多くの人が免疫系について考えるとき、季節性ウイルスにかかって寝込む姿を思い浮かべるかもしれません。しかし、免疫系が活性化するのは外部からの侵入者に対してだけではありません。
感情は免疫機能に重要な役割を果たしており、場合によっては、この精巧な防御システムが自分自身の細胞を攻撃し、自己免疫症状を引き起こすかどうかにも関わる可能性があります。
研究では、慢性的なストレスやトラウマ、未処理の感情が免疫系を過剰に刺激し、自己免疫疾患の発症や悪化と関連する可能性が示唆されています。一方で、感情的なウェルビーイングを支え、自己免疫症状の改善をサポートするための科学的根拠に基づいた取り組みもあります。
なぜストレスが重要か
ストレスにはさまざまな形があり、短期間であれば適応的に働くこともありますが、健康への影響は主にその持続期間や対処の仕方に左右されます。
自己免疫患者のケアにマインドボディの視点を取り入れている機能医学医師のウィル・コール氏は、ストレスが自己免疫症状の引き金となるケースを臨床で数多く見てきたといいます。
「私の臨床経験では、感情的トラウマや慢性ストレスの既往は、自己免疫の問題を抱える人に非常に多く見られます。多くの人が、長期間にわたる感情の抑圧や慢性的な圧倒感、人を喜ばせようとする傾向がフレアアップの前にあったと話します。大きな人生の転機、解決されていない悲嘆、対人関係の葛藤も、免疫の調節異常と顕著に関連しているようです」とコール氏はエポックタイムズに語りました。
長期間無理を重ねたり、悲劇的な出来事が起きたりすると、体は生物学的なアラームを作動させます。心拍数が上がり、呼吸が速くなり、消化機能は抑えられます。
副腎は、脳や神経系、内分泌器官とのフィードバックループを通じて、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモンを血流に放出します。
最もよく知られるストレスホルモンであるコルチゾールは、短期的には有益に働きます。しかし、感情的ストレスが慢性的で抑圧された状態が続くと、このアラームシステムはなかなか解除されません。持続的なストレスホルモンの影響は、体や免疫系に負担をかけ、腸バリアの透過性亢進、免疫機能の乱れ、炎症の持続、さらには自己免疫反応と関連する可能性があります。
研究が示すこと
ストレス反応が長期間活性化したままでいることは、全体的な健康に負担を与えます。複数の研究が感情的ストレスと免疫機能の乱れとの関連を示していますが、その正確なメカニズムについては現在も研究が続けられています。
研究では、感情的・慢性的・外傷的なストレスが、炎症の亢進、創傷治癒の遅延、腸の問題、免疫機能の乱れ、自己免疫疾患と関連することが報告されています。
ライフコース研究では、幼少期の虐待などのトラウマ体験が、20年後の成人期における炎症リスクの上昇と関連していました。
予備的な研究では、慢性炎症性リウマチ(CIRs)の患者は、自己免疫疾患と診断される前に、重度の感情抑制や幼少期の外傷体験、心理的・身体的訴えが多い傾向があることが示されています。
同様に、『JAMA』に掲載された大規模研究では、ストレス関連障害を持つ10万6000人以上(以前に自己免疫疾患の既往がない人)と100万人以上の対照群、さらに12万6000人以上の兄弟姉妹を30年間にわたり比較しました。その結果、トラウマやその他の強いストレス体験(特に幼少期)を経験し、その後ストレス関連障害を発症した人は、自己免疫疾患のリスクが高い傾向にあることが示されました。
また、幼少期逆境体験(ACEs)や精神的苦痛と成人女性の自己免疫疾患との関連を調べた2つの大規模コホート研究では、ACEsが甲状腺疾患、シェーグレン症候群、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋痛リウマチ、乾癬など特定の自己免疫疾患の有病率上昇と関連していることがわかりました。
さらに、性的虐待、身体的ネグレクト、感情的ネグレクトの既往は、特に自己免疫疾患の高い有病率と関連しており、その関連の一部は精神的苦痛によって媒介されている可能性が示唆されています。
特定の否定的感情と免疫系との関連を探る研究もあり、怒りが免疫系の活性化と関連し、うつ状態が免疫応答に影響を与え、夫婦間の対立が炎症の増加と関連することが報告されています。
コール氏は、こうした研究は心と体が切り離せないものであることを繰り返し示していると述べています。
「感情的ストレスは免疫シグナルや炎症、治癒能力に直接影響します。私はマインドボディのつながりを自己免疫ケアの中心的な要素と考えています。付け足しではなく、本質的なものです。感情的健康に取り組むことが、患者さんの回復における転機になることが多いのです」
コール氏によれば、心理的・感情的ストレッサーに取り組んだ患者では、炎症マーカーの低下や疲労の軽減、消化機能の改善といった変化が見られることがあり、フレアアップの頻度や強度が下がる傾向も報告されています。
何をすべきか:シンプルな行動の力
今日から始められる小さなステップがいくつかあり、感情的ウェルビーイングを高め、抑圧や長期的ストレスが免疫系に与える影響を和らげる助けになります。
散歩に行く
歩くことは左右の脳半球の連携を促す両側刺激の一種であり、脳や神経系を穏やかに刺激して、トラウマ記憶や困難な感情の処理を助けると考えられています。15分程度の散歩でもストレスや否定的感情の軽減、コルチゾールレベルの低下と関連し、免疫機能を支える可能性があります。
それについて書く
研究では、感情やトラウマ体験について書くことが、長期的な健康アウトカムの改善と関連することが示されています。この方法は、セラピストや医療専門家からも広く推奨されています。
定期的なジャーナリングは、気分や感情への気づきを高め、ストレスを軽減し、免疫機能の改善と関連する可能性があります。「頭の中の整理リスト」を書いたり、アートセラピーとして感情をテーマに描いたり、毎日数分間その日の思考や経験、感情、過去の出来事を書き出すだけでも十分です。
マインドフルネスで体に気づく
多くの心理療法士や体性アプローチの実践者、医療従事者は、感情や身体感覚への気づきを高め、神経系を落ち着かせるマインドフルネスの重要性を指摘しています。マインドフルネスは、ストレス状態にある神経系をより穏やかな休息モードへと導く助けになります。
実践方法には、簡単な呼吸エクササイズ、体に生じている感覚や思考を観察するボディスキャン、瞑想、またその場に座って周囲のものに意識を向ける(「I Spy」ゲームに似た方法)などがあります。
資源と安全の構築に焦点を当てる
喜びや快適さ、安全感をもたらす小さな行動から始めてみましょう。例えば、良い本と温かいコーヒーが好きなら、1日の中で5分でも読書とリラックスの時間を確保してみてください。
喜びや遊び心は、特にトラウマや慢性ストレスに向き合う際、神経系の調整に重要な役割を果たします。楽しみや休息のスペースをつくることで、エネルギーを消耗し続けるのではなく、ストレスを徐々に解放し、心地よいエンドルフィンの分泌を促すと考えられています。それは、過剰に作動したアラームシステムを静める一助となる可能性があります。
感情生活が身体的健康に大きく関わっていることを理解することは、恐れるためではなく、自分を力づけるためのものです。マインドボディのつながりを認めることで、これまで謎に思えた症状に向き合い、体からのサインに耳を傾けることができます。そして、感情的ウェルビーイングを全体的な健康の重要な一部として位置づけ、新たな癒しの実践を取り入れていくことができるのです。
(翻訳編集 日比野真吾)
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