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ウクライナの駐日大使、ミコラ・A・クリニチ氏(写真=大紀元)

駐日ウクライナ大使、日本との農業提携に希望

 【大紀元日本12月18日】欧州の穀倉地帯として知られるウクライナの駐日大使・ミコラ・A・クリニチ氏(55)が15日午後、都内虎ノ門の日本財団内で講演し、ドイツのヒットラー侵攻の際には国土の肥沃な黒土をナチスに強奪された事実を告発、またウクライナが欧州の穀倉地帯であったにもかかわらず、スターリン政権下の圧制で穀物の略奪に遭い、大量の餓死者が出たことを暴露して、日本をはじめとする国際社会の理解を求めた。大使は、将来的には世界は人口爆発に伴い食料事情が苦しくなるため、肥沃な大地を有するウクライナは技術と資本を有する日本との合弁事業で食料生産部門でタイアップして協調関係を構築することができるとの希望的観測を示した。

 ウクライナは、欧州とアジアを結ぶシルクロードの終着点に位置する面積の大きな肥沃な国家であり、古都キエフはスラブ系民族の宗教的、文化的、言語的な中心都市として1500年前から栄え、特に998年に伝わったロシア正教はキエフからロシアをはじめとする周辺諸国に布教されたと大使は説明し、「ウクライナはロシアの若い姉妹」とするロシア側の言質を否定した。

 中世において、ウクライナは隣国ポーランドとリトアニア公国との戦いに破れ、1654年にロシアと軍事同盟を締結し、以降は300年近くロシアに併合されて言語と文化を喪失していくが、1917年のロシア革命勃発時に独立を宣言。約5年間を独立国家として過ごすが、22年にはクレムリンとソビエト条約を締結し、再びソ連邦の体制下に置かれることになる。

 1922年以降、ウクライナでは共産党中央委員会の決定による農業改革が強制的に行われ、農業の集団化(コルホーズ)が推し進められるが、土地の私有を禁じられた農民達がソビエト体制に対して蜂起、その報復措置として32年と33年の大豊作の年に、生産した穀物と食糧の大部分を接収され、推定でウクライナ人1000万人が人工的に餓死し大量虐殺された。

 1991年のソ連邦崩壊に伴い、ウクライナは再度独立を宣言、以降は自主的に核の保有を放棄し、94年に旧ソ連邦諸国との平和条約(PFP)、97年には北大西洋条約機構(NATO)とのパートナーシップ条約、98年には隣国ロシアとの友好協力条約に調印。2008年には欧州連合との政治協定に再度調印し、ロシアからのエネルギー依存が頭痛の種であるとしながらも、方向的には欧州連合(EU) とNATOへの接近を志向している。

 ウクライナはロシアと中央アジアからの石油と天然ガスのパイプラインが通る経済的な要所であるばかりか、人口4500万人を抱える欧州で五番目の人口大国であり、歴史と伝統のある国であるが、民主主義国家としてはまだ17歳の若い国家であるため、民主主義を主導するエリート層の養成が急務であると大使は指摘した。

 ウクライナ経済はその53%が農業に依存しており、世界の黒土の約25%を保有する有機土壌の肥沃な土地であるため、第二次世界大戦時にナチスがウクライナに侵攻した際、表土の50cmをドイツに持ち帰ったという。大使は、来年の世界経済は先般の金融危機の影響もあって後退気味で苦しいと予測しつつも、日本との農業分野での提携では大麦や大豆の栽培など多方面にわたり大いに希望的観測が見込めるとの太鼓判を押した。

(記者=青嵐)

 (08/12/18 19:45)  





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