目の下のたるみやむくみは、夜更かしや睡眠不足、皮膚の老化によって生じると一般的には考えられています。しかし、中医師の陳春如氏は、エポックタイムズの取材に対し、中医学では目の下のたるみやむくみは、脾、肝、腎の機能の乱れと関係していると説明しました。
目の下のたるみ、すなわち眼窩周囲の腫れや浮腫に対する中医学の治療では、多くの場合、まず脾、胃、腎の「気」(生命活動を支えるエネルギー)を整え、個人の体質と弁証(症状や体質から原因を見極めて治療方針を決める中医学の診断方法)に基づいて治療を行うと陳氏は述べています。また、中医学には、しみを薄くするための日常的なケア方法もあります。陳氏は、浮腫型の目の下のたるみには、改善を補う方法として、胃腸の動きを促す運動を勧めています。
目の下のたるみ・むくみの3つのタイプ
さまざまな状態によって、異なるタイプの目の下のたるみやむくみが生じます。
1. 脾と胃の機能の乱れ:浮腫型の目の下のたるみ
浮腫型の目の下のたるみは、腫れぼったく、柔らかく、色が白っぽいのが特徴で、疲れているように見え、やや顔全体がむくんだ印象になります。これは胃腸の浮腫によって生じます。よくある原因としては、冷たい飲み物の飲み過ぎや、水分摂取量の急激な増加があり、それによって体内に水分が過剰に滞留し、「湿」(体内に停滞した余分な水分)が生じます。さらに、水分を運び、変化させる脾と胃の機能が弱っていると、水分代謝が低下し、皮膚が薄く組織が柔らかい目の周囲に水分がたまります。
中医学の治療では、脾の機能を高め、利尿を促し、湿を取り除くことに重点を置きます。臨床では「四君子湯」がよく用いられ、党参、ヨクイニン、ナガイモ(山薬)などの生薬と組み合わせることで、脾を強化し、湿を取り除き、水分代謝を促進すると陳氏は述べています。
中医学では、脾と胃は、食物から得た栄養素の消化、吸収、運搬を担うと考えられていると陳氏は説明しています。脾と胃の機能が乱れると、消化不良、疲労、浮腫、気と血の不足につながる可能性があります。
2. 肝経の乱れ:「夜更かし型」の目の下のたるみ
夜更かしをしたり、遅い時間に就寝したりすると、肝経(気と血が流れる経路)における気と血の流れが乱れ、循環が悪くなります。夜更かし型の目の下のたるみには、くすんだ顔色、明らかな疲労感、精神状態の不調が伴うことがよくあります。年齢を重ねるにつれて、目の周りのたるみも目立つようになります。
治療では、肝の働きを穏やかにし、気を整えることに重点を置きます。陳氏は、血液循環を円滑にするため、丹参、赤芍(シャクヤクの根)、当帰など、血の流れを活性化する生薬を加えることを提案しています。
中医学によると、人体には気と血が流れる通路である12本の経絡があります。経絡ごとに最も活発に働く時間帯が異なり、肝が働く時間帯は午前1時から3時までとされています。この時間帯に起きていると、肝経がつかさどる部位に乱れが生じやすくなります。
3. 腎気の不足:加齢に伴う目の下のたるみ
腎気の低下は加齢と関係しており、皮膚の弾力性や組織を支える力に影響します。眼窩の骨による支持力が徐々に弱まることも重なるため、黒ずんで垂れ下がった目の下のたるみが生じやすくなります。
治療では、腎を補い、気を補充することに重点を置き、八味地黄丸や六味地黄丸などの処方が一般的に用いられると陳氏は述べています。
中医学では「腎」を、生まれながらに備わる精の基盤と考えます。腎には、精を蓄える、水分代謝を調節する、骨髄の生成をつかさどるといった働きがあり、生殖、成長、発達、免疫とも密接に関係しているとされています。この概念は、西洋医学において一つの臓器として捉えられる解剖学上の腎臓とは異なります。
目の下のたるみを軽減し、しみを薄くする外用法
陳氏は、目の周囲の血行を改善するために、生薬を外用する方法も勧めています。白芷(ビャクシ)、川芎(センキュウ)、天門冬(テンモンドウ)を粉末にし、少量のオリーブ油または玄米油と混ぜて、目の周囲に塗ります。
油は皮膚に吸収されやすく、肌になじみやすい性質があるため、水分を保ちながら薬効成分が皮膚に浸透するのを助けると陳氏は述べています。
塗ったものがほぼ乾くまで待ち、その後、水で洗い流します。この処方は目の周囲の血行を促進し、むくみを軽減します。また、白芷には美白作用があり、しみを薄くするのに役立ちます。ただし、白芷には光感作作用(光に対する皮膚の反応を強める作用)があるため、日中の日光を避け、夜に使用することが勧められると陳氏は述べています。
老化を遅らせるための3つの重要なポイント
老化を本当の意味で遅らせるには、日々の生活習慣を見直す必要があります。陳氏は、次の3つの重要なポイントを挙げています。
- 定期的な運動:血行を促進し、顔色を改善します。
- 適度な食事:偏った食事や、冷たすぎるもの、熱すぎるものを避け、体が必要とする適量だけを食べます。
- 十分な睡眠:慢性的な睡眠不足は老化を早めます。
顔の骨格の衰えによるたるみを改善する方法
加齢によって顔がたるみ、顔を支える力が低下した場合は、コラーゲンに関係する栄養素を補い、骨を強化することから治療を始められると陳氏は述べています。地黄やナルコユリ(黄精)などの根を用いる生薬は、陰(体を潤し、滋養する性質)を養い、体に不可欠な栄養素や組織液を補い、乾燥や老化の兆候を和らげる目的で一般的に使用されています。
骨を強化する中薬(中医学で用いる薬)は、多くの場合、腎を補い、血行を促進して骨の形成を支え、骨粗しょう症を治療する働きがあると陳氏は述べています。煎じ薬は濃度が高く、より大きな効果が得られるため、主な服用方法となっています。
中医学では、すぐに結果を求めるのではなく、全身の健康状態を改善することに重点を置きます。栄養学的な観点では、中医学で用いられる伝統的な生薬には、さまざまな天然化合物が含まれています。長期的に体調を整えることで、精神状態の改善、疲労の軽減、朝の思考の明瞭化など、わずかな変化が現れることが多く、それによって全身の老化の進行を緩やかにできます。
注:上記で紹介した生薬の中には、聞き慣れないものもあるかもしれませんが、その多くは健康食品店やアジア系食料品店で入手できます。
指圧と脾・胃のマッサージ
目の周囲の血行を促進すると、目のむくみを軽減するのに役立ちます。陳氏は、目頭にある睛明のツボ、眉骨の内側からこめかみにかけて並ぶツボ、眼窩の下にある承泣と四白のツボをマッサージすることを勧めています。これらのツボを毎日5~10回、優しくマッサージすると、目の周囲の血行が促進され、目元が明るく見えるようになります。

そのほか、市販の蒸気温熱アイマスクを使用して温熱療法を行う方法や、中医学の診療所で医師による鍼治療を受ける方法もあります。陳氏は、顔に色素沈着が生じる皮膚疾患である肝斑の患者を治療する際、鍼治療が顔の筋肉を引き上げるのに役立つことを確認しています。適切な深さへの鍼刺激は、コラーゲンの生成を促し、局所の血行を高めることで、目の下のたるみの軽減に役立ちます。
水分を運び、変化させる働きを高める脾と胃の機能が強くなることも、目の下のたるみやむくみの軽減につながります。次のマッサージは、脾と胃の機能を高めるのに役立ちます。
胃腸の循環を促す5つの腹部マッサージ
簡単に行える次のマッサージは、目の下のむくみの改善に役立ちます。
1. U字形の腸マッサージ:上行結腸、横行結腸、下行結腸に沿ってU字形の経路をたどるようにマッサージし、これを繰り返します。
2. へその周囲を円形にマッサージ:へその周りで、時計回りまたは反時計回りに円を描くように腹部をマッサージします。
3. 腰骨から内側へのマッサージ:左右の腰骨から、へその方向へ寄せるように優しく押します。
4. 肋骨の下から内側へのマッサージ:左右の肋骨の下から、へその方向へ押します。
5. 放射状のマッサージ:腹部全体の循環を高めるため、へそから外側へ向かって押します。
(翻訳編集 井田千景)
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