう」
 

(翻訳編集 山本 拓)

イリノイ大学スプリングフィールド校で広報報道の修士号を取得。調査報道と健康報道でいくつかの賞を受賞。現在は大紀元の記者として主にマイクロバイオーム、新しい治療法、統合的な健康についてレポート。