中国政治改革

「核心」習近平の政治戦略 「一石多鳥」の機関設立 その狙いは(1)

2016/12/25 21:06

 10月27日に閉幕した中国共産党第18回中央委員会第6回全体会議(6中全会)で、習近平国家主席は「核心」の指導者と位置付けられた。それから半月も経たずして、習政権は「監察委員会」(以下、監察委)を設立し、北京、山西省、浙江省をモデル地域に指定して国家監察体制の重大政治改革を打ち出した。

 「監察委員会」とは、行政と検察にある監察部門と党内の紀律検査部門(中紀委)を統合して、公的権力を行使する全ての公務員の汚職を一元的に監督する国家管理機構であり、王岐山・中紀委書記がそのトップ責任者に任命された。

 監察委の設立は、実は習政権の「一石多鳥」の政治戦略であり、その狙いと真意について、大紀元系列の週刊誌「新紀元」は分析する。

1.中紀委の権限を党外まで拡大し、国家レベルの監察権を確立する

 時事評論家の倫国智氏は、今回の監察体制の改革で、現状では党や政府の複数の機関が担っている反腐敗監督業務を 、中紀委の管轄する監察委に統合することにより、実質的に中紀委の権限が拡大されることになると論じた。監察委は人民代表大会(国会に相当)の承認を経て設立されているため、体制内部においても合法的な権力を有することになり、建前上は共産党の内部機関にすぎない中紀委に比べて、その正当性が裏付けられることになる。

 倫氏はさらに、今のところモデル地域は3か所にすぎないが、その後全国展開される見通しとなっており、2017年に開催予定の中国共産党第19回全国代表大会(19大)までに、全国で本格的に実施されることは間違いないと分析している。

 つまり、今回の改革の大筋は、監察権を統合して、中紀委の権限を党外まで広げ、モデル地域で監察委を試運転し、さらにそれを全国レベルで実施するというものであり、その最終的な狙いは正式な国家監察体制を確立するところにあると推測される。

2.王岐山を19大以降も政権の中枢に留任させる布石

 時事評論家の石実氏は、習政権が来たる19大の前に王岐山を監察委の責任者に任命し、モデル地域に対する監察体制改革を実施しようとする目的を、次のように分析する。

 まず、現行の煩雑な反腐敗部門を統合し、管理系統を分かりやすく簡略化することが挙げられる。次に、監察体制の統合によりその権力が強化されることで、江派の腐敗官僚の一掃に拍車をかけることも見据えている。そして重要なことは、19大以降も王岐山を政権の中枢に留任させるため、しかるべき重要なポストを与える必要があることだ。

 ワシントンの中国問題専門家、石蔵山氏もまた、習主席は国家監察制度を全国規模まで速やかに拡大させると共に、19大までに「国家監察法」を制定し、王岐山を責任者とする国家監察委員会を設立させて反腐敗運動を引き続き推進させるだろうと予測している。

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