【ロイター6月2日=東京】村上世彰氏率いるM&Aコンサルティング(村上ファンド)に対し東京地検特捜部が証券取引法違反の疑いで事情聴取をしているとの報道を受け、阪急ホールディングス<9042.T>による阪神電気鉄道<9043.T>の株式公開買付け(TOB)が有利に働く可能性が出てきた。今後の展開によって村上ファンドは早期の阪神株売却・換金を迫られることになり、阪急にとっては阪神との統合がスムーズに進むとみられている。
阪急は、5月30日から6月19日までの21日間、阪神の株式を1株あたり930円でTOBしている。阪急が45.0%以上の阪神株を取得できれば、TOBは成立する。
最大の焦点は、阪神株式を約47%握る村上ファンドの出方だ。45%超の阪神の株主が応じれば、TOBそのものは成立するが、村上ファンドが応じなければ「のど元に突き刺さった骨」(主力行関係者)は依然残ってしまうからだ。
仮に村上ファンドに対する捜査が本格化し、証券取引法違反容疑に問われることになっても、そのこと自体で村上ファンドが阪神の株主でいられなくなるわけではない。ライブドアの前社長で証券取引法違反容疑に問われている堀江貴文被告が、依然としてライブドアの株式を約17%保有する大株主であるのと同じで、村上ファンドは阪神株式を保有し続けることはできる。
しかし、ライブドアのケースと異なるのは、堀江被告によるライブドア株保有が個人の財産によるものであるのに対し、村上氏の場合は、同氏が代表を務める投資顧問に運用を委託する投資家の資金で上場株式を購入している点だ。
堀江被告の場合、ライブドア株を保有し続けるか売却するかは、堀江被告の判断で決めることができるが、村上氏の場合は、ファンドに資金を拠出している投資家から解約を求められれば「現金を確保するために買った株式を売却・換金する必要が生じる可能性があり、阪神やそれ以外にも保有している株を手放さざるを得なくなる可能性がある」(大手証券)。
もっとも、村上ファンドの早期解約に関する契約条項の中身次第では、投資家がファンドから早期に資金を引き揚げることは難しい。しかし「ファンドの拠出者が今回は特殊な状況だと主張し信用できないから解約させろと言えば、村上ファンドは現金確保を考慮し、阪神株を47%保有したまま突っ走るわけにはいないだろう」(投資顧問)との見方もある。
その場合、村上ファンドが保有している阪神の株式を、阪急が買い取ることも想定されるが、ある大手証券幹部は「阪急はTOB期間が終了した後、930円以下で買い叩くことも可能かもしれない。そうなれば村上ファンドが逆に、阪急のTOBに応募してくる可能性が高まったとも言える」と指摘する。
阪急は2日、一連の報道を受け「報道内容自体は阪神の企業価値を毀(き)損するものではなく、引き続き公開買付けを継続し、阪神との経営統合を目指す」とのコメントを発表した。阪急と阪神にとっては当面、村上ファンドの動きを見極める状況が続きそうだ。
(06/06/02 14:43)
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