血管は日々の選択で守れる──中医学と研究が示す脳卒中・心筋梗塞予防

心血管・脳血管疾患は世界的に見て最も主要な死因の一つですが、日常の食事を工夫することで予防につなげ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを低減することが期待できます。
 

正しい食べ物を選ぶ

心血管・脳血管を強くする食べ物

ニューヨーク北方医療センターの最高経営責任者であり中医師でもある楊博士は、エポックタイムズの読者に向けて、クルミ・烏骨鶏・黒参は中医学の食療において、心血管・脳血管を守る目的でよく用いられる食材だと紹介しています。

1.クルミ

クルミは心血管・脳血管を守る天然の防御食材とされています。ハーバード大学の研究では、クルミを食べない人と比べ、週に5回以上クルミを食べる人は総死亡リスクが14%低く、心血管疾患による死亡リスクが25%低下し、平均寿命が約1.3年延びたことが報告されています。

楊博士は、家族に心血管・脳血管疾患の既往がある人や、血中脂質が高めの人には、クルミを日常の食事に取り入れることを勧めています。1日10粒程度を目安に、そのまま食べてもよく、ヨーグルトやサラダ、シリアルに加えると食べやすくなります。

博士は次のように説明しています。血管は高速道路のようなもので、血中脂質が高くコレステロールが蓄積すると、道路が泥や障害物で塞がれたような状態になり、血流が滞りやすくなります。その結果、血栓、心筋梗塞、脳卒中を引き起こす可能性があります。クルミに含まれるオメガ3脂肪酸、特にα-リノレン酸は、道路の「清掃員」のようにこれらの詰まりを減らし、血液が流れやすくなるのを助けると考えられています。
 

2.烏骨鶏

烏骨鶏は中医学の食療で女性の養生に用いられることが多い食材ですが、実際には男女を問わず取り入れることができます。良質なたんぱく質やアミノ酸が豊富で、造血を助け、血液の質を整え、粘度を下げる働きがあるとされています。

楊博士によると、中医学では烏骨鶏は温性の食材とされ、体の正のエネルギーを高め、心臓のポンプ機能を支えると考えられています。博士はこう例えます。「血液は川のようなもので、粘度が高く流れが遅いと血栓ができやすくなります。烏骨鶏は、太陽の光が氷を溶かすように、滞った血流を和らげます。」

手足が冷えやすい人、気血(エネルギーと栄養)が不足しがちな人、疲れやすい人には、烏骨鶏が適しているとされています。調理法としては、スープにするのが最もおすすめです。
 

当帰・クコ入り烏骨鶏スープ

食材:烏骨鶏1羽、当帰5g、黄耆8g、クコの実20粒、しょうが3枚、塩適量。

作り方

  1. 烏骨鶏を洗って切り、さっと下ゆでします。当帰・黄耆・しょうが・クコの実も洗っておきます。
     
  2. 鍋に烏骨鶏を入れて水を加え、強火で沸かしてアクを取ります。その後、当帰・黄耆・しょうがを加え、再び沸騰したら弱火にして1.5時間煮込みます。最後にクコの実を加えて10分ほど煮て、塩で味を調えます。
     

3.黒参

黒参は高麗人参を九回蒸して乾燥させたもので、人参本来の働きが高められたものです。ジンセノサイド(人参サポニン)を豊富に含み、研究では動脈硬化に対する抑制作用など、心血管疾患への有用性が示唆されています。

楊博士は、若い頃は血管に弾力がありますが、血糖や血圧に異常が生じると、血管が錆びたパイプのように硬くもろくなり、破裂しやすくなると説明します。黒参は潤滑油のように血管の弾力を保ち、損傷のリスクを抑える働きが期待されます。

毎日5gをお湯に入れて飲むほか、烏骨鶏と一緒に煮てスープにする方法もあります。
 

血中脂質を下げる食べ物

台湾・濟德中医診所の院長で中西医師の鄧正梁氏は、エポックタイムズの取材で、心筋梗塞の多くは血栓によって起こり、その血栓は主に動脈硬化した血管内で形成されると述べています。つまり、動脈硬化プラークが心筋梗塞の根本的な原因です。

中医学には「薬食同源」という考え方があり、野菜や果物の摂取量を増やすことで抗酸化物質が体内に増え、血管内壁を酸化ストレスから守り、プラークの形成を抑えるとされています。

以下の2種類の薬食同源植物は、血中脂質を下げ、血栓を防ぐ働きがあると考えられています。

大黄

大黄は代表的な中薬の一つです。鄧氏によれば、大黄は体内の老廃物や毒素の排出を促し、高血圧や高脂血症に用いられることがあります。大黄に含まれるレスベラトロールなどの成分には、脂質を下げる作用が示唆されています。

大黄の葉は食用に適さず、茎はパイのフィリングなどに利用されます。ラズベリーや砂糖と一緒に煮ることで、デザートやジャム、西洋風パイの餡として使えます。

キウイ

キウイは中医学の文献では「獼猴桃」と呼ばれ、脂っこいものや辛いものを食べ過ぎて「実熱」体質になった人に向いているとされています。フラボノイドやフェノール酸などの成分を多く含み、血中脂質、血糖、血圧に関わる働きや、血小板の凝集を抑える作用が示唆されています。

また、高脂血症の人は、反式脂肪を多く含む食品(市販のパイ生地菓子など)や、コレステロールの高い動物の内臓は控えることが望ましいとされています。
 

この時間に睡眠が最も重要

食事だけでなく、健康的な生活習慣も同じくらい重要です。規則正しい生活、適度な運動、ストレスを減らすことは、血管の健康に直接関わります。

1.睡眠

多くの人は「睡眠時間が足りていれば十分」と考えがちですが、実際には睡眠の質や時間帯も重要です。中医学では、夜11時から午前3時は肝と胆が解毒や修復を行う時間帯とされ、これらの臓器は気血の流れを維持するうえで重要と考えられています。そのため、就寝時間は夜11時前が理想的とされています。

2.運動

適度な運動は血液循環を促進し、心血管疾患のリスクを下げる助けになります。また、脳内の神経伝達物質の分泌を促し、気持ちをリラックスさせる効果も期待されます。

3.ストレス

楊博士は、精神的ストレスは現代人が広く抱える健康リスクだと指摘しています。中医学では、エネルギーのバランスが崩れると病気につながると考えられ、そのバランスに最も影響する要因が精神的ストレスや感情です。情緒の乱れは病気の大きな要因となり、情緒は信仰、価値観、世界観とも深く関係しています。心を穏やかに保ち、前向きな気持ちで過ごすことが、心身の健康を土台から支えることにつながります。
 

もし脳卒中になったら リハビリで活力を取り戻す

日常の食事によるケアに加え、万が一脳卒中を発症した場合には、適切なリハビリが回復と健康維持の重要な鍵となります。

台湾・潤生リハビリ科診所の院長、王竣平氏はエポックタイムズに対し、脳卒中後のゴールデンリハビリ期間は発症後3〜6か月で、この時期は神経の可塑性が最も高く、早く始めるほど回復が期待できると述べています。博士はさらに、リハビリは主に以下の4つの側面に分けられると説明しています。

  • 四肢の運動について:脳卒中初期には歩行補助具を使って歩く練習を行い、少しずつ行動能力を回復させます。立つ練習や片足立ちなどのバランストレーニングを組み合わせることで、安定性や協調性の向上が期待できます。

多くの患者は半身麻痺や歩行困難を抱えるため、筋力や協調性を回復するための運動訓練が必要です。関節可動域訓練では手足を伸ばして関節のこわばりを防ぎ、ダンベルやトレーニング用ゴムを使って筋力を回復させる方法もあります。
 

  • 言語・嚥下機能について:脳の損傷により、言語障害や嚥下障害が生じる場合があります。短文の朗読や歌を歌うことで言語表現を促し、舌や唇の動きを訓練して発音を改善します。また、嚥下訓練を行い、むせや誤嚥を防ぎます。
     
  • 手の機能・細かい動きについて:手の力が弱くなったり、細かい動きが難しくなることで、着替え、食事、書字などの日常生活に影響が出ることがあります。ビー玉や輪ゴムをつかむ、ドアノブを回す、瓶を開ける、スプーンや箸を使うといった動作に加え、パズルや粘土遊びを通して、手指の器用さを鍛えます。
     
  • 認知・心理面について:記憶力の低下、注意力の低下、気分の落ち込みなどが見られることがあります。記憶ゲームや単語暗記、読書で記憶力を鍛え、数独や計算問題で思考力を高めます。加えて、心理的なサポートも非常に重要で、家族や友人との会話を増やすことが心の健康を保つ助けになります。

王氏は、リハビリの鍵は「毎日継続して取り組むこと、そして諦めないこと」だと強調しています。

(翻訳編集 解問)

王佳宜