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牛脂VS植物油

牛脂が見直される理由、植物油より優れている点とは

アメリカの保健長官ロバート・ケネディは、ファーストフード業者に対し、フライドポテトの調理に植物油の代わりに牛脂(ヘット)を使用するよう呼びかけました。では、牛脂は本当に植物油より健康的なのでしょうか? この記事では、食用油脂を見直し、より健康的な選択をするための手助けをします。

ここ数十年、植物油は健康的な食事の代名詞とされてきました。ひまわり油、菜種油、ブドウ種油などには不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。しかし、多くの精製された植物油はオメガ6脂肪酸を多く含み、高温調理によって酸化しやすくなります。その結果、過酸化脂質やフリーラジカルが生成され、これらの物質は慢性炎症や心血管疾患、さらにはアルツハイマー病のリスクと関連していると考えられています。

研究によれば、オメガ3、オメガ6、オメガ9を含むと表示された市販の植物油は、加熱時間が長くなるにつれて多価不飽和脂肪酸が大きく分解され、代わりに飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が増加する傾向があります。トランス脂肪酸の過剰摂取は、心血管疾患やインスリン抵抗性のリスクを高めるとされています。

特に健康的だと考えられているサラダ油や炒め油であっても、180度以上に加熱すると変性が始まります。したがって、日常的に使用している油が、知らず知らずのうちにあなたの体に悪影響を与えている可能性もあります。
 

一般的な健康油

牛脂は非常に安定した脂肪であり、高温調理に適しています。高温によって生成される有害物質の量は植物油よりも少なく、酸化の速度も遅いため、植物油よりも安定性と安全性に優れている可能性があります。

ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を豊富に含み、体に吸収されやすく、エネルギーに変換されやすい特性があります。そのため、代謝が弱い人やエネルギー需要が高い人に適しています。ただし、コレステロール値が高い人にとっては、ココナッツオイルを大量に摂取するのは適していません。

オリーブオイルは地中海式食事法の中心的存在であり、一価不飽和脂肪酸が豊富で抗炎症作用があります。しかし、高温調理には向いておらず、高温で炒めると脂肪が変性する可能性があります。
 

脂肪構造のバランス

脂肪構造のバランスを保つことが、真の健康を実現する鍵であり、特にオメガ6とオメガ3の比率が重要です。過去30年間で現代の食生活においては、コーン油や大豆油などのオメガ6脂肪酸の摂取が過剰になり、オメガ3脂肪酸の摂取が減少した結果、その比率は理想的な1:1から20:1以上にまで上昇しています。この不均衡は、肥満や過体重の増加、心血管疾患など慢性疾患のリスクを高める要因となっています。

さらに、牛脂や菜種油、その他の油脂を使用する場合でも、高温での揚げ調理は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。油の温度が200度を超えると、牛脂やオリーブオイルであっても、トランス脂肪酸やアクリルアミドなどの有害物質が生成されることがあり、これらを長期的に摂取すると、活性酸素による損傷や細胞の老化、慢性炎症を引き起こす恐れがあります。

そのため、蒸す、煮る、または低温での調理を心がけることが推奨されており、油脂の酸化による体へのダメージを最小限に抑えることができます。
 

自分に合った油の選び方

食用油を選ぶ際に大切なのは、「自分に合った油」を見つけることです。一般的に健康的とされている油でも、すべての人に適しているわけではありません。体質や健康状態によって、適切な油脂は異なります。

代謝が低く、エネルギー不足を感じやすく、寒がりな人には、ココナッツオイルや牛脂を適量摂取することが勧められます。

慢性炎症や高脂血症のある人は、植物油の摂取を控え、オメガ3脂肪酸の摂取を増やすべきです。例えば、亜麻仁油や深海魚の油などが適しています。

自分で料理をしたいけれど、高温調理による健康への影響が気になる場合は、中〜低温調理にはオリーブオイルを使い、高温調理には牛脂やギーを選ぶことで、油脂の酸化リスクを抑えることができます。

本当に健康的な油脂の選び方と摂取の原則には、「多様性」「適量」「バランス」が求められます。健康的で安心な食生活を送りたいなら、まずは自分に合った油の選び方を学ぶことから始めましょう。

(翻訳編集 里見雨禾)

慢性的な精神、行動、身体の病気を対象とした統合医療医。中国医学の医師。精神科認定医。統合医療の楊研究所とアメリカ臨床鍼灸研究所の創設者兼ニューヨーク北部医療センターのCEO。『Integrative Psychiatry(統合精神医学)』、『Medicine Matters(医学の重要性)』、『Integrative Therapies for Cancer(癌の統合療法)』に貢献。また、ハーパーコリンズの『Facing East: Ancient Secrets for Beauty+Health for Modern Age(現代の美と健康のための古代養生法)』とオックスフォード大学出版局の『Clinical Acupuncture and Ancient Chinese Medicine(臨床鍼灸と古代中国医学)』の共著者。
王佳宜