便利なビーチサンダル  知られざる危険に注意しましょう

近年、ビーチサンダルは、涼しく、着脱が容易であり、夏場に断然有利なことから、欠かせないアイテムの一つです。 の裏が直接地面に触れないだけでなく、他の部分が覆われていないため、より素足に近い状態になります。

健康で丈夫な足であれば、もちろん大きな問題はありません。アボリジニが登山靴を履かないで山登りをしたように、レインブーツやサンダル、ビーチサンダルでも山に登ることができ、靴による影響はさほどないのです。

しかし、私たちの足は彼らと同じなのでしょうか。 もちろん、そんなことはありません。
現代の靴文化は、私たちの足の筋肉や骨のほとんどを運動不足にしています。 サンダルなどに絶対的な良し悪しはありませんが、便利さやデザインの美しさを理由に潜在的なリスクを軽んじてはいけません。そうでなければ一生後悔する結果になります。

ビーチサンダルの2つの問題 

クリップオンビーチサンダルは、かかとを結ぶ細いストラップがないため、足への負担が大きく、カバー力も弱いので、アウトドアではサンダル以上に危険です。

さらに、クリップオンビーチサンダルと足の接触部分は母趾と第2指の間だけで、歩行時にかかる力はすべてその部分の足の筋肉がスリッパを引っ張ることで発生します。 皮膚の擦れや水ぶくれ以外にも、一歩踏み出すたびに親指とサンダルの底板が上向きに引っ掛かり、すぐに脱げないようになっているのが特徴です。

長時間履いていると、ふくらはぎの前側の筋肉、つまり伸筋や、長趾伸筋、前脛骨筋等といった足背部の筋肉に過度な疲労が現れます。

クリップオンビーチサンダルを長時間履くと、ふくらはぎの前側の筋肉に負担がかかります。 (Shutterstock)

もちろん、サンダルやビーチサンダルでも、便利さとデザインの両方が揃っているのであれば、何の問題もありません。 ただ、あくまでも道具であることを忘れずに、使いすぎや不適切な状況での使用に注意する必要があります。

ビーチサンダルで路上を走ってもいいのか

近年、マラソン・ロードランニングが人気を集めていますが、実は私も愛好家の一人で、トライアスロンにも何度か出場しています。このような長時間のロードランニングに参加する多くの人々は、さまざまな問題を抱えています。その一つの問題はビーチサンダルでランニングしていいのかということです。

ビーチサンダルは一般的にY字サンダルとして知られていますが、ランニング用Y字サンダルは通常のビーチサンダルとは異なります。 両方とも足が包まれていないことは確かですが、このY字サンダルの紐はさらに後ろに伸びて、足によりフィットします。また、靴底にはある程度のアーチサポートもあります。

また、単一素材で軽量、前脛骨筋に負担がかからず、紐がなくて、価格がリーズナブルであり、水の侵入に問題がないという点でも異なります。一般的なランナーは、ランニング用Y字サンダルを靴下なしで履いていますが、これが効果的なようです。

しかし、かかとが固定されていないため、走ると音がし、靴下を履かないことによる摩擦がやはり避けられません。靴底のクッションが、やはり通常のスポーツシューズより悪い、といった履き心地の問題点もあります。本来はサンダルであるため、やはり走るとつま先にかかる力がやや大きくなり、通常とは異なる筋肉を使います。

ビーチサンダルで走るには、より足の筋肉が強い必要があり、特に偏平足やその他の足のトラブルを抱えている人には適していません。

「ビーチサンダルが履けない」は大きな問題

もしある日、ビーチサンダルが履けなくなったと気づいたら、それは大きな問題です。
神経障害や神経の乱れにより、甲の前面の筋肉が麻痺することは珍しくありません。

たとえば、昔、足を組んで片足をもう片方の足の外側、つまり総腓骨神経(腓骨神経は足の指や脚のひらを上に向ける力を支配している)に押し当てて、じっと座り続ける檳榔西施という美女がいました。 長時間圧迫していると、下を向く力によって神経がある程度麻痺してしまい、ビーチサンダルを履くと脱げるという事態になるのです。 (下の写真参照)

腓骨神経が麻痺すると、ビーチサンダルを履いたとたんに落ちてしまうのです。 (タイムズ出版)

また、足の捻挫で来院した患者を運動ニューロン疾患 と診断したことがあります。
脳梗塞患者の中には、足を引っ掛けることができないため、サンダルの裏に紐をつけないとどんどん落ちてしまうという人がいます。

時報掲載の「足の痛みは自分で治せ」より。

(翻訳編集:李明月)

朱家宏
行健整形外科クリニック院長。