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1月16日、寄り付きの東京株式市場では、日経平均が大幅続落。写真は都内にある株価ボード前で。昨年8月撮影(2008年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日経平均が大幅続落:識者はこうみる

[東京 16日 ロイター] 寄り付きの東京株式市場では、日経平均が大幅続落。ザラ場の昨年来安値を更新して始まり、まもなく下げ幅は300円を超えた。サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の深刻化やリセッション(景気後退)懸念による米国株安と円高/ドル安に直撃された。市場関係者のコメントは以下の通り。

●インテル決算と円高の織り込みはこれから

<SMBCフレンド証券 投資情報部次長 松野 利彦氏>

 米シティグループ決算のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連の損失としてはほぼ予想通りであり、東京市場としては前日の下落でほぼ織り込んでいるのではないか。

 ただ、半導体大手インテルが第4・四半期決算で、売上高が市場の見通しを下回ったことや、ドル/円が106円台まで円高方向に進んでいることは織り込んでいない。

 国内経済の減速が悪材料視されているため、けさ発表される11月機械受注に注目が集まっている。株価の動向は機械受注の結果にも大きく影響されそうだ。

 米金融機関への資本注入が進んでいるが、サブプライム関連債券の残高はまだ残っている。これらがすっきりしない限り買いの手も弱くなろう。

●実体経済の悪化確認で政策催促相場

<第一生命経済研究所 主席エコノミスト 嶌峰義清氏>

これまでのサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題や、それに関係する住宅市場、金融市場悪化への懸念ではなく、市場は実体経済の悪化、特に米国のリセッション入りを織り込み始めた。大幅利下げやサブプライムローンの損失への財政支出など、政策催促相場となっている。米連邦準備理事会(FRB)の今後の利下げは、これまでの緊急避難的なものではなく景気刺激的な意味合いを持ち始めるだろう。

 今週は米国の経済指標発表が多く、中でも1月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値に注目している。同指標で消費者マインドの悪化が大きければ、株価も一段安となる可能性もある。

 国内株式については、自律反発できない状態になっているようだ。当面の下値のメドは、1万3000円とみている。

●政府の無策を嫌気、思い切った対策必要

<ちばぎんアセットマネジメント専務 安藤富士男氏>

本質的には景気や金融市場に無頓着な政府の無策を嫌気した売りとみている。政府に危機感がないため、配当利回り、PERは歴史的な水準に到達しているが、買いが入らない。3月期決算を控えて国内勢がロスカットの売りを続けているほか、個人も追い証がかかって動きが取れない状況だ。海外ファンド勢は1月に契約改定の更新を行い2月から新年度の投資を開始する。早期に思い切った対策を打てれば、海外勢の新年度資金が流入する可能性がある。通常国会での対策発動に加え、日銀は協調利下げも含めた対応を検討すべきだろう。

●海外勢の売り懸念から不安定な状態続く

<東洋証券 シニアストラテジスト 児玉克彦氏>

 シティグループの決算発表でアク抜け感が生じるとの見方があったが、12月の米小売売上高の予想外の減少を受け米国景気に不安が高まり、下げに拍車をかける展開になった。金融問題の不安が後退したとしても、足元の景気が悪くなるのであれば、株価は厳しい動きにならざるを得ない。今後は米国景気に関心が集まることになろう。

日本株については、こうした不安感のほか、需給の悪化から反発に転じるまで時間を要するとみている。損を穴埋めするために欧米機関投資家は処分売りを急ぐとみられるが、過去2─3年に彼らは大幅に買い越していただけに、先行きどれだけ売りが出るか想像できない。実態以上に売られている現状は、言われるような構造改革の後退を嫌気し売ったという相場観に基づくものではなく、保有している株式を機械的に処分しているようなイメージだ。売り尽くしたというムードになるまで、株式市場は不安定な状態が続くのではないか。

●株急落でも米投資家は意外に冷静

 <新光証券 エクイティストラテジスト 瀬川 剛氏>

 米シティグループのサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連の損失額は事前に240億ドルとの観測報道もあったので、数字自体には意外感はなかった。ただ引当額が少なく、損失がまだ膨らむ可能性があるとの見方につながっている。

 第4・四半期売上高が市場の見通しを下回った半導体大手インテル(INTC.O: 株価, 企業情報, レポート)が15日の米株式市場の時間外取引で一時10%下落しており、今晩の米国株式市場がハイテク株中心に下落が予想されることも売りの要因だ。

 ただ米株投資家の恐怖心理度合いを示す指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)はそれほど上昇しておらず、株価が大幅下落した割に米国の投資家は冷静だ。シティの損失額は予想範囲内であり、インテルなども以前からアナリストの格下げが相次いでいた。完全に予想外の出来事ではないということだろう。

 年末から株価は大きく下げているが、相場は底入れの前に急落するものだ。28日には米大統領一般教書演説があり、税還付方式の減税などが発表される可能性が大きいし、29─30日には利下げが予想されている米連邦公開市場委員会(FOMC)もある。これからポジティブな材料が多いことに注目しておくべきだろう。

●底値圏、ポートを攻撃的に

 <ファンドクリエーション インベストメントアナリスト 木下晃伸氏>

昨年秋からサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題や米景気減速で日経平均は1万4000円程度まで下落するとみており、ほぼ想定した通りの展開になっている。そろそろ底値圏に来ており、ここからは株式に積極的なスタンスで臨む。これまで組み入れていたディフェンシブ性の強い銘柄を減らし、銀行株のウエートを上げるなど攻撃的なポートフォリオに組み替えている。

 米金融機関の損失の大きさや増資なども、日本の不良債権問題を踏まえれば意外感はない。最終的には米ダウ工業株30種が1万2000ドルを割り込むところまで行かないと底打ちに確信は持てないが、今は最初の陰の極に来ているという認識だ。

 (08/01/17 05:21)  





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