栄光の記録にドーピング疑惑 中国陸上馬軍団

2016/02/15 00:57

 90年代に圧倒的な強さで陸上女子中長距離界を席巻した中国の陸上女子チーム「馬軍団」。最近になってチームの元選手らの告発によりドーピング疑惑が高まり、国際陸上競技連盟(国際陸連)が事実関係の調査に乗り出している。

 中国大手ポータルサイト・騰訊網の報道によると、馬軍団の元主力メンバー、王軍霞元選手は95年3月に当時のチームメート9人と連名で交遊のあったジャーナリストの趙瑜氏に宛てて手紙を出し、馬俊仁コーチから長年にわたり禁止薬物の服用を迫られていたことを訴えていた。趙氏は最近になってこの情報を同サイトに提供した。

 これが事実なら、王元選手が獲得した93年世界選手権1万メートルと96年アトランタ五輪5000メートルでの金メダル、そして93年以来いまだ破られていない3000メートルと1万メートルの世界記録にも疑惑がもたれる。

 驚異的な活躍ぶりは日本でも大きな話題となった馬軍団に、当初から薬物使用を疑う声が上がっていたが、ドーピング検査では白だった。今回の報道をうけて国際陸連は中国体育協会に対し、この手紙の信憑性に関する調査への協力を求めているもよう。

 AP通信は、国際陸連は王元選手が禁止薬物の服用を認める場合、同選手の世界記録を抹消する可能性があることを示唆した、と報じた。

 中国メディアが趙記者の話として伝えたところによると、同氏が98年に出版した著書「馬家軍調査(馬軍団の調査)」に同薬物使用問題を詳述した章があったため、中国当局がその部分の削除を指示、14年にようやく公開を許可した。

 趙記者は、中国のスポーツ選手の禁止薬物使用は90年より前に始まっていたことだが、91年以降に馬コーチが選手の間にさらに広めたと証言している。

 2000年のシドニー五輪では、直前の検査結果を受けて選手7人のうち6人までが代表から外されたことを理由に、馬軍団は同五輪に参加しなかった。

 中国では、スポーツ選手が世界大会で金メダルを獲得することは国家の栄誉とみなされており、スポーツ事業は国の威信をかけた一大プロジェクトでもある。馬コーチと彼の率いる馬軍団は、当時の国際試合で数々の世界記録を打ち立てて多くのメダルを獲得し、国家の英雄と褒めたたえられた。米国営放送、ラジオ・フリー・アジア(RFA)はある中国人ジャーナリストの見方として、政府が今になってこのスキャンダルが明るみになるのを許した背景には、当時の国家最高権力者・江沢民氏の恥をさらすことを目的とするなど、政治的な理由が見え隠れしていると報じている。

(翻訳編集・桜井信一、叶子)

 

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