共産主義の挙国一致体制の犠牲者

元オリンピック選抜選手 貧困に苦しむも権力と金銭に屈せず

2016/08/08 07:00

 かつて飛び込み競技のアジアチャンピオンだった唐穎さん。彼女は現役時代に輝かしい成績を残しながらも引退後は経済的に困窮してしまった。幾度となく権力者や資産家に愛人になるよう言い寄られても彼女は動じず、権力と金銭の誘惑に負けまいと露店を経営して生活する。これはあくまで一例である。彼女と同じような境遇、いや、更に悲惨的な状況にいる選手もいるのだ。共産主義国家の輝かしいメダルの背後には、数え切れない犠牲者がいることを忘れてはならない。

 チャンピオンを待ち受ける引退後の苦しい生活

 唐穎(とうえい)さんは飛び込み競技でアジアチャンピオンの座に輝いた経歴の持ち主だ。しかし彼女は引退後、生活に苦しむようになった。彼女の同輩たちが金持ちの愛人になっていても、彼女は金銭の誘惑に屈することはなかった。

 中国のメディアによると、唐さんは選手として最適の人材であったという。12歳ですでに身長1メートル72センチの彼女は市の体育委員会に見込まれ、選手としての競技生活を始めた。その後の数年間は、彼女にとって練習と試合の日々となった。彼女は全国選手権で優勝し、全国運動大会(日本における国民体育大会)で優勝、アジア選手権大会でも優勝など、輝かしい戦績を残した。

 2004年のアテネ五輪中国国内予選に参加した唐さんは優秀な成績を残せず代表選手として選ばれなかった。もしオリンピックに参加できたのなら彼女の人生はより良いものとなっていただろう。引退した彼女にはたった数万元の補償金が一次的に与えられた。

 青春を飛び込み競技にささげた彼女にとって引退後の生活は慣れないことばかりであった。とくに就職において彼女は大変な思いをした。かつて飛び込み競技の選手だった唐さんは美しい体型のみならず容貌も優れていた。そのため権力者や金持ちに目を付けられた。

 彼女はまず教育委員会に頼んで地元で教師をしようと思った。しかしそこでは委員長とダンスをするよう強要された。次に人事局に行き仕事を得ようとしたが、一人の官僚に愛人にならないと仕事を与えない、と告げられた。また、金持ちの男に一年に10万元を払って養うと言われたこともあった。唐さんはこれらの誘いを断固として拒否した。

 彼女の仕事面での苦労を、かつての競技仲間は嘲笑った。しかしそれでも彼女は動じず、自らの力で生活していくと決めた。彼女はアパレルショップで働いた。月収はたったの800元だった。副業として屋台で人形を売ったこともあった。他の選手が権力者の愛人になったと知ると、「愛人として暮らしたい人もいるだろうけど、私はアルバイトをしても愛人はいやだ」と唐さんは言ったという。

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