階段の上り下りやガーデニングなど、日常のわずかな身体活動でも、中年層の脳機能を即座に向上させ、実年齢より4歳若い人と同等の思考スピードに達することが研究によって確認されました。
アクティブに過ごして、思考を速くする
年齢を重ねるにつれて、私たちの認知処理速度、つまり、思考速度の低下は正常な加齢の特徴と見なされてきました。
しかし、『行動医学年鑑(Annals of Behavioral Medicine)』に掲載された最近の研究によると、「日常的な身体活動が脳の健康に即効的な効果をもたらし、特に中年層の認知処理速度の向上にプラスになる」ことが発表されました。
ペンシルベニア州立大学の研究者たちは、家事のような緩やかな動きからジョギングのようなより激しい運動まで、日常的な活動が認知能力を即効的に向上させることを発見しました。
研究に参加した活動的な人達は、通常、4歳若い人と同じような精神的な処理速度を示しました。
「ジムに行かなくても、身体活動のすべての潜在的なメリットを体験することができます」と、ペンシルベニア州立大学の神経学および心理学の助教授であり、研究の共著者であるジョナサン・ハクン氏はプレスリリースで述べました。
「すべての動きが重要です。日常的な動きが、積み重ねられた身体活動の源として健康的なライフスタイルに寄与し、認知機能に直接的な影響を与えていると考えられる」と言います。
認知の効果はすぐに現れる
身体活動が認知機能に与える短期的な影響を調査するために、研究チームは『エコロジカル・モーメンタリー・アセスメント(EMA)』という方法を使用しました。
この方法は、人々が自然な環境でとる行動に関するデータを収集するものです。
この研究では、ニューヨークのブロンクスから参加した、認知障害の履歴がない40歳から65歳の204人の参加者を追跡しました。
参加者の約50%が黒人またはアフリカ系アメリカ人、34%がヒスパニック系の参加者でした。
参加者は9日間にわたり、1日6回自分の活動を記録し、身体活動のレベルを報告した後に認知課題を実施しました。
研究ではいくつかのパターンが明らかになりました:
- 過去3.5時間以内に行った身体活動が、処理速度の向上に繋がりました。
- 作業記憶自体の改善は見られなかったが、記憶課題での反応時間には向上が見られました。
- より頻繁な身体活動が、より大きな認知的な利益に繋がることが分かりました
ハクン氏は「私たちは年齢を重ねるごとに、身体的にも認知的にも認知能力は遅くなりますが、一方それは、運動によって一時的に打破できるということです。それは非常に説得力があります」。
より頻繁に活動していた参加者は、あまり活動しなかった参加者よりも大きな認知的利益を体験しました。
ハクン氏は「これは定期的な身体活動が認知機能の利益の増加に関連している可能性があることを示唆していますが、
身体活動の頻度やタイミングが認知に関して、どのように影響するかについては、さらなる調査が必要である」と述べました。
研究者たちは「これらの発見は、日常的な身体活動が中年期の認知度向上の促進に繋がる可能性があり、その利益はすぐに享受できるでしょう」と記しています。
ハクン氏と彼のチームは、活動モニタリングツールを評価方法に統合し、長期的なデータを収集することによって、日常的な活動の影響を正常な加齢パターンと比較する研究をこれからも展開する予定です。
(翻訳編集 陳武)
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