サツマイモ、豆類、そばなどの炭水化物を含む食品には、炎症を抑える働きがあります

炎症を抑える炭水化物とは 食物繊維とレジスタントスターチの働き

栄養に関する根強い誤解の一つに、「炭水化物は本質的に炎症を引き起こす」というものがあります。しかし、それだけでは真実のすべてを捉えていません。

サツマイモ、豆類、そば。これらの栄養豊富な食品は、いずれも炭水化物の供給源とされています。加工をほとんど施していない食品に含まれる炭水化物は、実際には炎症を抑えることがあります。

その理由は、二つの仕組みで説明できます。重要な理由の一つは、食物繊維が含まれていることです。食物繊維の摂取量が多いほど、慢性的な炎症性疾患のリスクが低いという関連が示されています。その一因は、食物繊維が腸内細菌叢(腸内にすむ多種多様な微生物の集まり)をより健康な状態に保ち、全身の炎症を抑える可能性があることです。

炭水化物を含む一部の食品に含まれる、もう一つの重要な成分が、レジスタントスターチです。このでんぷんは小腸で消化されずに通過し、大腸で腸内細菌によって発酵されます。その過程で、酪酸などの短鎖脂肪酸(腸内細菌が食物繊維などを発酵させることで生じる脂肪酸)がつくられます。酪酸には、体内の複数の経路を通じて炎症を抑える作用があります。

では、なぜ炭水化物は、炎症を引き起こすものとしてひとくくりにされてしまうのでしょうか。

ホリスティック栄養士のジャズ・ロビンズ氏は、エポックタイムズの取材に対し、そのイメージの原因は、常温で長期保存できるパンやパスタにあると語りました。炎症を助長するのは、そうした食品だと同氏は述べています。
 

炎症を抑える、身近な炭水化物食品

まず挙げられるのは、サツマイモ、ヤムイモ、タロイモといった根菜類です。

「私はサツマイモが大好きです。ほっとする味わいがあり、彩りがよく、驚くほど幅広い料理に使えます。自然な甘みと鮮やかなオレンジ色の果肉が、どんな料理にも、体に栄養が行き渡るような満足感を添えてくれます」と、登録栄養士のジェシカ・クランシー・ストローン氏はエポックタイムズに語りました。

同氏によると、サツマイモには食物繊維や抗酸化物質が含まれており、血糖値を安定させ、酸化ストレス(活性酸素などによって細胞が傷つきやすくなった状態)を軽減するのに役立ちます。

2026年の実験室での研究では、サツマイモに含まれる二つの天然成分、βシトステロールとカンペステロール(いずれも植物性ステロールの一種)が、マウスの免疫細胞から放出されるインターロイキン6(炎症反応に関わる情報伝達物質)の量を減らすことが分かりました。研究者らは、試験に用いたサツマイモ抽出物に含まれる濃度と同程度の濃度で、これらの成分が効果を示すことを確認しました。そして、この二つの成分が、サツマイモの抗炎症作用に寄与している可能性があると結論づけました。

私たちの食生活でより身近でありながら、その価値があまり評価されていないジャガイモにも、炎症を抑えるのに役立つ成分が数多く含まれています。厳密には根ではありませんが、食物繊維、レジスタントスターチ、アントシアニンなどを含んでいます。

次に挙げられるのは、インゲン豆やレンズ豆などの豆類です。

これらには、水溶性食物繊維が豊富に含まれています。ストローン氏は、こうした水溶性食物繊維は、私たちが活用できる最も強力な抗炎症の手段の一つだと述べています。豆類に含まれるポリフェノール(植物に含まれる、抗酸化作用を持つ成分の総称)であるタンニン、フェノール酸、フラボノイドも、抗酸化作用と抗炎症作用をさらに後押しします。

実際、豆類に含まれる成分は、関節炎、肥満、がんに伴う慢性炎症を含め、炎症性の病態に対する代替的な治療手段としても提案されています。

中でも、ひよこ豆は炎症の管理に役立ちます。12週間にわたる研究では、糖尿病予備群の人たちに、ひよこ豆、黒インゲン豆、白米のいずれかを食べてもらいました。6週間後、ひよこ豆を食べた人たちでは、炎症に関連する血液中のたんぱく質の値が低下していました。

炎症を抑える、もう一つの身近な炭水化物食品が、全粒穀物です。

ストローン氏は「そばは、まだ十分に評価されていませんが、私が最も期待している食品です」と語りました。

そばは、英語では「バックウィート」と呼ばれ、名前に小麦を意味する「ウィート」が含まれていますが、小麦ではありません。穀物のように使われる、グルテンを含まない種子なので、グルテンを避けている人にとって取り入れやすい代替食品です。そばには、血管と血液循環の健康を支えるフラボノイドの一種、ルチンが含まれています。

ストローン氏は「血管系は、血液と栄養素をすべての臓器に運ぶ幹線道路のようなものなので、これは特に重要です」と述べました。

一方、キヌアも穀物として扱われていますが、実際には種子です。食物繊維とたんぱく質の組み合わせが血糖値の安定に役立つため、炎症を抑える優れた主食になります。

さらにキヌアは、腸内細菌の健全なバランスと腸の粘膜の健康を支えます。どちらも、体内の炎症と密接に関わっています。

バナナのように、炭水化物が多くても栄養豊富な果物もあります。もちろん、体によい食品だからといって、いくらでも食べてよいわけではありません。常にバランスを保つことが大切です。
 

健康によい炭水化物の楽しみ方

ストローン氏のお気に入りの食事の一つが、ローストしたサツマイモ、豆、キヌアを盛り合わせたボウル料理です。サツマイモは表面の糖分がカラメル化してこんがりするまで焼き、好みの缶詰の豆、調理済みのキヌア、葉物野菜、キュウリ、ミニトマトと合わせます。そこにレモンをひと搾りし、スプーン1杯のフムス(ひよこ豆をペースト状にした料理)と、ひとさじの無糖ギリシャヨーグルトを加えると、全体がまとまり、クリーミーで彩り豊かな一品になります。

「忙しい仕事の日でも、調子を安定させてくれるような食事です」と同氏は語りました。

手軽に始められるもう一つの料理が、地中海風のボウル料理です。

緑色または茶色のレンズ豆をゆで、その上に刻んだトマト、キュウリ、赤タマネギ、パクチー(またはパセリ)、ルッコラをのせます。乳製品を食べても問題がなければ、フェタチーズを加え、仕上げにエキストラバージンオリーブオイルとレモン汁をたっぷり回しかけ、ニンニクを少量添えます。

「これで、炎症を抑える炭水化物、抗酸化物質、健康によい脂質を取れます。それに、おいしいのです」とロビンズ氏は述べました。

自然療法医のジョディ・デュバル氏は、メキシコ料理の要素をより多く取り入れています。サツマイモを丸ごと、糖分がカラメル化するまで焼き、ニンニク、タマネギ、クミン、スモークパプリカ、オレガノと一緒に炒めた、牧草で育てられた牛の脂肪の少ないひき肉を詰めます。その上に、黒インゲン豆、アボカド、生のパクチー、トマトサルサ、ベビーほうれん草をのせ、生のライムをひと搾りし、ギリシャヨーグルトをひとさじ添え、カボチャの種を散らします。

同氏は「平日の夕食として、家族が特に気に入っている料理の一つです」と語りました。

結局のところ、大切なのは炭水化物を避けることではなく、適切なものを選び、バランスのよい食事の一部として楽しむことです。

 

(翻訳編集 井田千景)

ゼナ・ルー・ルーは、健康ジャーナリストで、健康調査ジャーナリズムの修士号を持ち、機能栄養に特化した認定健康およびウェルネスコーチです。スポーツ栄養学、マインドフルイーティング、内的家族システム、および応用ポリヴェーガル理論のトレーニングを受けています。彼女はプライベートプラクティスで働き、英国に拠点を置く健康学校の栄養教育者としても活動しています。