反腐敗

中国保険監督トップ失脚、習政権 金融界の粛正を強化

2017年04月12日 17時08分

 中国共産党中央紀律検査委員会は9日、「厳重な規律違反」として保険監督管理委員会(保監会)の主席と党委員会書記を務める項俊波氏を調査中と発表した。閣僚級の項氏が事実上失脚した。習近平政権は今後、規制当局を含む金融界全体に対して、反腐敗の摘発をいっそう強めるとみられる。

李克強首相「金融大ワニと結託する高官を厳罰する」

 当局は、項氏の具体的な嫌疑について明かさなかった。汚職や腐敗のほかに、当局は、項氏が最近保険会社による上場企業の株式買占めなどの行為で、株価が乱高下し株式市場に大きな混乱を招いたと責任を追及していると推測する。

 項氏の調査発表直後、官製サイト「中国政府網」は、李克強首相が3月21日に国務院で開かれた会議での発言を掲載。「金融リスクと腐敗に警戒すべきだ。一部の官僚と(金融)企業幹部が権力を利用して、『金融大ワニ』(金融界の大物)と結託するなどの不法行為を法的に厳罰しなければならない」と警告していた。李首相は項氏を念頭に発言したとみられる。

「金融大ワニ」肖建華の白状で失脚か

 中国最高指導部に近い情報筋によると、項氏に調査を始めた背景には、今年1月香港から当局に連行された大富豪の肖建華と関係する。

肖建華氏(ネット写真)

 党内江沢民派閥の高官とその親族の資産運用やマネーロンダリングを任された肖は、当局の取り調べに対して自らの罪状をすでに白状し、江派閥高官らの腐敗と汚職の証拠も多く自白した。その中に項氏も含まれたという。

 情報筋は「肖は約2兆元(約32兆円)の資金を動かし、金融市場を意のままに操作できた。そのうちの多数は保険会社からの資金で、項氏が深く関わっている」と述べた。

 項氏が国内保険業を管轄する保監会の主席に就任後、5年間は規制緩和し、国内保険会社にとって高い収益率の保険商品を多く開発し販売させてきた。そのため、2016年末には保険会社の総資産は15兆元(約240兆円)を超え、11年の倍以上となった。

 項氏はさらに、保険会社の国内外における投資規制を緩和した。この潤沢な資金を基に、保険会社が次々と株式市場や不動産市場で投機活動を加速化し、国内金融市場に波乱をもたらした。

 情報筋によると、15年の株価大暴落にも、保険会社からの莫大な資金が絡んでいたという。習政権は、この大暴落は習氏らの反腐敗キャンペーンに抵抗する江沢民派閥が仕組んだ「経済クーデター」と見なしている。

 また情報筋は、保監会だけではなく、中国の銀行を監督する銀行業監督管理委員会(銀監会)、国有大手銀行にも、当局がメスを入れるとの見解を示した。

 時事評論員の石久天氏は、江沢民派閥高官とその親族らが長期的に中国の金融セクターを牛耳ってきたため、金融業内に江派閥人員も多くいると指摘した。習近平政権は今年上半期で、金融規制当局や金融企業への粛正を強化し、より多くの「大トラ」や違法活動を繰り返す「金融大ワニ」が逮捕される見通しと見ている。

(翻訳編集・張哲)

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