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高層のコンドミニアム建設のために取り壊された建物跡で、めぼしいものを探す労働者。3月6日、安徽省合肥市で(STR/AFP/Getty Images)

不動産高騰と癒着を猛烈批判 「新華社」、異例の連日評論 市民は冷やか

 【大紀元日本4月6日】中国国営の通信社「新華社」通信は、3月28日~4月2日までの6日間、立て続けに、地価を吊り上げ、不動産価格を高騰させた地方政府、そして開発業者との癒着を批判する評論を掲載した。国家や政府の重要政策を発表する「新華社」だけあって、掲載後、たちまち国内の各ニュースサイトに転載され、不動産政策が大きく転換する兆しという憶測が飛び交っている。しかし、専門家は連載記事が不動産価格の下落への影響は薄いと見ており、一般市民の反応は意外にも冷ややかだ。

 連載は、3月28日の「繁栄の背後に隠れた不動産の憂い」と題する評論記事から始まった。同記事は、現在の不動産問題を、土地制度、税収、腐敗、投機などの角度から分析。 現在の不動産の高騰は開発業者の暴利と「地価を高騰させた地方政府の財政政策」によるものと地方政府に批判の矛先が向けられている。2009年の土地売却による全国収入は、1兆4239億元(日本円18兆5107億円相当)に上り、財政収入の5割以上が土地売却からの収益という都市もある。売れば、多額な財政収入に直接つながる。GDPへの貢献が評価され、幹部の業績も上昇するため、ほかの投資と比べて、とても魅力的だ。

 しかし、行き過ぎた土地売却は一種の「共倒れ」とも言うべき自損行為でもあると指摘。今後50~70年間の土地収益を前倒しして手に入れることは、資金、資源の適切配分に影響し、いずれ地方経済を疲弊させてしまうと指摘。また、地価・住宅の高騰のしわ寄せは、市民にのしかかる。住宅購入力は後退し、耕地の保護もより「財政好転」が優先され、不動産バブルを作り上げ、社会経済発展のアンバランスを引き起こすと警鐘を鳴らした。

 また、不動産を高騰させたもう一つの起因に、政府幹部とデベロッパーとの間の癒着を挙げている。 デベロッパーに便宜を図った見返りとして、政府幹部は、格安で不動産を取得し、転売により利益を得る。その格差は最終的には不動産価格に上乗せされる。

 さらに、現在の土地政策では独占と競争が並存しているため、自分たちの利益になるような地価の高騰につながる悪質な競争が展開されているとも指摘。

 上海不動産事情に詳しい評論家の顧海波氏はRFA放送の取材に、連載記事を「新鮮味がない」とコメントし、「誰もが分かっている内容で、実際の行動がなければ、意味がない」と話す。

 全国範囲で「不動産不買運動」を起こしたスウ濤氏は、「実質的な作用がなくても、不動産で暴利を得た開発業者や不法幹部に警告の作用があるかもしれない」と期待を寄せながらも、「連載記事の影響で不動産価格が下がったり、不動産バブルが崩壊することはない。なぜなら、不動産が急落すると経済に影響する。従って、政府はそうしないだろう」と断言した。

 また、連載記事が批判している地方政府の土地政策について、前出の顧氏は「最も簡単な方法は地方幹部をクビにすること。または税収改革を行い、土地税の全額を中央に納付する、この二つの方法しかない」と述べた。

 世界銀行の経済アナリストだった経済学者の謝国忠氏も「政府が本格的な対策を講じない限り、不動産価格が下がることは期待できない。この問題について、2003年から政府はすでに問題視している」と連載記事の効果には否定的な見方を示している。

 連載を企画した「新華社」通信国内部評論室の張建高主任は、「あくまでも自社の企画」と話し、政策転換の前兆ではないかとの見方を否定した。

 中国国土部が3月30日に発表した『2009年全国主要都市地価状況分析報告』によると、2009年の住宅上昇幅は25・1%で、2001年以来、最高の水準という。

 しかし、住宅価格の高騰問題は市民の関心を集めるはずだが、同連載に対する市民の反応は意外と冷静。「痛烈批判しても効果がない」、「もうどうでもいい」、「地方政府とデベロッパーが一蓮托生している。住宅価格が下がれば、共倒れになるから、下がることはない」、「痛烈批判するのは結構だが、具体策がほしい」、「また市民をごまかしている」、「収入は欧米以下でも、住宅価格は欧米水準」など、一般の市民が半ばあきらめの境地にいることが窺える。

(翻訳編集・高遠)


 (10/04/06 07:22)  





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