ほうれん草と豆腐を一緒に食べると結石になる?――医師が迷信を解説

「先生、年配の方たちが言うんですが、ほうれん草と豆腐を一緒に食べると結石ができるって本当ですか?」外来でよく受ける、食事に関する質問のトップ3に入るほど定番の疑問です。

実はこれ、長年語り継がれてきた迷信なのです。むしろ理論上は、豆腐(カルシウム豊富)とほうれん草(シュウ酸豊富)を一緒に食べるほうが、体を守る賢い食べ方といえます。なぜでしょうか?

シュウ酸とカルシウムが腸内で結合して排出される

この2つが腸内で出会うと、シュウ酸とカルシウムはまず「シュウ酸カルシウム」として結合します。ここで大事なのは、この時点ではまだ腸の中にあるということ。結合した分子は大きすぎて腸から吸収されず、そのまま便とともに体外へ排出されます。

つまり腸のなかで先に「夫婦の契り」を結んでそのまま出て行くため、血液に入って悪さをすることはありません。

本当の問題が起きるのは、高シュウ酸食品を単独で大量に摂ったときや、腸の機能が低下しているとき(例:腸漏れ症候群(リーキーガット)、脂質代謝異常など)です。

こうなると、過剰なシュウ酸塩は「制御不能の旅人」のように腸壁を通り抜け、血液のなかへ入り込みます。血液に入ったシュウ酸塩が腎臓に沈着すれば結石になります。血流に乗って軟部組織・筋膜・関節などに蓄積すると、針で刺すような慢性的な炎症や痛みを引き起こすこともあります。

これが、毎日グリーンスムージーを飲み、大量の生野菜を食べるなど「健康食」を心がけているのに、関節が理由もなく痛くなったり、筋肉がこわばったり、疲れやすくなったりする人がいる理由です。
 

よくある高シュウ酸食品リスト

ご自身の食事を見直す参考に、代表的な「高シュウ酸食品」をまとめました。繰り返す結石や原因不明の関節痛にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

  • 野菜類:ほうれん草(特に含有量が多い)、ビートルート、ヒユナ、スイスチャード
  • 果物類:ヤマモモ、キウイ、プラム(西洋スモモ)
  • ナッツと種子:アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ
  • その他:チョコレート(カカオ濃度が高いほどシュウ酸含有量が多い)、濃いお茶
     

シュウ酸結晶を防ぐ3つの食事原則

もちろん、野菜を怖がらせたくて書いているわけではありません。大事なのは「攻略法」を知ることです。

いくつかの原則を押さえれば、おいしく食べ続けられます。

1. 水をたくさん飲む

これが最も重要な対策です。水分は代謝をサポートする最高の味方です。1日2,000〜2,500mlを目安に水分を摂ることで、尿中のシュウ酸濃度を薄め、結晶が集まる前に速やかに体外へ排出できます。川の水量が多ければ泥が溜まりにくいのと同じ原理です。

2. 「カルシウム」と一緒に摂って中和する

冒頭でご紹介したほうれん草と豆腐の話に戻りますが、高シュウ酸の野菜を食べるときは、カルシウムが豊富な食品(豆腐・ヨーグルト・小魚など)と意識的に組み合わせましょう。腸のなかで先に結合させて排出するのが、最も効果的な防御策です。

3. ゆでる調理法に変える

ゆでることでシュウ酸が溶け出します。ほうれん草やヒユナをさっとゆでてゆで汁を捨てるだけで、生で食べるよりシュウ酸の摂取量をぐっと減らせます。

食事に絶対の正解はありません。大切なのは、自分の体に合っているかどうかです。

長期間慢性的な痛みに悩まされている方は、高シュウ酸食品を控え、水分を多めに摂ることから少しずつ試してみるとよいでしょう。

体の声に耳を傾けてください。体は必ず、最も快適な状態を教えてくれます。

(翻訳編集 日比野真吾)

劉博仁