眠っているときに考えすぎてしまい、なかなか寝付けなかった経験がある方も多いのではないでしょうか。その結果、強いストレスを感じたことがあるかもしれません。専門家によると、考えすぎることは悩みの一般的な症状の一つです。矛盾しているように聞こえますが、それがかえって私たちのストレスをさらに増大させてしまいます。幸いなことに、この状態から抜け出すための方法はいくつかあります。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の教授であるケネス・E・ミラー氏は、心理学専門サイト「今日の心理学」への寄稿で、日常生活において沈思、つまり考えすぎることが、ストレスや苦痛をさらに強めてしまうと述べています。
ときには、頭の中で堂々巡りしてしまう問題が、失業のように客観的に見ても非常に深刻な場合もあります。しかし一方で、人々が心配している問題が、実際にはまだ起きておらず、「起こるかもしれない」と恐れているだけの場合も少なくありません。例えば、試験に不合格になるのではないかという不安などが挙げられます。
問題がどのようなものであっても、私たちの脳はそれを解決しようとし、何度も考え直したり、解決策を探したり、別の視点から捉え直そうとします。その問題が現実のものであれ想像上のものであれ、外的なものであれ内的なものであれ、脳と身体には似たようなストレス反応が引き起こされます。
考えすぎることは非常に不思議な現象で、不安や抑うつ、怒り、悲しみといった私たちの苦痛を映し出すものであると同時に、そうした苦痛を生み出す原因にもなります。心を乱す出来事について繰り返し考えれば考えるほど気分は悪化し、その反芻思考の深みに、ますますはまり込みやすくなります。そのため、考えすぎは苦痛の悪循環を生み出してしまうのです。

この悪循環から抜け出すことができてこそ、考えすぎによって引き起こされる問題から解放されます。以下は、ミラー氏が提案する3つのステップです。
(1)注意を沈思からそらし、一歩引いてみる
ここでは、シンプルなマインドフルネス(今この瞬間の体験に意識を向け、評価や判断をせずに受け止める心の在り方)の方法が役立ちます。呼吸に意識を集中し、深くゆっくりと呼吸してみてください。例えば、比率呼吸法として、息を吸うときに1、2、3と数え、吐くときに4、5、6、あるいはそれ以上長く数える方法があります。
息を長く吐くことで、副交感神経(身体を休息や回復へと導く神経)が優位になり、「休息と消化」の状態に入りやすくなり、心拍数も次第に下がります。その結果、脳の警報中枢である扁桃体(恐怖や不安を感知する脳の部位)に対して、「今は安全であり、警戒を緩めてもよい」という信号が送られると考えられています。
運動によってこの第一歩を助けたい場合は、散歩やランニング、自転車、短時間のヨガなどを試してみてください。その際、運動そのものの感覚や周囲の景色に意識を向けることが大切です。夢中になれて集中力を必要とする活動を見つけることは非常に有効で、注意を問題から活動そのものへと自然に移す助けになります。
(2)思考が再び沈思に戻ろうとする瞬間に気づくこと
再び考えすぎに陥りそうな衝動に気づいたら、やさしく「もうやめます」と心の中で言い、今していることに意識を戻してください。最初は、この強い衝動に抵抗するのが難しく感じられるかもしれませんが、何度か繰り返すうちに、次第に楽になっていきます。やがて、その衝動に対処することで、心と身体がすでに緩み始めていることに気づくでしょう。
(3)沈思を引き起こしている感情を探る
沈思とは、脳が問題を解決しようとする一つの方法です。その問題は、外の世界にあるものだけでなく、私たちの内面にも存在します。それは、和らげようとしている恐れや、感じたくない悲しみ、あるいは避けようとしている傷つき、孤独、羞恥心などかもしれません。
自分が考えすぎてしまう背景に、どのような感情があるのかを見極めてみましょう。感じていることを言葉にしてみたり、日記に書き留めたり、心の奥で痛みを抱えている自分自身の一部に対して、慰めるように、なだめるように語りかけてみてください。
信頼できる人に、心の奥底にある感情について話してみるのも一つの方法です。その際、問題を解決しようとすることに意識を向けるのではなく(それは感情を再び沈思に引き戻してしまうことがあります)、ただ自分の感情そのものに注意を向けてみてください。
沈思の背後にある感情を探っていくうちに、考えすぎたいという衝動が次第に弱まっていくことに気づくかもしれません。そうなれば、それらの感情から逃れるために、過度に考え続ける必要はなくなっていきます。
ミラー氏は最後に、私たちが今していることに全身全霊で取り組み、反復思考の苦しみにとらわれずに過ごすことで、思考は十分な休息を得られるとまとめています。その結果、ときには新たな視点や、問題解決の糸口が自然と浮かび上がってくることもあるのです。
(翻訳編集 井田千景)
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