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北朝鮮拉致被害者・田口八重子さんの息子・飯塚耕一郎さん

北朝鮮拉致被害者家族 つのる日本政府への不信

 【大紀元日本2月3日】1970年代から80年代にかけて、日本および海外に潜伏した北朝鮮工作員により、多数の日本人が北朝鮮に拉致された。

 2002年9月17日に小泉純一郎・元首相が訪朝しておこなった日朝首脳会談において、北朝鮮の最高指導者・金正日が拉致の事実を認めて以来、すでに7年の歳月が過ぎようとしている。

 しかし、ごく一部の拉致被害者だけは帰国を果たしたものの、いまだに多くの拉致被害者、および北朝鮮に拉致された可能性が高い特定失踪者が帰国できていない。拉致被害者の家族は、長年にわたって被害者の帰国を求める運動を懸命に続けてきたが、特に被害者の親の高齢化がすすんでいる現在、一刻も早く解決すべき国民的課題となっている。

 1月31日、東京・杉並区の産業商工会館で、安東正義思想研究会(主催:人権活動家・安東幹氏)による勉強会がおこなわれ、その席上、北朝鮮拉致被害者の一人である田口八重子さんの長男・飯塚耕一郎さんが、拉致被害者家族の立場から問題の早期解決を訴えた。

 飯塚耕一郎さんの母親・田口八重子さんは、当時3歳の長女と1歳の耕一郎さんを残し、1978年6月ごろ拉致されたと見られている。拉致当時22歳。

 突然、行方不明になった八重子さんを探して途方に暮れる家族であったが、あるとき事態は急展開する。

 1987年11月、大韓航空機爆破事件の実行犯2人のうち、中東バーレーンで自殺できずに生き残った北朝鮮工作員・金賢姫(元死刑囚のち恩赦)の証言により、金賢姫に日本語や日本人の生活習慣などを教えた李恩恵(リ・ウネ)は、日本から拉致された田口八重子さんであることが判明したのである。

 拉致された母・田口八重子さんと金賢姫について、飯塚耕一郎さんは、次のように述べた。

 「私には母の記憶がありません。ですから、私は皆さんに母の話をするときは、田口八重子さんと呼ぶことのほうが多いのです。そのことで、この問題の深さを伝えたいと思います。金賢姫さんについても元死刑囚とは言いません。彼女がバーレーンで生き残ったからこそ、私は母を助ける活動ができます。彼女は、金正日の洗脳を受けたため爆破事件をおこしたのです。彼女が悪いとは思っていません。韓国の警察で、李恩恵はどの写真かと聞かれ、彼女は、田口八重子さんの写真をすぐに指差したそうです。金賢姫さんは、私の大きな目が母にそっくりだと言っているそうです。彼女は私に会いたいそうですし、私も彼女に会って、母がどんな女性だったのか聞きたいと思います。母の人間像をつかむことによって、母を助ける一助にしたいのです。これは帰国した地村富貴惠さんの証言ですが、拉致された田口八重子さんは自分の腹部の妊娠線を北朝鮮側に見せて、自分には子どもがいるから日本に帰してくれ、と強く抗議していたそうです」

 また耕一郎さんは、この拉致問題解決における日本政府の姿勢について、次のような不信感を示した。

 「昨年8月、日朝実務者協議の後、日本側は北朝鮮への経済制裁を解除しました。その理由は分かりませんが、拉致問題解決にはつながらないと私は思います。日本側からうやむやにしようとしている、と勘ぐられても仕方ないように見えます。昨年11月、拉致された市川修一さんのお母さんであるトミさんが、91歳で亡くなられました。トミさんは生前、毎日空を見上げながら、あの雲に乗って修一が帰ってきてほしい、と言っていたそうです。アメリカがどうであれ、日本人拉致問題は日本が解決するという気概を持つべきです。それをしない日本政府に対して、疑問を感じます」

 この日の勉強会は杉並区の後援を受けており、会の冒頭では、日本の主権回復と拉致問題の早期解決を求める杉並区長・山田宏氏の直筆メッセージが紹介された。参加者は約40名で、会場はほぼ満席状態であった。

 
(記者・牧)


 (09/02/03 00:06)  





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