金融セクター取り締まり

次の粛正ターゲット? 中国・安邦の2兆円超えの超大型買収にストップ

2017/05/02 07:00

 中国当局は、国内保険大手の安邦保険集団(以下、安邦)に対して、海外での投資や買収を認可しない姿勢を示した。また、中国国内外メディアはこのほど、安邦の呉小暉会長に対してマイナスの報道が目立っている。背景には、習近平当局による金融セクターへの粛正強化と関係するとみられる。

 香港紙「蘋果日報」(4月22日付)によると、中国当局は、2016年から米国保険会社の「フィデリティ・ギャランティ生命」や高級ホテルグループの「ストラテジック・ホテル&リゾート」と「スターウッド・ホテルズ&リゾーツ」との総規模212億ドル(約2兆3532億円)の買収を計画してきた安邦に対して、ストップをかけた。

  同報道によると、中国金融当局の一つである保険監督管理委員会(保監会)は、総資産に占める海外での投資額比率が高すぎるため、同社の海外買収案を却下した。これを受けて、安邦は4月に「フィデリティ・ギャランティ生命」の買収を断念すると発表した。「ストラテジック・ホテル&リゾート」買収案に関しては、中国当局はまだ認可していないという。

 中国大手企業は、海外企業の買収をあいついで取りやめている。中国共産党政権が資金の国外流出を厳しく規制しはじめていることが主な原因とみられ、専門家は今年、中国企業の対外投資は低迷期に入ると予測している。

「爆買い」安邦、資産は32兆円 トランプ氏娘婿の不動産交渉や日本の不動産に触手のばす

 2004年9月に中国浙江省寧波市で設立した安邦の総資産規模は、設立当時の5億元(約81億円)から現在の1兆9710億元(約32兆円)に急速に拡大した。近年海外の保険会社やホテルなど次々と買収したことで注目された。

 なかでも、2014年10月、安邦は19億5000万ドル(約2164億5000万円)との米国史上最高金額で、ニューヨーク市にある最高級ホテル「ウォルドルフ=アストリア」を爆買いしたことで、世界にその名を知らしめた。

 2016年11月には、安邦は、米投資大手ブラックストーンが保有する日本の東京、名古屋、大阪などの不動産の買い取り交渉をしたと、ロイター通信が報じている。

 「蘋果日報」によると、汚職の疑いで保監会元トップの項俊波氏が失脚した後、習近平当局は国内保険企業などへの取り締まりを一段と強化した結果、活発に海外企業を買収してきた安邦には、その動きが突如、止まったという。

 さらに、安邦は今年3月、トランプ米大統領の娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナー氏の親族が経営する企業、クシュナー・カンパニーズとの間で、ニューヨーク市マンハッタンのオフィスタワー「666フィフス・アベニュー」の再開発交渉も打ち切りとなった。

トランプ米大統領の娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナー氏の親族が経営する企業、クシュナー・カンパニーズとの間で、
ニューヨーク市マンハッタンのオフィスタワー「666フィフス・アベニュー」の再開発交渉を報じた米CNBCのスクリーンショット(torbakhopper)

海外へ急進出、次の粛正のターゲット?

 中国国内では、海外への急進出を果たした安邦には批判の声が集まった。

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