ドラマさながらの周永康事件 汚職 政変 暗殺 習氏の「背中の負傷」も関与か

2013年12月06日 11時48分
【大紀元日本12月6日】1日の夕方、中国共産党中央弁公庁の栗戦書主任は中央警衞局特別小組と一緒に、中南海にある周永康氏の住居を訪れた。周氏はすでに自身の前途に不安を抱いていたものの、栗主任が党中央の周氏に対する立件と自宅軟禁の決定を読み上げると、周氏はショックで床に座りこんだ。

 これは米華字ニュースサイト・博訊が4日「北京の信頼できる消息筋」からの情報として伝えたもの。同報道はさらに、周氏の妻も周氏と一緒に自宅軟禁され、周氏の秘書や運転手、護衛なども同日に連行されたと伝えた。軟禁状態で取り調べを受け、党内で報告されてから裁判に掛けるというやり方は薄煕来事件と同じだと同報道は指摘した。

 周氏の容疑は、汚職以外「薄煕来と共謀し、習近平が総書記、李克強が首相とする決定を覆そうとした。18大(党大会)で薄の常務委入りを果たし、その後に中南海政変を起こし、習を暗殺し、薄を総書記の座につかせる」といった重大なものが確認されたという。

 周氏の容疑には前妻暗殺への関与も含まれている。元常務委員のひとりは周氏の容疑について「マフィアの首領だ」と批判したという。中国の公安・司法のドンとして君臨していた周氏の容疑を調べるには、中央規律検査委員会の王岐山氏をトップとした、北京や湖北省などから集めた500人の警察による専門調査チームが通常のルートを避けて調べたと消息筋は証言した。

 周氏の立件について、香港誌「明鏡」の編集長・何頻氏も4日、英BBCの取材で同様な内容を詳しく証言している。何氏によると、昨秋の党大会以降、少なくとも8人の周氏側近の大物が取り調べを受けている。周氏の息子の周濱氏も「重大汚職疑惑」で軟禁されている。

 薄煕来事件は周永康事件の序曲に過ぎないと何氏は指摘する。周氏は石油閥の大物で四川省トップや国土資源部トップを歴任。さらには最高指導部の1人として中国全土の司法・公安・武装警察を統括していた。「薄煕来は彼の足元にも及ばない」。何氏は周永康事件の重大さと影響の大きさは、薄煕来事件を「はるかに超える」との見方を示した。

 周氏のバックには江沢民元国家主席。周氏にメスを入れることは、その背後の政治勢力にもメスが入ることを意味する。「習近平にとってはリスクの大きいことだ」。ただ、これによって自身の権威を大きく高めることができ、習氏はあえてこのリスクを冒したと何氏はみている。

 習近平の「背中の負傷」も周永康の仕業か

 一方、習氏は自らこの手を打たなければ、自身の政治生命や命さえも危険に晒される可能性があるとみる専門家もいる。在米中国問題専門家・章天亮氏は、薄の失脚が決まった直後の胡錦濤前主席の側近である令計劃・前中央弁公庁主任の息子の交通事故死や、習氏の行方不明、温家宝前首相の不正蓄財情報が海外メディアに流れたことなどは、すべて周氏が主導したものと指摘。「習近平にとっては大きな教訓」。この勢力の根絶をためらえば、危険はまた自身の身に振りかかる。周氏への取り締まりはこういった脅威を見込んだ習氏の策であると分析した。

 章氏の分析を最新刊の香港誌『前哨』が裏付けている。薄煕来の失脚が決まった3日後に、薄事件調査の直接的な旗振り役となっていた令氏の息子が交通事故に遭い死亡。運転していた車がフェラーリであることや、同乗した女性2人とともに半裸状態であることなどが事故後に伝えられた。この事故によって令氏は息子を失ったばかりでなく、有力視されていた常務委入りは果たされずさらに左遷された。胡錦濤側のクリーンなイメージにも大きな汚点がついた。

 だが事故直後から、これは事故ではなく周永康らによる「政治謀殺」であるとの情報も海外の華字メディアで伝えられた。今回の周永康事件の情報と同時期に『前哨』誌は、令氏は息子の遺体を火葬しておらず、今でも冷凍庫で保存していることを伝えた。息子の死を調査し、黒幕を明らかにするよう中央に懇願したという。「真相が明かされる日まで息子の遺体を解凍しない」と令氏は語っている。

 昨年9月、次期トップと確定視されていた習氏が「背中の負傷」で2週間にわたり姿を消した。当時「博訊」は習氏が不審な交通事故に遭い、一時意識不明の状態に陥ったと消息筋の話として伝えた。それによると、9月4日夜、2台の大型ワゴン車が習氏の乗った車を両脇から挟み、車が大破した。記事は当時、この事故は薄煕来を支持する勢力による暗殺計画であるとの情報を指導部が入手したとしていた。

 周氏の容疑として伝えられる政変を引き起こすために、軍隊や警察、情報、宣伝、経済力の用意が必要。その中の重要なコマとなる薄煕来の陥落は、関与した行政や軍部、党内勢力にとって大きな脅威となった。薄失脚後の一連の不審事はこの勢力による「死力を尽くした抵抗」であると章氏は分析した。

 ドラマさながらの中国の権力闘争。ひとつひとつの真相が明るみに出て「噂話」が「事実」となっていく。これらの事実はまた、パズルのようにつながり、全容が浮かび上がる。薄煕来事件から周永康事件。巨大なパズルはまだ完成しない。その最後の一枚は全容が明らかにされるにつれ、ジリジリしているようだ。「周永康への調査について、習近平が江沢民の支持を得た」との情報はさっそく海外華字メディアで流れた。周氏の後ろ盾でありながら、自身はパズルの一枚ではないと慌てて切り離すが、時すでに遅し。周氏が裁かれてもパズルの中心は空いたままであるからだ。

 
(張凛音)


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