近年、中国では土地譲渡、外国投資、失業率に関するデータの公表が止まっている。火葬に関する統計や特定のビジネス信頼指数の発表も中断し、公式の醤油生産量に関する報告も姿を消した。写真はイメージ図である(Hector Retamal/AFP/Getty Images)。

中国経済データ消失の真相 「中共はすでに行き詰まっている」と専門家

中国経済に関する重要な統計データが次々と非公開となっており、投資家や研究者の間で懸念が広がった。土地譲渡、失業率、外国投資といった指標の突然の公表停止の背景には、中国共産党による統制強化と経済状況の悪化があった。中国問題の専門家ゴードン・チャン氏は、「中共はすでに行き詰まった」と警鐘を鳴らし、今後の中国経済の行方に注目が集まる。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」の分析によれば、中国共産党(中共)当局は、研究者や投資家が活用してきた数百項目に及ぶ経済関連データの発表を、全面的に停止して、5月4日、同紙は、中国における土地譲渡、外国投資、失業率に関するデータが最近公開されなくなったと報じた。火葬統計や一部のビジネス信頼指数の発表も中止され、公式の醤油生産量に関する報告も消えた。

中共の関係部門は、データ発表停止や非公開の理由を明示せず、一方で、これらの統計が消えた時期は、中国経済が過重債務、不動産市場の不安定、雇用の低迷、消費活動の停滞といった深刻な課題に直面していた時期と一致しており、中共が、宣伝統制を強化した結果だと考えられた。

▶ 続きを読む
関連記事
中共外交部の報道官が数日間にわたり、サンフランシスコ平和条約(1951年)の合法性を否定し、国際法上の効力を持つのはカイロ宣言とポツダム宣言であると強調したことが、国際社会や法学界で議論を呼んでいる。日中間で「台湾有事」をめぐる外交的緊張が高まるなか、事態は新たな局面に入った
米下院が社会主義体制の弊害を非難する中、中国共産党からの離脱「三退」は4億5500万人を突破。宗教弾圧や権力集中への国際的懸念が強まる一方、中国社会では静かな体制離れが広がっている
トランプ大統領と習近平の11月24日電話会談で台湾問題が再注目。中国は高市首相の「台湾有事」発言に反発し、日米間に楔を打ち込もうとしたが北京の外交攻勢は空回りした
中国駐日本大使館の、X(旧Twitter)で日本を名指しで批判する投稿が物議を醸している。台湾政策を巡る日本の政治家への撤回要求から、尖閣諸島の領有主張、国連憲章の「敵国条項」の持ち出しにまで及び、いずれも国際社会の一般的な認識とは距離のある内容に
中共の官製メディアは、台湾有事は「存立危機事態」に該当するとの高市早苗首相の国会答弁に対し、高市氏への個人攻撃を含んだ内容を相次ぎ報道し攻勢。SNS上では、新華社を筆頭に中共メディアの高市氏および日本への挑発的な報道について、強い遺憾の声やメディアの品格を疑う声も出ている。