何清漣:中共の海外中国系メディアに対する制御手段

2006年08月19日 08時47分
 【大紀元日本8月19日】編集者注:先日、中国上海東方航空公司の機長が、中国に帰国後、中国共産党(中共)政権からの迫害を受けることを恐れ、搭乗勤務で米ロサンゼルス国際空港に到着後米国に政治避難を求めた。同氏が自分の亡命申請の経緯を記者会見で発表したが、米国の某中国語系メディアは11日、袁氏を取材もせずに、同氏が発表した声明とまったく異なる報道をした。同件および中共のメディア制御について、中国問題専門家何清漣氏(米国在住)は弊社のインタビューを受け、以下の見解を述べた。

 ○海外の中国系メディアが中共に制御されている

 海外の中国系メディアが中共に制御されていることは、国内にいる時それを感じることも知ることもできなかった。

 海外へ出て暫らく経ってから、中共が海外の中国系メディアに対して統一戦線工作のために投資し、尽力していることが初めて分かった。例えば、海外の中国系メディアに対し、中共は中国資本の機関や企業としての投資や株の取得の機会を与えたり、または、広告を提供する等あらゆる経済利益をエサにし、多くのメディアをコントロールしている。

 こうしたことに関する情報はかなり暴露されている。海外の中国系メディアは、生き延びるために自社の尊厳および職業道徳を捨てて中共当局の宣伝者になっているのだ。例えば、NPO組織のジェームス・タウン基金会(Jamestown Foundation)が2001年11月21日に発表した「中共政府は、米国にある中国系メディアをどう制御するのか」の研究報告。中共当局が巨大な投資を行なって北米の中国系メディアに関与していることが浮き彫りになった。同報告は、中共当局が、程度は異なるが、発行数合計が約70万部である北米4つの主要中国系新聞社、「世界日報」、「シンダウ・デイリー」、「明報」、「僑報」に対して、協賛、広告の提供等の形で、コントロールをしていることを明らかにした。

 ○海外の中国系メディアの報道は、国内の中国人を騙している

 中共は近年、中共当局と良好な関係を持つ中国系メディア団体を北京、武漢、広州等地区に招いて世界大会を何度も同時に開いた。例えば、2005年9月11日~13日の間に、新華社と同等な地位にある「中国新聞社」が主催した中国系メディア世界大会は、武漢および広州で同時に開かれた。武漢のサミット会議では45カ国からの200社余りが参加し、広州のサミット会議では、26カ国から62社が参加したという。中共当局の強力な宣伝で、中国人は中国系メディアが世界の主流になりつつあると本当に信じ込んでしまう。また、分別がついていない中国国内のメディアは、海外の中国系メディアが中国との協力を求めているとまで報道している。

 このような世界大会は中国国内では、幻影をつくり出すのに非常に宣伝効果がある。何故なら、国内の中国人は海外の華人系メディアの資金の出所が分からない。盛大な集まりを見て、中共統治下の海外在住の中国人の結集力が強く、専制政体である中共は国際社会でイメージが良いと勘違いするのだ。

 しかし、もっとも深刻なことは、同大会に参加したメディア各社は自由精神を持つ独立したメディアであると誤解することだ。勿論、参加した各社も自分たちが演じている役割を知っている。ある同大会の参加者は、食い、飲み、娯楽、拍手、フラッシュ、スピーチ、総括、資料、土産、歓迎を一同に味わえる典型的な中国式縁日のような大会は、確かに海外中国系の者の興味を引きつけると断言した。また、中共当局からの重視および関心を求め、さらなる資源の獲得に意欲満々である。

 海外中国系メディアは利益のためにメディアが持つべく道徳と良識および事実を尊重する原則を放棄し中共独裁政府の海外宣伝者になった。そのこと自体が、中国系メディアが主流メディアにならない主な原因である。

 ○海外の統一戦線のための3つの宝

 中共当局は海外の中国系メディアの作用を非常に重視しており、国内の統一戦線会議でおおっぴらに、海外の統一戦線には3つの宝があると紹介したほどだ。それは海外の中国系学校、中国系メディアおよび中国系社会の組織団体の3つである。親中共の中国系団体は、中共当局の活動のために人を集めることができる。例えば、江沢民や胡錦濤が訪米時の歓迎隊。勿論それらの団体は、民主運動活動家や法輪功等を排斥する行動もする。また、中国系学校の場合は、形式上では中国文化を伝播しているが、実質上、使用されている教科書は中共のイデオロギー的なものを帯びている。さらに、海外統一戦線の目的を達成させるために各種活動を行なうのだ。

 一方、香港のメディアは1997年に中共に返還されて以来、中共のメディアへの浸透、メディアの生存環境の悪化およびメディア従事者の自己検閲などが互いに影響しあっている。目下、親中共でないメディアは重圧を受け、生き延びることが非常に困難である。

 また、台湾のメディアは藍・緑の争いの要素があるため複雑であるが、近年、中共当局が中国系資本を利用して台湾のメディアに関与しているため、大陸にとってマイナスになる報道がなくなった。台湾大学新聞研究所の張錦華教授はこうした風潮に関して専門的に研究を行った結果、台湾のメディアは中共政府の腐敗・汚職事件の報道が極めて少なく、大陸の情勢や経済発展が如何に素晴らしいかの宣伝が多いと指摘した。

 中国国内のメディアの自己検閲問題に関して理解できる。猫の鋭い爪で押さえられた夜鳴き鶯は、歌をうまく歌えないのだ。しかし、海外の一部の中国系メディアが自ら中共の宣伝者になったことは遺憾である。しかし、海外の社会は開放されており情報が多元化であるため、時間が経つに連れて、海外華人読者も次第に区別ができるようになる。宣伝者となったメディアに対して疑いを持ち、最終的には見捨てることになるだろう。

 何清漣氏は、米国在住の中国人ジャーナリストで、社会経済学者。著書『中国現代化の落とし穴』は、中共統制下の中国社会の真実を語っている本であるため、彼女が国から離れざるを得ない結果となった。同氏の新書は、『中国の嘘??恐るべきメディア統制の実態(中文版書名:霧鎖中国)』は、多くの実例に基づき、法律、法規、政策から、政府各部門の具体的運営、新聞メディア従事者のフィードバックに至るまで取り入れ、中国のメディア統制に対して全面的、系統的分析している。

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