上級将官2人が失脚する直前、要衝の警備ポストが補充されたことについて、アナリストは内部闘争に備えた事前準備の可能性を指摘する。
中国共産党(中共)指導部は、上級軍指導者2人が突如粛清される数週間前、首都の安全保障を統括する長らく空席だった司令ポストをひそかに補充していた。この異例の人事は内部権力闘争に向けた事前準備を示唆する可能性があると、複数のアナリストが大紀元に語った。
1月上旬、これまで上海武装警察総隊の司令官を務めていた陳源が、中国共産党(中共)の中枢政治機関の警護を担う戦略上重要な部隊である北京衛戍区の指導的ポストに転任した。同ポストは約1年にわたり空席だった。
それから2週間足らず後の1月24日、中央軍事委員会(CMC)副主席の張又侠と、CMC委員の劉振立が解任された。陳源の着任時期はその後、強い注目を集めている。
中共の首都機関紙である北京日報は、陳源が1月14日、北京衛戍区の党大会議に上級指導者として公の場に姿を見せたと報じた。報道は正確な役職名を明らかにしなかったが、慣例からすれば司令官に任命されたとみられる。
53歳の陳源は、正規軍ではなく人民武装警察(PAP)出身の職業軍人である。江蘇省東台市生まれで、広西チワン族自治州および上海の武装警察部隊の司令官を歴任し、2021年に少将に昇進した。
北京衛戍区は中共の安全保障体制において特異な位置を占める。しばしば体制の「近衛軍」と形容され、中南海を含む中共指導部中枢の警護を任務とし、内部危機の際には体制維持に重要な役割を果たすと広くみられている。
2012年に習近平が権力を掌握して以降、北京衛戍区の指導部は異例の頻度で交代してきた。過去10年間で司令官や政治委員はほぼ10人が入れ替わり、歴史的な水準を大きく上回っている。
陳源の前任者である傅文華は、旧瀋陽軍区で張又侠の下で勤務した経歴を持ち、張と長年の関係があった。傅文華は2025年に昇進後、別のポストに再配置され、その後司令官ポストは目立って空席のままとなっていた。
張又侠と劉振立は、1月20日の重要な党会議を欠席した後、公の場から姿を消した。内部関係者は、北京で警備が強化され、張又侠の警護担当者と現場で張又侠を拘束した要員との間で物理的衝突があったと説明している。
アナリストは、張又侠が拘束されたとされる出来事の前に、陳源が北京に任命されていたことは重要だと指摘する。
台湾の国防安全研究院所長の蘇紫雲は大紀元に対し、陳源の任命は粛清に先立つ事前計画を示唆するものだとの味方を示した。蘇紫雲は、1月14日時点で陳源がすでに配置され、その数日後に張又侠が拘束されたのであれば、事前の準備が強く示唆されるとし「張又侠のような地位の人物を扱う際、習近平は信頼できる人物で北京衛戍区を固めずに動くことはない」と述べた。
米国拠点の軍事技術アナリストで、中国語軍事ニュースのYouTubeチャンネル「Mark Space」主宰者の曹氏は、陳源の任命は張又侠と劉振立の失脚後に公表されたと指摘した。
曹氏は「これは、習近平が行動を起こす前に北京の主要武装部隊の統制を確保していたことを示唆している」と述べた。
陳源をめぐっては論争もある。陳源は2023年10月、李克強前首相が上海で急死した当時、上海武装警察司令官を務めていた。曹氏は、李克強の死と陳源を結び付ける主張は裏付けがないとしつつも、処分ではなく昇進が行われたこと自体が、体制内部で習近平の忠誠に対する信任の表れと受け止められた可能性があると述べた。
台湾の国防安全研究院研究員の沈明室は大紀元に対し、北京衛戍区の人事再編は、前任司令官が張又侠に近かったことから派閥再編を反映していると述べた。
中国国有メディアの財新によれば、最近、複数の省軍区でも同様の指導部交代が行われ、従来の慣行を破る兵種横断の人事が含まれている。
沈明室は、今回の大規模な人事再編は習近平が張又侠の人脈網を急速に解体していることを示すと述べた。
沈明室は「しかし同時に、中共軍内部の士気が依然として不安定であることも意味し、台湾に対する武力行使をめぐる近い将来の計画を遅らせる可能性がある」と付け加えた。
豪州在住の中国人反体制派で法学者の袁紅氷氏は大紀元に対し、習近平の指導スタイルは強い猜疑心と被害妄想に駆られていると述べた。袁氏は、現在の粛清の波が一段落し、軍指導部の構造が再構築された後も、さらなる取り締まりが続く可能性が高いと指摘した。
袁紅氷氏は、次の粛清の波は遅かれ早かれ必ず起きるとの見方を示した。
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