朝型・夜型で変わる運動効果 体内時計に合わせるトレーニング術

健康を最適な状態に保ち、運動能力を最大限に高めるために、多くの人は「何を食べるか」「どれだけ重い重量を持ち上げるか」「どれだけ長い距離を走るか」といった点に注目しています。

しかし近年の研究では、見落とされがちな重要な要素として「体内時計」の存在が注目されています。科学者たちは、運動する時間帯が自分の体内時計と一致していないと、せっかくの努力が思うような成果につながらない可能性があることを明らかにしつつあります。

パームビーチ整形外科研究所の認定整形外科医であるジョン・ヒンソン博士はエポックタイムズに対し、特定のクロノタイプに合わせて運動するほうが、高い効果を得られる場合があると語っています。

「一般的に、朝型の人は朝の早い時間帯に有酸素運動や可動域を広げる運動を行うと効果的です」とヒンソン博士は述べました。「一方で、夜型の人は夕方以降に筋力トレーニングを行うほうが、高いパフォーマンスを発揮する傾向があります」
 

あなたの体には『最適な時間割』がある

人にはそれぞれ、どの時間帯に最も覚醒し、活動的になりやすいかという生物学的な特性があります。これは「クロノタイプ」と呼ばれ、睡眠と覚醒のリズム、ホルモン分泌、さらにはエネルギーレベル全体に影響を与えています。

クロノタイプは遺伝的な要因を土台としながらも、生活習慣や環境によって変化します。一般的には「朝型」「夜型」「中間型」の3つに分類されます。朝早く自然に目覚めて午前中に最も活力が湧く人もいれば、夕方から夜にかけて本領を発揮する、いわゆる「夜型」の人もいます。

研究では、自分のクロノタイプに合わせて運動することで、運動能力の向上、ホルモン反応の最適化、気分の改善、免疫機能の強化につながる可能性が示されています。つまり、体は一日中いつでも同じように高いパフォーマンスを発揮できるわけではなく、それを無視してトレーニングを続けると、本来得られる成果を逃してしまう可能性があります。
 

運動する時間帯を科学が重視する理由

数多くの研究により、自分にとって自然な活動時間帯に運動することの利点が示されています。

例えば、最も覚醒している時間帯にトレーニングを行うアスリートは、筋力、持久力、回復力がより優れている傾向があります。2013年に学術誌『Integrative Medicine Research(統合医療研究)』に掲載された研究では、午後にトレーニングを行った夜型の人は、早朝に運動した朝型の人よりも筋力の向上幅が大きいことが報告されました。

その理由は決して複雑ではありません。運動はコルチゾール、テストステロン、成長ホルモンといったホルモンに影響を与えますが、これらは概日リズムに従って一日の中で変動しています。ホルモン分泌が高まる時間帯に運動すれば、筋肉の成長や脂肪燃焼といった効果をより高められる可能性があります。また、気分や集中力が自然に高まる時間帯に運動することで、精神的なメリットも得られ、ストレスの軽減や思考の明瞭さの向上にもつながります。

さらに、運動する時間帯は睡眠の質にも影響します。自分に合った覚醒時間帯に運動することで概日リズムが整い、体内時計が24時間周期にしっかり同期されるため、より質の高い睡眠を得やすくなります。

一方で、特に夜型の人が就寝直前に激しい運動をすると、寝つきが悪くなり、翌朝すっきり目覚めることが難しくなる場合があります。
 

自分のクロノタイプを知る方法

自分に最適な運動時間を見つける第一歩は、自分本来の生活リズムを理解することです。

効果的な方法の一つは、1週間ほど睡眠日記をつけ、自分が最も目が冴え、エネルギーがあり、やる気を感じる時間帯を記録することです。

また、「朝型・夜型質問票」も、自分が朝型・中間型・夜型のどれに当てはまるかを知るのに役立ちます。この質問票では、例えば「午後11時に就寝した場合、どの程度眠気を感じるか」といった質問への回答を点数化して判定します。

得点が高い人ほど朝型であり、得点が低い人ほど中間型または夜型に分類されます。

もし判定が難しい場合や、もっと簡単な目安が欲しい場合は、一般的なガイドラインとして、朝型は午前7時から10時頃、中間型は午前10時から午後2時頃、夜型は午後4時から午後7時頃に最も高いパフォーマンスを発揮しやすいと考えられています。

ただし、すべての運動がどの時間帯にも同じように適しているわけではありません。ロードアイランド州を拠点とする認定フィットネストレーナーであり、「コア・サイクル・アンド・フィットネス・ラグリー」のオーナーでもあるデニス・チャコイアン氏は、クロノタイプによって適した運動の種類が異なるとエポックタイムズに語っています。

「高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、その人が最も覚醒している時間帯に行うことで、より高い効果を得やすくなります」とチャコイアン氏は述べています。HIITは神経と筋肉の連携、そして高い集中力が求められるためです。

例えば、朝型の人は朝早くHIITを行うことで、特に高い効果を得られる可能性があります。

一方、夜型の人は高強度の運動を就寝前に行うと睡眠を妨げる可能性があるため、注意が必要です。

夜型の人が夕方から夜に運動する場合は、ストレッチやヨガのような低強度の運動のほうが適していることがあります。また、ヒンソン博士は、夜型の人は筋肉の温度が高まる夕方以降のほうが、筋力トレーニングで良い結果を出しやすいと述べています。

チャコイアン氏によれば、ヨガやストレッチなど、柔軟性や可動域を高める運動も、多くのクロノタイプで夕方から夜に適しています。この時間帯は体温が最も高く、筋肉が柔軟になっているため、けがのリスクを減らせるからです。

また、ウォーキングや軽いサイクリングのような低強度の有酸素運動は、クロノタイプの影響を最も受けにくい運動です。そのため、本来は夜型であっても、仕事などの都合で朝に運動しなければならない人にとって、実践しやすい選択肢となります。
 

クロノタイプは変えられるのか

体内時計、つまり概日リズムは固定されたものではなく、光や食事、身体活動といった「ツァイトゲーバー(体内時計を調整する外部からの時間の手がかり)」によって絶えず調整されています。

ヒンソン博士は、人のクロノタイプは「ある程度は変えられる」と話します。

「規則正しい生活を続ければ、数週間でパフォーマンスが最も高まる時間帯を1〜2時間程度ずらすことは可能です」と同博士は述べています。

ただし、急激に大きく生活リズムを変えようとすると、けがのリスクが高まる可能性があるため、注意が必要だと警告しています。

その理由は、生物学的な仕組みにあります。クロノタイプは遺伝的な要素が強く、大幅な変更を長期間維持することは容易ではありません。また、生物学的には「早起きする」よりも「夜更かしする」ほうが簡単です。そのため、生まれつき夜型の人が毎朝午前5時に起きる生活を無理に続けようとしても、長続きしないことがほとんどです。

さらに、本人の意識が新しい生活リズムに適応しても、肝臓や筋肉などの末梢時計は、数日から数週間にわたって以前の時間帯に合わせたままの場合があります。この状態は研究者によって「ソーシャル・ジェットラグ」と呼ばれています。

生活リズムを前倒しにしたい場合は、次のような方法が役立ちます。

光は最も強力なツァイトゲーバー

朝型へ近づけたい場合は、起床後1時間以内に15〜30分ほど強い太陽光を浴びましょう。これにより、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ、体内時計が前倒しになります。

食事時間を固定する

朝食と夕食の時間を毎日できるだけ一定に保ちましょう。消化活動は、腸や肝臓などの末梢時計に「一日の始まり」を知らせる重要なサインになります。

体温を調整する

眠りにつくためには、深部体温が下がる必要があります。就寝の1〜2時間前に入浴をすると、体の中心部の熱が手足へ移動しやすくなり、脳に「眠る時間だ」というサインが送られます。

チャコイアン氏によれば、こうした習慣を継続すると、多くの人は2〜4週間で変化を実感し始めますが、完全にリズムが切り替わるまでには、もともとのクロノタイプの強さによっては数か月かかることもあります。

「夜型の人は朝型へ切り替えるのが特に難しい傾向があります。概日リズムは遺伝的要素の影響が大きいため、生活習慣の改善は役立ちますが、変えられる範囲には限界があります」とチャコイアン氏は述べています。
 

運動時間が体に合っていないサイン

自宅用赤外線療法とリカバリー製品を提供するウェルネスブランド「サウニー」の共同創業者であり、理学療法士・フィットネス・リカバリーの専門家でもあるアレックス・リー氏は、運動時間が概日リズムと合っていない場合には、いくつかのサインが現れるとエポックタイムズに語っています。

例えば、毎回の運動で疲労感が強い、ウォーミングアップに時間がかかる、トレーニング中に普段より力が出ない、やる気が低下するといった状態です。

こうしたクロノタイプとのズレを放置すると、運動パフォーマンスが低下するだけでなく、けがのリスクが高まり、睡眠の質も悪化します。その結果、悪循環から抜け出しにくくなります。

朝型であっても夜型であっても、自分の能力が最も発揮される時間帯に合わせて運動することで、より良い成果が得られ、フィットネスをより楽しめるようになるでしょう。

クロノタイプを活用することは、厳格な時間管理をすることではありません。自分本来のリズムを理解し、無理なく続けられる習慣を築くことが大切です。さまざまな時間帯で運動を試し、自分の体調や感覚を観察しながら、自分に合ったルーティンを見つけてください。

ヒンソン博士が語るように、長期的な成果を左右する最大の要因は継続です。クロノタイプに合わせることで有利になる可能性はありますが、自分の体に合った時間帯に運動を続けることこそが、その成果を積み重ね、大きな違いを生み出すのです。

(翻訳編集 井田千景)

がん、感染症、神経変性疾患などのトピックを取り上げ、健康と医学の分野をレポート。また、男性の骨粗鬆症のリスクに関する記事で、2020年に米国整形外科医学会が主催するMedia Orthopedic Reporting Excellenceアワードで受賞。