印刷版   

資産運用業界の就業人口が1万人に迫る、市場拡大で過去最高に

 ファンドの設定や運用を行う投信・投資顧問会社に従事する人の数が初めて1万人に迫っている。個人マネーの「貯蓄から投資」への流れに拍車がかかるなかで、運用各社は市場規模拡大への対応を迫られ、人材確保に奔走。3月の投信への資金流入が2兆円に迫るなど過去最高を記録する中、資産運用業界の就業人口も過去最高を更新する見込みだ。

 野村総合研究所の調べによると、投信・投資顧問会社に従事する社員人口が06年度末で9500人を突破、1万人に迫っている。

 過去の運用業界の就業人口の推移をみるとピークは2001年度の8500人。以降、02年度8300人、03年度には8000人割れの7800人にまで落ち込み、04年度も横ばいのまま。05年度にほぼ01年度の水準にまで戻り(8500人)、06年度に9500人を突破した模様。推計では1万人に迫る勢いだ。

 投信運用残高で国内系トップの野村アセットマネジメントは、07年3月末役職員数は691人。同社の過去5年間の役職員数のボトムは04年3月末で553人。04年3月末から足元まででは25%の人員増となっている。一方、外資系フィデリティ投信の07年3月末従業員数は293人。03年3月末の222人からは32%の増員となった。


 運用各社が人材確保に奔走し規模を拡大している部門が、ファンドの販売を担う営業部門や販売支援部門。運用会社により業務の括りが様々だが、主な業務は自社の商品の売り込みから始まり、販売会社として獲得した先への勉強会や顧客向けセミナーの開催、日々の情報提供などだ。

 各社が人員増強に走る背景には、ファンドの設定が相次ぎ、各社で抱えるファンド数が増えていることに加え、販売会社が取り扱うファンドのラインナップを増やしてきていること、地銀・郵便局等での取り扱いが増えていることがある。

 日本郵政公社を例にあげるなら、販売会社としての登録は郵政公社1社でも、販売する拠点は日本全国津々浦々に点在。支店を回っての販売支援活動等にはかなりな数の販売支援員が必要になってくる。

 運用会社は、グループとして世界各地に拠点を有するものの、日本国内では一般的に東京に運用拠点を構えるのみで、日本国内各地に営業拠点を開設しているところはほとんどない。このため、地方の金融機関を訪問するには東京を拠点に全国各地を飛び回ることとなり、販売会社数も、カバーする支店数も増えることで営業部門の人員増強は運用各社の命題となっている。また、運用会社と販売会社の接点であり、運用会社の顔ともいえる同部門の担当者は、誰でもいいという訳ではなく、各社は営業マンとしての資質を持ち合わせた人材の獲得に躍起になっている。

 しかしながら、運用会社間の移動(転職によるもの)による人材確保では当然、各社とも数的なものは確保できない。このため、証券会社や銀行等の営業マンやテラー、人材派遣会社のセミナーでの講師を専門とする人など、様々な業界からの人材が流入している。

 一方、個人投資家や販売会社に向けた情報開示姿勢を日々問われる運用会社では、従来のファンドの決算時に作成する運用報告書とは別に、ファンドの運用状況を開示する週次・月次レポートや、投資先市場が大きく動いた際の状況報告リポートの作成など、様々かつ膨大なサポート業務が発生している。このため、ひと昔前ならファンドマネージャーが書いていた運用報告書などをはじめとするリポートや報告書の類を作成する専門部署を設置しはじめ、分業体制を敷くところも出てきた。こうした部署にはマスコミや印刷業界をはじめ、運用業界とは全く違う業種からの人材流入も起きている。

 さらに、「1500兆円といわれる日本の個人金融資産をにらみ、新規に参入を準備する外資系運用会社が人を探している」(外資系ヘッドハンター)という。REIT(不動産投資信託)のように、投資先資産のバリュエーションが増えたことによる資産運用業界の拡大もある。広義の資産運用業界の就業人口は拡大傾向にあり、就業人口増加はもうしばらく続きそうだ。

[東京 17日 ロイター]

 (07/04/18 08:11)  





■関連文章
  • ロイター個人投資家調査:世界同時株安で6割が損失出す(07/03/26)
  • 中国株市場急落:「暗黒の火曜日」、下落率10年間で最大、世界主要株式市場に影響(07/03/01)
  • 中国株急落、世界的なリスク志向の終えん示唆か(07/02/28)
  • 利上げ後も株高シナリオ不変、円高に振れず安心感広がる(07/02/22)
  • 利上げなら日本国債への関心高まる可能性=海外専門家(07/02/21)
  • 程暁農:中国株式市場の暴騰、金融危機の可能性(07/02/20)
  • 中国の金融機関、QDIIに基づく海外投資枠の活用わずか(06/09/28)
  • ドル・金の同時高の裏に、機関投資家のドル不安心理(06/09/01)
  • 米投資家ウォーレン・バフェット氏、76歳の誕生日に再婚(06/09/01)
  • 米国債投資家、FRB議長証言後も姿勢変えず=調査(06/07/26)
  • 江西市の上場国営企業で、資産十数億元が流出(06/07/18)
  • 郭国汀氏:人権擁護運動で、中国司法制度の改革を促す(06/07/15)
  • 日経平均が底割れ、個人投資家の投げが下げを加速(06/06/08)
  • 米国投資家:深刻な経済不況に遭遇する中国(06/01/04)
  • 米議会議員、中国投資の潜在的危険性を警告(05/08/30)