多くの高齢者にとって、朝はつらい時間です。関節のこわばり、筋肉の張り、そして重だるい感覚が、ベッドから足を下ろす前に襲ってくることがよくあります。そんなときに役立つのが、手や足のシンプルな逆方向エクササイズです。これによって体がほぐれ、リフレッシュした気分で1日を始めることができます。
筋肉や関節がこわばる3つの原因
台湾の「We-Care中医クリニック」の院長である Chen Chaolong 氏は、朝の筋肉や関節のこわばりには以下の3つの要因があると説明しています。
- 過度の疲労: 前日に無理をした場合、遅発性筋肉痛を引き起こし、筋肉の張りやこわばりにつながります。
- 寒さや身体の不調: 風邪をひいたり、冷えた環境にさらされたりすることで筋肉が緊張し、関節のこわばりを引き起こすことがあります。
- ケガによる腫れ: ケガによる腫れが、筋肉や関節のこわばりにつながる場合があります。
陳氏によると、もしこわばりが長引き、赤み・腫れ・熱感・痛みを伴う場合は注意が必要です。これは一時的な朝のこわばりとは区別すべきであり、関節リウマチやその他の炎症性疾患の可能性を示していることがあります。
筋肉や関節がこわばりやすい3つの部位
臨床観察によると、朝のこわばりは以下の3つの部位に最も多く見られると陳氏は指摘しています。
- 指: 起床後に手が動かしにくく、曲げられない感覚になることがあります。料理人、主婦、長時間キーボード作業を行う人は、手に関する問題、例えば、手根管症候群やばね指等を抱えやすい傾向があります。
- 股関節や大腿部の筋肉群: 太ももや股関節に大きな負担がかかった場合、遅発性筋肉痛が起こりやすく、それが筋肉の過度な緊張につながります。
- 膝: 慢性的な炎症や関節炎がある人は、睡眠中に関節周囲に水がたまり腫れることで、その周囲の筋肉が緊張し、特に膝に朝のこわばりや不快感が出やすくなります。
筋肉の張りに対抗する逆方向エクササイズ
人間の体は長時間同じ姿勢を維持するのに適していません。特に筋肉量が少ない指のような部位は、疲労やこわばりが起こりやすいのです。日常でよく使う関節や筋肉の動きと逆方向の運動を行うことで、関節の可動性や安定性を高め、筋肉の緊張やこわばりを和らげることができます。
陳氏は、上肢と下肢のこわばりや不快感を予防・緩和するために、次の逆方向エクササイズを勧めています。
指のはじき運動
ステップ1:両手をしっかり握り、こぶしを作ります。
ステップ2:手を洗った後に水を振り払うようなイメージで、指を勢いよく外側にはじき、5本の指をできるだけまっすぐ伸ばします。
ステップ3:1〜2秒ごとに力を入れてはじく動作を繰り返し、20〜30回行います。
手首の屈曲運動
ステップ1:両腕を地面と平行にまっすぐ前に伸ばします。
ステップ2:指をまっすぐに伸ばし、その後ゆっくりと下方向に曲げ、元の位置に戻します。これを30〜50回繰り返します。
指を曲げる働きを持つ「指屈筋」と、手首を伸ばす「手首伸筋」は、それぞれ指の屈曲や手首の伸展を司っています。指のはじき運動や手首の屈曲運動を行うことで、これらの筋肉群を効果的にリラックスさせ、ばね指、手根管症候群、狭窄性腱鞘炎などに伴うこわばりや不快感を和らげることができます。
ダイヤモンドのポーズ(ヴァジラサナ)
ステップ1:両膝を揃えて地面にひざまずき、足の甲を床につけます。
ステップ2:背筋をまっすぐに保ちながら、ゆっくりとお尻をかかとの上に下ろして座ります。
ダイヤモンドのポーズは、すねの前にある前脛骨筋を効果的にストレッチし、足首の可動性を高めます。また、足底筋膜炎の緩和にも有効です。
チャイルドポーズ(バラーサナ)
ステップ1:ヴァジラサナの姿勢から始め、お尻をかかとの上にのせたまま体を前に倒し、頭を膝に近づけます。
ステップ2:両腕を頭の周りに回すか、またはまっすぐ前方に伸ばします。その姿勢を30秒間キープします。
このエクササイズは、背中や股関節周囲の筋肉の緊張を和らげ、全身のリラクゼーションを促進し、身体的な疲労を軽減します。
朝の優しくターゲットを絞った動きは、こわばりを和らげ、血行を促進し、筋肉を活性化し、その日1日を前向きにスタートさせる助けとなります。自分の体の声に耳を傾け、これらのシンプルな逆方向エクササイズを取り入れることで、動きの鈍い重だるい朝を、より柔軟でエネルギッシュな始まりに変えることができます。
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。
(翻訳編集 井田千景)
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