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筆者と2歳の時のアン(写真=筆者提供)

英国バイリンガル子育て奮闘記(8)

文:ウェレル・ゆかり

 【大紀元日本10月26日】

 就学前(1989〜1992年)  「ダディー、電話に乗ってるの」

 娘の日本語環境は、母親の語りかけとビデオ程度だった。テレビ漬けにならないように、「マミーの言葉の映るビデオさんが疲れちゃうからね」と、30分たったら、バスタオルをかけてビデオさんにおねんねしてもらっていた。耳から入る日本語が限られている状態で、娘が自分で文法を構築していることが分かってきた。

 日本語の動詞の否定形が二つだけ言えないのだ。「こっちにきた」は言える。「くる」も言える。でも、「こない」が言えない。「きない」と言ってしまう。「こないでしょ」と直すと、「おこない」と言う。前に「お」をつけることでやっと、口の形を「こ」 にすることができるようだ。「する」の否定は「しれない」。あんまりはっきり「アン、それ、しれないの」と言われると、最近の日本語ではこういうふうに言うのかなと、こちらの日本語もぐらつく。「することができない」と言いたいようだから、「できないでしょ」と何度言っても、なかなか直らない。なんで、この「くる」と「する」の否定形だけおかしいの、と悩んでいたら閃いた。日本語の「くる」と「する」は数少ない不規則動詞なのだ。 そう言えば、サ行変格活用、カ行変格活用というのが、動詞活用の表で特別に設けられていたではないか。娘は自分の中で、規則動詞を構築しており、不規則動詞を頭がどうしても受け付けないということなのだ。

 また、動作と言葉をつなげようと、物を箱に入れて「入った〜」とやっていたら、自分でも階段の上で物をつかんでいる手を広げて、一言「おち」。「おちる」「おちない」「おちれば」のコミットなし。ふ〜む、そこが語幹と呼ばれる部分なんですねと納得した。

 だんだん、文が構築できるようになると、日本語と英語の語順の違いにも気づかせてくれるようになった。「アン、乗った,机の上」(I am on the table.) 。これは完全に英語の語順。そしてある時は、 キッチンの私に 一生懸命 、「ダディー、電話に乗ってるの」と報告してくれた。Daddy is on the phone.の「on」の部分を「乗っている」と訳してくれたわけだ。「電話中でしょ」と直しながらも、私はお腹の中で笑い転げていた。

 (続く)

 (09/10/26 05:00)  





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