私たちの脳は30歳から40歳にかけて徐々に体積を失い始めます。そのため、脳の健康維持は早い段階から始めることが重要です。心医堂中医クリニックの院長である呉国斌医師は、新唐人テレビの番組「She Health」で、認知症予防のためのいくつかのヒントを紹介しました。
高齢化社会が進むにつれ、認知症患者の数は徐々に増加しています。2024年の研究では、690万人の高齢アメリカ人がアルツハイマー病を患っていると推定されており、この数は2060年までに2倍になると予想されています。
認知機能の低下は高齢者に限ったことではありません。呉医師は、脳は30代以降に徐々に縮小し始めると述べています。MRI研究では、35歳以降、脳の体積が毎年0.2%の割合で減少し、その減少が徐々に加速することが示されています。60歳以降は、年間の脳体積減少率が0.5%を超えます。
脳の健康のための玉回し
日常生活の中で脳を継続的に刺激することが、脳の衰えを防ぐ鍵です。簡単に習得できる手の動きの多くは、優れた脳のトレーニングになると呉医師は言います。彼は、患者の父親が「健身球」を頻繁に回して脳の健康を維持し、高齢になっても鋭い頭脳を保っていた体験を紹介しました。
健身球を回す方法は、片手に2つの球を持ち、交互に回すというものです。慣れてきたら、方向を変えたり、速度を上げたりする練習もできます。1回の練習は少なくとも10分間行い、1日の中で複数回に分けて行うことも可能です。回数が多いほど効果が高まる可能性があります。
「時計回りと反時計回りに回すことで、脳も常にその動きに合わせて働き、このような刺激が脳機能の活性化に役立ちます」と呉医師は言います。健身球が手に入らない場合は、殻付きのクルミで代用できます。食品としてのクルミは、抗炎症作用が期待される不飽和脂肪酸やオメガ3を豊富に含み、形も脳に似ています。中医学では脳を活性化する食品とされており、回した後に食べることで二重の効果が期待できます。
さらに、ピアノを習うことも指の運動になり、脳の衰えを遅らせる方法の一つです。ただし、ピアノがない人にとっては、球を回したりクルミを使ったりする方が簡単です。
運動は認知機能の低下を遅らせる
手のトレーニングに加えて、定期的な運動も同様に重要です。『Ageing Research Reviews』に掲載されたレビューでは、200万人以上のデータを分析した結果、中程度から激しい運動とアルツハイマー病リスクの低下に有意な関連があることがわかりました。
脳を守る特定の食品
十分な運動に加えて、食事内容も脳の健康に直接影響します。認知症予防に役立つ食品として、呉医師はオメガ3脂肪酸が豊富な深海魚のほか、食品としても薬としても使われる銀杏の実と卵黄油を推奨しています。
1.銀杏
銀杏は中医学では「白果」と呼ばれ、日々の食事療法に取り入れることができます。通常は白キクラゲと少量の氷砂糖と一緒に煮て食べます。量と食べ方には特に注意が必要です。1日約10個が目安で、毒性を避けるために十分に加熱して調理してください。
レシピ:銀杏の実と白キクラゲのスープ
材料
・銀杏 約15g
・戻した白キクラゲ 約20g
・粉末氷砂糖 約12g
作り方
- 銀杏の実の殻と芯を取り除き、よく洗います。すでに殻と芯が除去された缶詰の銀杏を使う場合は、この手順を省略します。
- 白キクラゲを洗い、適当な大きさに裂いて、軸を取り除きます。
- 銀杏の実と白キクラゲを鍋に入れ、水を加えて中火で沸騰させた後、弱火で1時間煮込みます。最後に氷砂糖を加えて味を調えます。
乾燥白キクラゲの戻し方:市販の白キクラゲは通常乾燥品です。冷水に約4時間、またはぬるま湯に約2時間浸して柔らかくします。熱湯では戻さないでください。
2.魚
脳の健康に影響を与える重要な要因の一つは慢性炎症です。魚はオメガ3脂肪酸が豊富で、炎症反応を調整し、神経系を保護する助けになる可能性があります。魚の調理法として適しているのは蒸し料理です。揚げ物や天ぷらは、栄養素の損失や好ましくない脂肪の生成を招く可能性があるため避けてください。
2024年に発表された大規模なメタアナリシスでは、35の研究、84万9000人以上のデータをまとめた結果、魚を多く食べる人は認知機能の低下や認知症のリスクが有意に低いことがわかりました。ほとんど魚を食べない人に比べて、魚の摂取量が最も多い人では、認知機能低下のリスクが約18%、認知症のリスクが約18%、アルツハイマー病のリスクが約20%低いことが示されました。
3.卵黄油
卵黄に含まれるレシチンは、脳内のリン脂質と構造が似ています。リン脂質は神経細胞を覆い、神経信号の伝達をスムーズにします。
卵黄油は、脳の健康のための中医学でよく知られた処方の一つです。作り方は卵黄を弱火でじっくり煮込む方法ですが、煙が多く出るため家庭では扱いにくい面があります。市販の卵黄油を選ぶのも一つの方法です。
トランス脂肪酸を避ける
脳を活性化する栄養素を補う一方で、脳に悪影響を及ぼす可能性のある食品にも注意することが重要です。呉医師は、トランス脂肪酸は食事における大きな危険因子であり、慢性炎症や心血管系・脳の血流障害を引き起こす可能性があると指摘しています。トランス脂肪酸は、工業的に作られたクッキーやデザート、一部のパンに多く含まれています。高温で揚げた食品にも含まれる場合があります。
脳の退化を加速させる要因
食事以外にも、脳の退化を加速させる高リスク要因には以下のようなものがあります。
1.睡眠障害と夜更かし:睡眠の問題は、脳の退化に関わる重要な要因の一つであると呉医師は言います。睡眠薬を使っていても睡眠の質が悪いと、脳が十分に休息できず、一部の患者では記憶力の低下が加速する可能性があります。
2.イライラ、不安、過度の精神的疲労:長期的なストレスや不安は体内の慢性炎症を引き起こし、血管や脳の健康に影響を及ぼします。これに過度の精神的負担と長時間の夜更かしが加わると、脳は高負荷状態に置かれやすくなり、退化が進みやすくなります。
3.高血圧、高血糖、高コレステロール:高血圧、高血糖、高コレステロールは全身の血管機能に影響を及ぼし、特に脳への血流に悪影響を与えます。
4.内分泌障害:内分泌障害は間接的に脳機能に影響を及ぼします。例えば、甲状腺機能低下症ではエネルギー不足によって疲労や無力感が生じ、脳機能にも影響することがあります。更年期はホルモン変化を伴いやすく、不眠を引き起こし、脳の退化リスクを高める可能性があります。
認知症は単なる物忘れではない
認知症は、さまざまなマイナス要因が長期的に積み重なった結果として現れるものであり、多くの初期の警告サインは正常な加齢と誤解されやすく、早期対応の機会を逃してしまいがちです。一部の人は高齢者の物忘れを自然な現象だと考えていますが、呉医師は一般的な物忘れと認知症には明確な違いがあると指摘します。正常な加齢では時折物忘れがあっても後で思い出すことができますが、認知症では短期記憶の低下が起こり、最近の出来事を思い出せなくなります。これは重要な警告サインです。
認知症は脳の構造的な損傷と関連しており、記憶だけでなく感情の乱れや行動の変化も引き起こします。一部の患者は、発症前は温和な性格だったにもかかわらず、その後はイライラしやすくなり、悪態をつくことが増える場合があります。これは、感情と認知機能を司る前頭葉の損傷によるものです。同時に、患者の空間認識能力も低下し、外出後に家に帰れなくなったり、自分の住所を忘れたりすることがあります。
認知症は一夜にして起こるものではありません。食事、運動、日常生活を整え、認知症の初期症状に注意することは、より充実した老後を送るために欠かせません。
(翻訳編集 日比野真吾)
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