「洪荒之力」の衝撃

傅園慧選手の人気爆発に見る中国人の変化

2016/08/22 22:48

 今回のリオデジャネイロ五輪で、中国はメダル獲得数が過去20年で最低という振るわない結果を迎えてしまったが、競泳女子100メートル背泳ぎで銅メダルを獲得した傅園慧選手の茶目っ気で個性豊かな姿が、世界中の視聴者を釘付けにした。傅選手の発言に愛国主義の決まり文句が見られないことに注目と称賛を受けることから、中国人の価値観が今まさに変化を遂げようとしていることを示しているようである。

 素直で豊かな感情表現 かわいらしさにファン激増

 傅選手が最初に注目されたのは、メディアからの取材を受けた際の、その豊かで素直な感情表現。記者から自身の記録について良いニュースを告げられるたび、時に目を丸くして驚き、時に満面の笑みを浮かべながら、心のままに喜びを語った。

 8月8日の準決勝終了直後に、自己最高記録を更新したと記者から告げられた際には、「そんなに速かったの?すごくうれしい!」「もう…全部の力(洪荒之力)を出し切りました!満足しています」と、自己ベスト更新の喜びをあらわにした。

 そしてメダル獲得をかけて戦った翌9日の決勝直後、記者から2位の選手との差がわずか0.01秒だったと聞かされた時には「じゃあ、私の手が短すぎたってことかな」と茶目っ気たっぷりに答えたが、それが自身の3位入賞を意味していることには思い至らなかったようで、記者から銅メダルの獲得を告げられて初めて「えっ!?3位!?そうだったの!?」と、まるで予想外のプレゼントをもらった子供さながらの無邪気な喜びを、全身からあふれさせた。

 メダルに固執しない めずらしい姿勢

 苦しい練習を乗り越えてきたことに質問が及んだ際には「私が何を経験したかは神様のみが知っています。本当につらかった」「死んだほうがましだとさえ思ったし、いっそ死にたいとずっと思っていました」「今日は私の命をかけて泳ぎました!白目をむいてゴールにたどり着きました」と、自身のこれまでの道のりが決して平たんではなかったことを、非常に率直に語っている。

 同選手が、自身の心境を自分の言葉で素直に表現しながら試合の結果を満足だと表明し、メダル獲得に固執していない態度を示したことは、オリンピックという世界で最も過酷な競争の場においては非常に稀有なことだと、驚きを禁じ得ない。

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