2026年サッカーワールドカップが6月11日に開幕しました。この一大イベントの開幕に伴い、出場選手たちは良い成績を目指して準備を進め、ファンたちもスタジアムで直接観戦するか、テレビ中継を通じて応援しています。たとえ好きなチームが出場していなくても、特定の応援対象がなくても、試合を観ることにはメリットがあります。その理由を見ていきましょう。
イギリスのアングリア・ラスキン大学の心理学博士課程候補レイチェル・K・オウンスワース氏、心理学准教授アネリー・ハーヴェイ氏、心理学・スポーツ科学学部長ヘレン・キーズ氏が学術メディア「The Conversation」に寄稿し、ワールドカップ観戦の利点を明らかにしています。
3人の学者はこう書いています。ファンの場合、好きなチームが勝てば狂喜し、負ければ落ち込むなど、さまざまな感情がストレスを生むこともありますが、全体としてスポーツイベントが人に与える影響はポジティブです。
研究によると、スポーツイベントを観戦する人はしない人より幸福感が高いことがわかっています。これはおそらく、スポーツ観戦の社会的な性質に関連しています。
キーズ氏が以前主導した研究では、イギリス政府が委託した調査に参加したイングランド在住の16〜85歳の成人7,209人のデータを用いました。
この研究では、過去1年間に生のスポーツイベントを観戦しなかったイギリス人に比べて、観戦した人は生活満足度が高く、生活に意味を感じ、孤独を感じにくいことがわかりました。
こうした知見は他の研究結果とも一致します。別の研究では、毎年少なくとも1回生のスポーツイベントを観戦する人は、そうでない人よりうつ症状が少ないことが示されています。
現地に行けなくても、テレビやインターネット中継で観戦することも心身の健康に有益です。

2021年に発表された研究では、テレビやインターネットでスポーツをあまり観ない人に比べて、頻繁に観る人はうつの程度が低く、観る頻度が高いほどうつ症状が出る可能性が小さくなることが示されました。
また、生観戦であれテレビ・インターネット観戦であれ、観戦する人はしない人より高い生活満足度を感じやすいです。
3人の学者は、スポーツ観戦のポジティブな影響は社会的アイデンティティに関連している可能性があると述べています。
3人によると、人々は共通点を持つ集団を形成することでつながりを求め、それが私たちのアイデンティティの一部を形成し、社会的・感情的なサポートを得る基盤となります。例えば、同じチームを応援する人々とそうした集団を形成します。
2017年に発表された研究では、あるチームへの強い帰属意識を持つ人ほど他のファンから感情的なサポートを受けやすく、それにより生活満足度が向上することが示されています。
共有する社会的アイデンティティを通じて、私たちは集団の成功による社会的・感情的な恩恵も共有できます。ベルギーのルーヴェン大学の研究者たちはこの現象を「栄光の反射(basking in reflected glory)」と呼んでいます。
また、日本のある研究では脳画像技術を用いて、スポーツ観戦と幸福感をつなぐ社会的プロセスが重要な役割を果たすことを確認しました。
この研究では、ゴルフなどのニッチなスポーツを観る場合と比べて、野球などの人気スポーツを観るときは、参加者の脳で心理的報酬に関連する領域がより活発になることがわかりました。
つまり、スポーツ観戦による社会的な恩恵は、必ずしも家族や友人と一緒にスタジアムに行くことに限定されません。現地観戦であれ自宅観戦であれ、好きな選手やチームがもたらす集団帰属感を感じ、心理的な恩恵を得ることができるのです。
(翻訳編集 日比野真吾)
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