英国:8000年前の海底遺跡発見、高度な技術有していた可能性

【大紀元日本8月29日】英国のサウサンプトン(Southampton)国家海洋センターの研究者らが、英国ワイト島南岸の海底で、8000年前の遺跡を発掘した。遺跡は、氷河期後の中石器時代の人類の居住地だったとみられ、火打石やドングリ、木炭などが見つかっている。旧石器時代の人類は、洞穴や獣の皮で作ったテントのようなものに住み、技術も単純なものしかなかったと従来見られていたが、保存状態の良い出土物から、カヌーなども造ることができるほど、高度な技術を有していたことがわかった。また、これまで陸上の遺跡発掘がほとんどだったが、海底からの遺跡発掘により、未知の全体像が解明できる可能性があることから、研究者らは注目している。

報道によると、The Hampshire and Wight Trust for Maritime Archaeology(HWTMA)の海洋考古学者らは、ワイト島南岸の水深11mの海底で一部の海床を採取し、このサンプルを実験室で分析・研究した。発掘したサンプルの中に含まれる物質は8000年前のものであり、ドングリや木炭などの他に、火床やかまどらしき痕跡も見つかった。専門家らは、遺跡は大規模な人類の居住区だったと推測している。

HWTMA理事ギャリー・モンバー(Garry Momber)氏は、この遺跡はイギリス海峡ができる前、まだ欧州大陸と地続きだった頃からの遺跡であり、世界的に重要な場所であると述べた。

今回の発掘作業で海底から採取した堆積物は、大気に触れることがないため保存状態も良く、研究所で一層一層分析するという。中石器時代の遺跡からは、これまで木などの有機物はほとんど発掘されず、道具としての石材は発掘されても、それを使って作ったものは見つかることはほとんどなかった。出土物から、高度な製造技術を有していたと推測され、しっかりとした構造の建造物がある場所でカヌーを製造していたと見られている。

8000年前の物質が明らかになれば、旧石器時代の人類生活を解明する上で重要な手がかりになる、と発掘に携わる研究者は期待を寄せている。

(記者・坂本/田中総合報道)