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筆者と2歳の時のアン(写真=筆者提供)

英国バイリンガル子育て奮闘記(3)

文:ウェレル・ゆかり

 【大紀元日本9月21日】

 就学前(1989〜1992年)ウォーター、み〜ず

 ダディー語とマミー語の二言語で育てることに決めたものの、まわりに日本人はいない。「うちのおかあさん、自分で勝手に作った自分語があるのよ」と思われないようにするには、どうすればいいのか。ない智恵を絞り出して、地球の模様が描かれているビーチボールを使って、日本を指して「マミーの国」、英国を指して「ダディーの国」と語りかけることにした。「マミーはマミーの国から、ダディーの国に来たの」と本人が分かってもわからなくても、飛行機でブーンと飛んできた動作をつけて繰り返し続けた。だからここでマミーの言葉をしゃべるのはマミーだけなの…という事情を、まず把握してもらいたかったのだ。

 散歩に連れ出しては、日本語で名前を言うようにしていた。空を飛んでいる物体を指して「キ」。ふむふむ、これは「ヒコーキ」の「キ」ね。道を動く物体を指して「カー」。う〜ん、無理もない。「ジドーシャ」という単語は長過ぎる。(後で、「ドーシャ」とも言うようになったが。)

 親としては、バイリンガルの頭の構造が分からない。どんな具合に二つの言語を吸収しているのだろうか。そんなある日、雨上がりの散歩中、 私が地面をさして「みずたまり」と言ったら、本人には「ウォーター」という言葉がおそらく口からでかかっていたのだろう。突然、「ダディー、ウォーター。マミー、みーず。ウォーター、みーず、ウォーター、みーず」とまるで、はやし歌のように口ずさみだした。脳みその中で、マミーのセクションとダディーのセクションが、こうやってしっかり分かれているのか、という感触を得た瞬間だった。

 昔『奇跡の人』というヘレン・ケラーの映画があった。耳、言葉、目が不自由という三重苦を抱え、親に甘やかされて育った幼いヘレンを、サリバン先生が厳しく教育し、物には名称があるんだということを教え込むため、物を触らせ、手に名前を書き続けた。確かその映画は、幼いヘレンが水を触って初めて「ウオーター!」と叫ぶ感動の場面で終っていた記憶がある。余談になるが、古今東西を問わず、「水」は生命だけでなく、人間の言語発達にも大きな作用があるのかもしれない。

(続く)


 (09/09/21 05:00)  





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